和歌の聖地として知られる和歌山市和歌浦の玉津島神社に12月13日㊏、日本三大桜の一つ、岐阜県本巣市の「根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)」の苗木が寄贈され、神事と植樹が行われた。

 根尾谷淡墨桜は樹齢1500年のエドヒガンザクラ。幹回り約9㍍、枝の広がりは約30㍍にもなる巨木で、後に継体天皇となる男大迹王(をほどのおおきみ)が植えたという伝説が残る。咲き始めは淡いピンク、満開時は白、散り際はやや薄い墨色に変化することから「淡墨桜」と呼ばれ、国指定の天然記念物。かつて大雪や台風で枯死の危機に直面したこともあったが、作家の宇野千代らが保護を呼びかけるなどし、地域の人の手によって守られてきた。

 一方、同神社には御祭神と同じ名前の「ソトオリヒメ桜」があるものの、寿命の心配から新たなシンボルとなる木を探していた。その話を伝え聞いたのが、桜の季節には欠かさず根尾谷に足を運ぶ樋口造園(京都府)の髙山典久工事部部長。同神社の力になれたらと、淡墨桜の保全と普及活動に取り組む「淡墨桜を守り広げる会」を紹介し、双方の思いをつないだ。

岐阜から和歌山へ

 この日、岐阜からトラックで4時間かけ、高さ約4㍍、7〜8年ものの苗木が運ばれてきた。同会が地元の子どもたちと種子を拾い、発芽させて育てた実生(みしょう)で、今春開花が期待できるという。メンバー7人が慎重に土をかけ、支柱を立てて拝殿前向かって右側に植えた。

 「和歌にうたわれ、天皇が行幸された由緒正しいこの地に植樹できたことは誠に光栄です」と顔をほころばせる同会事務局の三本木隆さん。同神社の遠北光彦宮司は「不思議なご縁によって、1500年の歴史をもつ淡墨桜の〝子ども〟がやって来てくれ感無量です。将来はご神木と呼ばれる立派な桜になるよう、末永く大切に育てていきたい」と苗木に温かな眼差しを送っていた。

(ニュース和歌山/2026年1月31日更新)