2025年11月15日(土)、16日(日)の2日間にかけて、第21回大阪アジアン映画祭の連動企画としてOSAKAシネマスケープ2025が開催されました。

そのイベント内で、韓国のインディーズ・アニメーション映画祭「ソウル・インディ・アニフェスト」の選出作品を上映する企画「花開くコリア・アニメーション傑作選」が2プログラム編成で開催されたので行ってきましたよ。

https://oaff.jp/projects/osaka-cinemascape2025/

花開くコリア・アニメーションというイベント自体は、現在おやすみ期間に入ってる状態で、ここ最近は日本開催がなし。その代わりにこちらの企画が行われている状態です。

今回ゲスト登壇としてソウル・インディ・アニフェスト実行委員会長のチェ・ユジンさんと、字幕翻訳を担当した『JUNK HEAD』『JUNK WORLD』の三宅敦子さん、そして司会として『夕焼けが生まれる街』の映像や『山火事』を手がけた小川泉さんが上映後に解説もしてくれました。

今回の「花開くコリア・アニメーション傑作選」は、傑作選と言いながらも比較的新しめの出品作をピックアップしてくれて、日本初上映作品も多かったです。

今回上映された中からいくつかピックアップして紹介しますね。

『The Popstar Water Deer and I』

The Popstar Water Deer and I
製作年:2024年 / 製作国:韓国
17分
監督:イ・サンファ

日本初上映。
『隕石が落ちたらいいな』のイ・サンファ監督の新作。アイドルとなったキバノロの幻想を抱く青年を描いた短編。この作品に出会うまで“キバノロ”なんて動物がいることを知らなかったですよ(雑に説明するとキバが生えた鹿)。

映像的な飛び道具の多さが楽しく、テンポも良く軽快。上映後の解説では作中の星座を語るシーンが『化物語』のオマージュであることや、アイドル描写にアイマスやラブライブを参考にしたと聞いてなるほどと思わされました。言及こそされてませんでしたが、その日本コンテンツの引用が並ぶと、サブリミナル的に明らかなFateパロディが挟まれてたのもなんだか腑に落ちます。

作中、明らかに『Fate』のこの名シーンの明らかなパロディが挟まれる。

かなり目まぐるしく変容していく映像は、昨今のショートムービーの流行の流れも汲んでいるそうで、混沌とした感じはかなり私好みでした。
おすすめ。

『New World Tour』

New World Tour
(原題:뉴-월드 관광)
製作年:2024年 / 製作国:韓国
12分
監督:イ・ムンジュ

日本初上映。
ソウルインディアニフェスト2024のグランプリ作品。
監督の子供時代に体験した家族旅行の思い出を描いた短編。作品の雰囲気からノスタルジーとして共感が全然できているのに、アジアのバス旅行ぶりや海岸の岩礁から剥いてなんか生で食べてるけど「それ何」ってシーンは文化的な「全く知らない」を伴っている感じで妙に面白いです。
韓国こそ日本と近いけど、本作を観ると“どんなに異文化でも家族もののノスタルジー作品は共感できてしまう説”があり得そうと思ったり。

『母の家』

母の家
(原題:엄마의 집)
製作年:2024年  /  製作国:韓国
12分
監督:キム・チャンス

ソウルインディアニフェスト2024KIAFA特別賞受賞作にして日本初上映作。ある中年男性が母を施設に送った帰りに、謎の獣人親子に遭遇し、その母獣人を山岳の花畑まで送り届けるのだが…….というお話。
結構ホラー味がある(それ好き)上に、テーマの投げかけの具合は明快。要は介護問題をテーマにした作品で、“姥捨山”的な民話が残る日本としても“近く”感じられる作品だと思う。

『ヤッホー』

ヤッホー
(原題:메아리 )
製作年:2022年 / 製作国:韓国
17分
監督:キム・サンジュン

ソウルインディアニフェスト2023のグランプリ作品。
団地の裏山に住み着き、早朝に「ヤッホー」と叫ぶ“ヤッホーおじさん” を子どもの視点から描いた作品。ヤッホーおじさん自体は土地開発反対で山に居座るおじさんなんですが、偶然蛇に襲われたところをそのおじさんに救われたことをきっかけに、奇人扱いしていた子どもたちの心境に変化が表れる──というお話。

17分という短編といえど長めの尺の中にしっかりクライマックスがあったり、気持ちいい余韻が残ったりとさすがのグランプリ作品。
とても良い作品でした。

監督インタビュー(韓国語)↓

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解説で三宅さんが、韓国語の汚い言葉の種類が多すぎて、それに対する日本語のバリエーションの少なさに困ったというエピソードが印象的。そんなに韓国語ってスラングが豊富なのか。知らなかった知識。

久しぶりに短編を立て続けに観る機会となり、その時点ですでに楽しかったのですが、ユジンさんや三宅さん、小川さんの解説トークも密な内容で良かったです。ぜひ、来年──いや、急がないのでいつの日か再び花コリが日本復活してくれることを祈ります。

おまけ

同日に花コリ傑作選とは別のプログラムもありまして、そちらの感想もついでに紹介。

『パーキングエリアの夜』

ザグレブ国際アニメーション映画祭にて特別賞、アイルランドアニメーションアワードにて最優秀国際短編映画賞など多数の受賞を経ている村本咲監督の短編。

観たいと思っていて観逃し続けてた作品についに邂逅。
高速バスのパーキングエリアでの休憩時間という個人的に馴染みがありすぎる10分間が、改めてアニメーションになると新鮮に見えつつ、その“あるある”ぶりにときめく。そして可愛い。ちょー好き。

『燕は南に飛ぶ』

2023年大阪アジアン映画祭芳泉短編賞受賞。
文化大革命末期の1976年の全寮制幼稚園が舞台。5歳のシャオイエンが不自由で孤独で辛い日々を迎える中、毛沢東主席の逝去の日を迎える──というもの。監督の母親の体験を基に作られたストップモーションアニメだそうで、その独特な素材選びや異様な雰囲気、その涙に込められたものの想像の余地の広がりに思いため息が乗るような作品でした。
なるほど、こりゃすごい。

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