すっかり島根土産の顔なのだろう。同僚が出張ついでに自虐カレンダーの新年版を買ってきた。〈スキップで3歩のスクランブル交差点がある〉〈巫女(みこ)の友達が多い〉。例のごとく、地元愛も薫るコピーに頰が緩む▲16作目らしい。さすがに文案が出尽くしたのか、今回は学生の知恵を借りたと聞く。9月のページで手が止まった。〈広島の人でも島根と鳥取間違える〉。四つんばいで泣く県の観光大使「吉田くん」の挿絵が切ない▲「島根は鳥取の左側です!」。そう染め抜いたTシャツが全国の話題を集めたのは20年近く前のこと。広島人まで、山陰の地図が思い浮かばぬ都会人になりつつあるのなら悲しい▲危機感が募るのだろう。「こちら島根県庁全力公務員」と銘打ち、若者向けSNSショート動画の発信も強めている。今週は職員の群像編。神話に満ちた古墳や遺跡を覚え込んだ「古墳ソムリエ」がいれば、自前のチェーンソーで薪(まき)ストーブ生活を楽しむ「薪割りマエストロ」も▲私生活の充実が、公務員たる本業にも生きる。島根では、いい意味での「公私ない交ぜ」人生があり得ることを教えてくれる。それもこれも、大本に地元愛があってこそに違いない。

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