高知県の中土佐町・久礼大正町市場では今、空き店舗を利用して新たな事業をはじめる取り組みが行われています。

どんな取り組みなのか、樺山夏帆アナウンサーが取材してきました。

山・海・川に囲まれる豊かな自然に恵まれ『カツオの一本釣りのまち』としても知られる中土佐町。

中でも、年間約15万人の観光客が訪れる人気スポットが久礼大正町市場です。

■女性二人組の観光客
「大阪と奈良から来た親子です。初めて来て、こんなに人がたくさんいると思わなかった。楽しみ。カツオのタタキが高知で一番美味しいと聞いたので足を延ばして来た」

人気の市場ですが、実は課題も抱えていました。
それは高齢化を理由に店をたたむ人が出てきていることです。

市場には今8店舗ありますが、このうち4軒は75歳以上の店主が営んでいます。
田中鮮魚店の店主で、久礼大正町市場協同組合代表理事をつとめる田中隆博さんに話を聞きました。

■久礼大正町市場協同組合代表理事・田中隆博さん
「どうしても高齢者が自分の家でやっている。みんな倒れるまで店をやる。できなくなったら新しい人を探さないといけない。常に準備をしてないと、まちってどんどん廃れてしまう」

次の担い手を探し、育成するために市場では新たな取り組みが始まっていました。

■樺山夏帆アナウンサー
「市場では、空き店舗を利用した新しい店舗が誕生しました。それがこちらです。こちら、チャレンジショップという制度を使って開店したんです」

チャレンジショップ制度とは、起業・創業を目指す人に対し空き店舗などを利用して低コストで期間限定の店舗スペースを提供する支援制度です。
中土佐町では2017年にこの事業をスタート。これまでに7つの事業者が手を挙げ、すべての店舗が事業を継続しています。

3年前に事業をはじめたcoffee asterです。

■coffee aster 店主 疋田隆介さん
「(Q.やってみてどうだった?)いい制度。家賃も安く抑えられ、お店ってハードル高いがハードルが下がって、周りの店も手伝ってくれたり助けてもらったりした。この町を盛り上げていけたら」

一方、2026年1月にオープンした飲食店「おおのみや」。こちらは2026年10月までの期間限定の出店です。
この店を任されているのが2025年9月から地域おこし協力隊として活動している大野彰子さんです。

静岡県出身の大野さんは2025年6月までドイツで料理人をしていて、中土佐町の自然に惹かれ移住をしました。

■おおのみや 大野彰子さん
「水が綺麗。お野菜、お米もおいしくなる秘訣かも。水が綺麗、川が綺麗」

おおのみやでは地産地消にこだわった料理を提供しています。
中土佐町産のトマトを使用した手作りがんも入りスープ。大野見米の米粉と大野見産ショウガジャムを使用したクレープも―

この「おおのみや」を手掛けているのが大野見地区にある下村農園です。
代表の下村具裕さんに話を聞きました。

■下村農園 代表 下村さん
Q.なぜチャレンジショップをやろうと思った?
「大正町市場は中土佐で一番観光客が多い。そこで大野見のアピールができれば、カツオだけじゃない、他の大野見にある美味しい作物をアピールしたかった」

チャレンジショップ制度は、事業者にとって少ないリスクでテスト販売ができることがメリットでありまた、スキルを教わる場になっているといいます。

■下村農園 代表 下村さん
Q.チャレンジショップの魅力は?
「一年間安い家賃でチャレンジさせてもらえるところ。また、大正町市場の方とのコミュニケーション、付き合いが楽しい。僕たちは商売素人。この時期はかき入れ時でこうしたらいいよとかアドバイスをたくさんいただいております。みんな優しくて付き合いやすい。助かっている」

新たに挑戦をはじめた事業者たちは市場の人達にとって大切な存在です。

■久礼大正町市場協同組合代表理事・田中隆博さん
「衰退して空き家ばかりになった後何かしようと思っても、ゼロから人を呼ぶというのを若い子に全部押し付けるのは無理がある。僕たちが頑張ってるときにバトンを渡すというのはすごく意識している。今の活性化にもつながっている。将来バトンを受け継いでもらう。いまだからこそチャレンジショップをやっていかないといけないと思っている」

中土佐町で進んでいる新たな挑戦は市場のにぎわいを未来に繋いでいくための大きな希望です。