インドのキシャンガルで婚約写真を撮るアキル・シンガル(左)とアバニ・グプタ。こうした撮影をするカップルは多い。雪原のように見えるが、ここは、周辺の大理石産業から出る廃棄物の処分場だ。(PHOTOGRAPH BY SMITA SHARMA)

大理石の加工で生じた廃棄物の山は、この世のものとは思えない魅力を放っている。

 キシャンガルという場所にある廃棄物処分場の動画を初めてSNSで見たとき、アトゥル・シャウレイジヤは、「ここに行かなきゃ」と思ったという。インド北西部の暑く乾燥した平原に、真珠のように白く輝く、雪原と見まがう風景が広がっていたのだ。風景動画をSNSで発信して、広告収入で生計を立てている彼は、デリーにある自宅から列車で6時間かけて処分場へ行き、その様子を投稿した。すると、25万件の「いいね!」が付いた。

地図:CHRISTINE FELLENZ, NGM STAFF

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 独特の魅力を放つこのキシャンガルの景観を生み出したのは、大理石の加工工程で出る副産物の「大理石スラリー」、つまり炭酸カルシウムなどの鉱物微粒子と水とが混ざり合ったものだ。市の郊外にある処分場には、石の切断・研磨・艶出しを行う加工施設から、毎日大量のスラリーがタンク車で運び込まれる。キシャンガルがあるラージャスターン州では採石場が急増しており、加工施設も1200カ所を超えるという。ここは半乾燥気候なので、スラリーから水分が蒸発すると鉱物粒子が再結晶し、雪のように白い小山や段丘ができるのだ。

タンク車で運ばれてくる大理石スラリー。スラリーとは、大理石の切断や艶出しを行うときに使われる水と、鉱物粒子とが混ざり合ったものだ。(PHOTOGRAPH BY SMITA SHARMA)

タンク車で運ばれてくる大理石スラリー。スラリーとは、大理石の切断や艶出しを行うときに使われる水と、鉱物粒子とが混ざり合ったものだ。(PHOTOGRAPH BY SMITA SHARMA)

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