浜松科学館では、浜松市天文台と共同で毎月の星空をお届けする1枚冊子「星空案内」を発行しています。本ブログで、その内容を一部公開いたします。

 2月4日は太陽が黄経315°に達し、立春を迎えます。この日から春となるのですが、大雪が降る地域もあるように、まだまだ寒さが厳しい季節です。そんな今の時期、夜になると子午線にはオリオン座、それを取り囲むように、おおいぬ座、こいぬ座など、冬の星座が天頂付近に集まっています。重ね着をしっかりして、冬の美しい星座を楽しみましょう。
(文:浜松市天文台)

浜松市天文台のWebサイト

2月の星空案内

 2026年2月の星空は、冬の星座とともに、惑星たちの豪華な共演がみられます。
 惑星の中でも、見られる機会の少ない水星が観測チャンスを迎えます。水星は太陽系の惑星の中でも、太陽に一番近いところにあります。そのため、地球から見ようとすると、どうしても明るい太陽が邪魔になってしまいます。そんな水星が、地球から見て太陽と一番離れて見える日が今月の20日です。地球から見て東の方に離れて見えるので、「東方最大離角」といいます。20日の前後数日は、日の入り30分後の西の低空で、普段は見えにくい水星を肉眼や双眼鏡で捉える絶好の機会です。
 また、28日夕方には木星、天王星、土星、海王星、金星、水星が夕空に勢揃いします。多くの人にとって肉眼で見られるのは木星・土星・金星だけですが、運と目が良ければ水星や天王星も見つけられるかもしれません。たくさんの惑星が並ぶ姿を楽しめる少し珍しい機会です。冬の星座も明るい星が多く、冬の大三角や冬のダイヤモンドを見つけるとともに、惑星探しにも挑戦してみましょう!

おおいぬ座

 冬の冷たく澄んだ夜空の中、全天で最も明るい恒星「シリウス」が青白くギラギラと輝く姿は、一度見たら忘れられない美しさです。明るい星が多い冬の夜空ですが、シリウスはマイナス1.5等星の明るさで、その名前もギリシャ語の「セイリオス」、「焼き焦がすもの」という言葉から来ています。

 では、シリウスが輝く「おおいぬ座」の物語をご紹介します。おおいぬ座は、古代ギリシャの天文学者プトレマイオスが設定した48星座の一つです。この犬のモデルには諸説ありますが、そのうちの一つに「名犬レラプス」のエピソードがあります。レラプスは「獲物を決して逃さない」という不思議な力を持っていました。ある時、彼は「決して捕まることがない」という運命を持ついたずらキツネを追いかけることになりました。「必ず捕まえる犬」と「絶対に捕まらないキツネ」。この矛盾した二匹の追いかけっこは、いつまでたっても決着がつきませんでした。この様子を空から見ていた大神ゼウスは、「このままでは世界の法則が崩れる」と心配をし、ゼウスは二匹を石に変え、レラプスを星空に上げました。それが今の「おおいぬ座」の姿だと言われています。冬の夜空でひときわ力強く輝くその姿は、今でも獲物を追い続けている情熱の表れかもしれません。そんな太古の追いかけっこに想いを馳せながら、シリウスの輝きを探してみてください。

参考図書:全天星座百科 (藤井旭著/河出書房新社)、5文字で星座と神話 (すとうけんたろう著/講談社)

イタリアの天文学史~オリンピック開催にちなんで~

 今年2月にイタリアで冬季オリンピックが行われます。イタリア北部の都市ミラノとミラノから東へ約300km離れた山あいの町コルティナが会場です。みなさんは現地に行きますか?観光スポットの一つに“星空がきれいな場所”があります。コルティナはドロミテ山脈(アルプス山脈の分脈)にあり、世界遺産に登録されています。夏はハイキング、冬はスキーが楽しめる山岳リゾートです。もちろん夜は星がきれいに見えます。標高約1,800メートルのコル・ドルシェにはヘルムート・ウルリッヒ天文台があり、望遠鏡で星を見ることができますよ。
 さて、昨年の万博や今年のオリンピックで何かと話題の国「イタリア」ですが、同国の“天文学の歴史”という観点で3つの話題をご紹介します。

その1.天文学の父「ガリレオ・ガリレイ」は望遠鏡で星の世界を覗き込んだ

誰もが一度は名前を聞いたことがあるガリレオはピサ出身の科学者です。ピサの斜塔での物体の落下実験を行ったり、望遠鏡を使って、月や太陽、木星を観察したりしました。中でも木星の衛星の公転は地動説を確かなものにする発見でした。当時、神が住む世界と思われていた星や空に望遠鏡を向けたことは、天文学の歴史の中で革命的な出来事なのです。

その2.幽霊粒子「ニュートリノ」は物理学者「エリンコ・フェルミ」が名付けた

ローマ出身のフェルミはすでに別の研究者が提唱していた、電気を帯びていない粒子についてさらに研究しました。電気的にプラスでもマイナスでもない“中性”を意味する「ニュートラル」、そこにイタリア語の“小さい”を意味する「イノ」をつけて、その粒子を「ニュートリノ」と名付けました。電気的に中性で、重さもほとんどないため「幽霊粒子」という愛称があります。ニュートリノは、そもそもなぜ物質があるのか?宇宙はなぜあるのか?という問いを解決する手がかりだと言われています。

その3.至宝「ファルネーゼのアトラス」は宇宙のロマンを纏った美術品

「ファルネーゼ」はイタリアの貴族の名前です。ファルネーゼ家が集めたコレクションの一つで、現在はナポリ国立考古学博物館が所蔵しています。「アトラス」はギリシャ神話に登場する巨神の名前です。高さ約2メートルもある大理石の彫刻で、2世紀に作られたとされています。アトラスが担ぐ天球には48の星座や目盛り線(天の赤道、黄道など)が描かれています。およそ2,000年も前にはすでに人々は星を標(しるべ)に空の地図を描いていたのです。

天文学の歴史から見ても、様々な話題を掘り出すことができます。イタリアの魅力は計り知れませんね。

浜松科学館で投映中の番組

ご好評いただいているキッズプラネタリウムのほか、
12月からは、新番組「天竜浜名湖鉄道 星空紀行」を投映しています。
今月は夜の科学館が土曜日の開催です!

【土日祝11:30~】
キッズプラネタリウム
「きらきら☆こんやのおほしさま~ふゆのほし~」

【毎日14:30~】&
【土日祝13:00~】
プラネタリウム
「天竜浜名湖鉄道 星空紀行」

【土日祝10:30~】
大型映像
「ティラノサウルス」

大型映像「ヒーリングアース」ポスター

【毎日15:50~】
大型映像
「ヒーリングアース inJAPAN」

【月1回・大人限定】
夜の科学館 特別投映
「プラネタリアンへの道 星語りの流儀」