(CNN) ハンガリーのオルバン首相は先週、ロシアと米国がウクライナでの戦争終結に向けた新たな首脳会談の開催地としてハンガリーのブダペストを選んだことを知り歓喜した。

欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるハンガリーを、ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領双方の同盟国と位置づけるオルバン氏は、「平和への道はブダペストを通る」ことを世界に示したいと願っていた。

しかし、トランプ政権がブダペストでの首脳会談の計画を突如棚上げし、22日にロシアの石油大手2社に対する制裁を発表したことで、オルバン氏の期待は打ち砕かれた。トランプ氏が大統領に復帰後、こうした措置に踏み切ったのは初めて。

制裁はロシアの軍備を枯渇させることを目的としているが、ハンガリー経済にも大打撃を与える可能性がある。2022年にロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、ほぼすべてのEU加盟国がロシア以外のエネルギー源の多様化を進めてきたのに対し、ハンガリーはロシアへの依存を深めている。同じく反自由主義的な中欧の隣国スロバキアと同様、ハンガリーは原油輸入をほぼ完全にロシアに依存している。

オルバン氏は今、自らのエネルギー政策の厳しい結末に向き合っている。米国の石油制裁に歩調を合わせる形でEUは23日、ロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を27年から禁止する方針を確認した。オルバン氏は先月、トランプ氏に対し、ロシアからのエネルギー輸入がなければハンガリー経済は「崩壊」すると語っていた。

10月13日、エジプトで行われたガザでの戦争終結に関する首脳会談で握手を交わすオルバン首相(左)トランプ米大統領/Yoan Valat/Pool/Reuters
10月13日、エジプトで行われたガザでの戦争終結に関する首脳会談で握手を交わすオルバン首相(左)トランプ米大統領/Yoan Valat/Pool/Reuters

オルバン氏はEUの画一的な姿勢を非難しつつも、自国の「主権」を支持すると明言する。これはハンガリーがEU内で独自の道を切り開き、外国の強硬派指導者との関係を築く権利を指す。しかし、EUによるエネルギー供給多様化の取り組みを無視して主権を追求する同氏の行動を受けて、ハンガリーは化石燃料を一国に依存せざるを得ない危険な状況に陥っている。

米国の石油制裁とLNG禁輸措置という二重の打撃は、オルバン氏が国内の野党勢力の台頭を抑え込もうと苦慮しているさなかに起きた。同氏は首相として、欧州で最長の在任期間を誇る。

オルバン氏はトランプ、プーチン両氏の首脳会談によって国内の支持基盤を強化できると期待していたが、今や深刻化する経済危機に直面している。このまま行けば来春の重要な選挙を前に、不利な立場へと追い込まれる可能性もある。

民主主義研究センター(CSD)とエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)の報告書によると、今年5月までにハンガリーとスロバキアの原油購入はロシアに54億ユーロ(約9600億円)の資金をもたらした。これは「ウクライナのインフラを破壊し、同国の民間人を殺害するために使用された『イスカンデルM』ミサイル1800発の購入費用に相当する」という。

ハンガリーがロシア産原油の輸入に使用するドルジバ・パイプライン/Bernadett Szabo/Reuters
ハンガリーがロシア産原油の輸入に使用するドルジバ・パイプライン/Bernadett Szabo/Reuters

ウクライナは今夏、ハンガリーがロシア産原油の輸入に使用するパイプラインを再三攻撃した。これにはロシアの戦争への資金援助を行った隣国を罰する狙いがある。

CSDとCREAの報告書はハンガリーについて、エネルギー供給源を多様化し、上記のパイプラインではなくクロアチアのパイプラインを通じてロシア産以外の原油を受け入れることができると指摘した。

しかし、オルバン氏に方針転換の兆候は見られない。24日の国営ラジオとのインタビューで、同氏はハンガリー政府が米国の制裁による影響を「回避する方法を検討している」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。