パワハラ、暴言…日本サッカー界にはびこる『時代遅れ』な体質 “再生”したはずの福岡・金明輝監督が解任、その事実は重い

解任された福岡の金明輝(キム・ミョンヒ)監督

◇記者コラム「Free Talking」

 Jリーグでパワハラや暴言を伴った指導、言動が相次いだ。指導のあり方、指導者ライセンス制度の信頼性さえ問われかねない現状に、Jリーグ関係者は「危機感しかない」と語る。

 J3高知の秋田豊元監督によるパワハラが認定され、町田の黒田剛監督は選手やスタッフに対する不適切な指導や言動があったとして、けん責処分を科された。福岡の金明輝(キム・ミョンヒ)監督はコンプライアンスに抵触する行為が確認されて、チームの始動直前に解任された。関係者によると、パワハラに該当するような言動があったとみられる。

 金監督を巡っては、鳥栖監督時代などのパワハラ行為により指導者資格の降格処分を受けた後、日本サッカー協会が設けた更生プログラムの受講を経て、2024年にJクラブの指揮に必要なS級(現プロライセンス)を再取得したという経緯がある。再起の機会は重要だが、結果から導けば指導者としての知識不足や倫理観の欠如は正されなかったといえる。その事実は重い。

 指導という名目の下にはびこる暴力や暴言、ハラスメントは容認することができない。この考え方は、今や一般的な社会規範となっている。しかし、21年に当時J2だった東京Vの監督、22年は当時日本フットボールリーグ(JFL)だった鈴鹿の監督、24年にも日本サッカー協会の理事だった大学関係者がいずれもパワハラで処分されたという事例を踏まえれば、時代の変化にサッカー界はついていけていない。「時代遅れ」ということだろう。

 リスペクトやフェアプレーを啓発して暴力や暴言を未然に防ごうと、日本サッカー協会は全国47都道府県協会や各カテゴリーの全国組織に公正で安心な環境づくりを担う「ウェルフェアオフィサー」を置いている。試合会場には暴力や暴言、差別的な言動を注意する担当者を配置。トッププロから草の根のクラブに対して、研修を受けた担当者を登録するような仕組みづくりを進めている。

 サッカーの指導現場で後を絶たないハラスメントや暴言をどう予防するのか。要因を個人の資質だけに帰すのではなく、日本協会やJリーグ、クラブが突き付けられた現実を受け止めなければいけない。許容、受容しないという姿勢を示して、早急に手を打たなければいけない。サッカー界のあり方が問われている。(サッカー担当・松岡祐司)