トラクション不足を隠さないIM5
英国では近い価格帯にある、3台の電動サルーン。まずはMG IM5で出発してみよう。着座位置は低く、シートの座り心地は良好。シングルモーターだが407psを誇り、ツインモーターのテスラ・モデル3へ迫る動力性能を誇る。
スポーツ・モードを選ぶと、僅かにアクセルペダルのレスポンスが変化。車重は2210kgと3台では1番重いものの、0-100km/h加速を4.9秒でこなし、シングルモーターで271psのメルセデス・ベンツCLA 250+より2秒ほど鋭い。
手前からメルセデス・ベンツCLA 250+ ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムエディション、テスラ・モデル3 デュアルモーター・ロングレンジ、MG IM5 100 ロングレンジ。 ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
ところが、丘陵地帯の濡れた道では、トラクション不足を実感する。後輪駆動で、アクセルペダルを踏み込むとテールが瞬間的に横へ流れ、トラクション・コントロールがガツガツと抑え込む。オフにすれば、タイヤスモークを上げることも可能だが。
運転の劇場感を高めるCLAの2速AT
四輪駆動のモデル3は、安定性が非常に高い。テスラは非公表だが、最高出力は400ps程なはずで、0-100km/h加速は4.2秒。319psのシングルモーター版でも、現実的にはIM5へ大きく引き離されないだろう。
対して今回のCLAは、3台では最も非力。しかし、発進時のレスポンスはモデル3へ劣らない。車重は1980kgあるが、数字以上に活発。高速域の手前で生じる2速ATの変速が、運転の劇場感を高めている。
左からテスラ・モデル3 デュアルモーター・ロングレンジ、MG IM5 100 ロングレンジ。 ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
回生ブレーキは、CLAでは最も強力なモードだけ唐突過ぎるだろう。1番バランスが良いのはモデル3。IM5は、ブレーキペダルの踏み加減に対し、初期の反応が不自然に鋭い。
モデル3の際立つ強みが、動力性能と電費を両立させていること。丘陵地帯を全開で駆け回っても、平均6.4km/kWhという出色の数字を残した。CLAは6.2km/kWhで、一歩届かず。IM5は、4.8km/kWhに留まった。
市街地では想像以上の敏捷性
とはいえ、上級サルーンとしてより重視されるのは、秀でた操縦性と快適性。動力性能も重要だが、それとの高度なバランスが求められる。
IM5には後輪操舵システムが備わり、市街地では想像以上の敏捷性を披露する。高速域では直進性に優れ、ステアリングへ手を添えているだけで突き進める。連続するカーブは、最小限のボディロールで滑らかにクリアできる。軽快な走りが心地良い。
左からMG IM5 100 ロングレンジ、テスラ・モデル3 デュアルモーター・ロングレンジ。 ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
ステアリングの重み付けも好ましい。路面がドライなら、グリップ力も充分。それでも、運転体験は薄味。正確な反応で意図通り急げるものの、一体感や個性は感じにくい。
乗り心地は、高速巡航で滑らか。車内は静かに保たれ、滑らかな路面なら安楽に移動できる。反面、石畳などでは吸収性が追いつかず、落ち着きを失いがち。アダプティブダンパーやエアスプリングが欲しくなる。
ドライバーを中心に旋回する感覚が気持良い
画像 最新EVサルーンの実力は? メルセデス・ベンツCLA テスラ・モデル3 MG IM5 全127枚
