紙細工の桜 復興励みに 中能登のカフェ 1万個目標に制作「天井埋め尽くすのが夢」

紙細工の桜の花を作る(左から)南谷重男さん、愛美さんら=中能登町能登部上で

 能登半島地震を乗り越え、昨年12月にオープンした中能登町能登部上の「mii cafe(ミーカフェ)」が、復興を祈る紙細工の花の制作に取り組んでいる。店主の南谷愛美(いとみ)さん(43)は「花を見ることで、地震のことや復興への気持ちを思い出してほしい。訪れた人の心に残るお店にしたい」と意気込む。 (浜中創太)

 紙細工のモチーフは、町花の桜。紙製で、散らない桜の花を被災から立ち上がる能登と重ねた。夫の重男さん(52)らと1年に千個のペースで制作し、カフェの天井からつり下げる。南谷さんは「10年後に1万個の花で天井を埋め尽くすのが夢」と語る。

 南谷さんは、5年ほど前まで金沢市で同名のカフェを経営。重男さんの地元の輪島市を訪れた際、立ち寄った同町の自然に魅了された。「山に囲まれていて景色が美しい。人も裏表がなくて付き合いやすい」。2023年2月に地域おこし協力隊の任命を受け、移住した。

 同町新庄の古民家を購入し、開店準備を進めていた時、大地震が襲った。古民家は中規模半壊の判定を受け、断念を余儀なくされた。すがる思いで町内に別の候補を探していたところ、現在の店舗を見つけ、夫と協力して内装を全面リフォーム。和風建築の魅力を残しながらも、ふすまを白く塗るなどしてこだわりの欧州風の家具と調和する空間に仕上げた。

 カフェは完全予約制で、メニューはアフタヌーンティーセット(税込み3850円)のみ。サンドイッチのパンに使う米粉や、プリンの卵など、食材のほぼ全てを町産にこだわる。南谷さんは「地元の食材にこだわることで、1次産業の人たちの応援になる。カフェを通して、少しでも地域に貢献できれば」と話す。

 カフェでは、町内在住の人が予約なしで気軽に立ち寄り、軽食などを楽しめる「町民の日」を毎月1度開催。インスタグラムで告知する。