中国海南省の文昌宇宙発射場で2026年2月11日前後、次世代有人宇宙船「夢舟(Mengzhou)」の飛行中断試験(In-flight Abort Test)が実施される可能性があると、中国メディア「潇湘晨报」などが報じています。文昌宇宙発射場では試験に向けて一部の打ち上げ計画が調整され、リソースが集中している可能性も指摘されています。なお、中国当局からの正式発表は現時点で確認されていません。
「飛行中断試験」とは
今回実施が予想される飛行中断試験は、ロケットの上昇中に予期せぬ異常が発生した場合、宇宙船がロケットから分離して安全に脱出できるかを検証する、有人宇宙飛行において極めて重要な試験です。
特に重要視されるのが、上昇中にロケットへの空気抵抗(空力負荷)が最大となる瞬間「最大動圧点(Max-Q)」での脱出能力です。機体にとって最も過酷な条件下で中断シーケンスを起動し、脱出用エンジンでロケットから距離を取り、パラシュートを開いて安全に着水できるかを確認するとみられます。
夢舟と試験準備状況
【▲ 中国国家博物館に展示された次世代有人宇宙船『夢舟』のモックアップ(Credit: Shujianyang / Wikimedia Commons (CC0))】
夢舟は現在運用中の神舟に代わる次世代の有人宇宙船で、低軌道での宇宙ステーション運用から有人月面探査まで対応可能な設計となっています。2025年6月には酒泉衛星発射センターで地上の「発射台脱出試験(Pad Abort Test)」に成功しており、今回の飛行中断試験はそれに続く第2段階の実証試験となります。
文昌発射場の新設発射台「LC-301」では、長征10号シリーズの静的燃焼試験機を改造したブースターに、試験用の夢舟カプセルと脱出タワー(アボートタワー)を結合する準備が進められている模様です。
長征10号Aと有人月面計画
今回の試験で使用される**「長征10号A」**は、中国の有人月面計画で主役となる「長征10号」から派生した低軌道専用ロケットです。第1段ロケットの再使用を目指しており、グリッドフィンとテンションワイヤー(ストリング・キャッチャー方式)を用いたドローン船への垂直着陸・回収が計画されています。
計画が順調に進めば、長征10号Aは2026年後半に夢舟の初となる軌道飛行を行い、2027年の有人飛行、そして2030年までの有人月面着陸へとつながります。
文・編集/sorae編集部
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