ところが、ピレネー山脈を超えて(数百キロ北の)ボルドーに差しかかったところでRVのエンジンの調子が悪くなり、ドルフィン・サーフを停めたガレージまで引き返さざるを得なくなったのです。

二人とも家族を訪ねたかったし、そのためにわざわざ取った休暇を無駄にもしたくなかったので、勢いにまかせてコンパクトEVでドイツに向かうことにしました。

1600キロのテストドライブ

一番心配だったのは、やはり充電です。チャージャーのないところで充電切れを起こしたら目も当てられません。

最初はかなり用心して、ビルトインのナビ任せにせず、必要だと感じたらとにかく随時充電することにしていたのですが、フランスとドイツの国境を超える頃には航続距離を感覚的につかめるようになって、充電のタイミングに気を揉むこともあまりなくなりました。

だいたい2〜2時間半走ったら休憩。自分だけならともかく、妻も子犬2匹も連れていたので、充電の必要があろうがなかろうが、どのみちそのくらいの間隔で定期的なトイレ休憩は必要だったのです。

深夜に立ち寄った充電ステーションの様子。ロゴの見えるエレクトラ(Electra)はフランスが本拠。欧州全域で急速充電ネットワーク構築を進めている。深夜に立ち寄った充電ステーションの様子。ロゴの見えるエレクトラ(Electra)はフランスが本拠。欧州全域で急速充電ネットワーク構築を進めている。Rafael Eduardo Wefers Verástegui

私たちは一晩中走り続けました。充電中は体力回復のために仮眠を取るようにしていたのですが、電池残量が10%を切ってから充電しても、30〜40分程度で満充電になるので、仮眠も毎度ほんの短いものでした。

結局、ドイツの家族のところにたどり着いたのは、ピレネー山脈のガレージを出てから22時間後。

ガソリン車なら18時間で到着できたはずですが、充電に4時間余分にかけたことで、その時間を(これまではやったこともなかった)仮眠に充てられたし、航続距離の不安も解消されて快適な旅になりました。

ドルフィン・サーフで1600キロ超を走り抜けたこの時の体験があまりに素晴らしくて、たまたま直後に自分も車が必要になったので、8月に冒頭でも触れたコンパクトハッチバックのドルフィンを買いました。

中国BYDのインド進出が急加速。そこがテスラの「墓場」になるかも | Business Insider Japan

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欧州の人たちはBYDに慣れてきた

ガソリン車と違って、EVは車載電池のパフォーマンスの問題があるので、暑さや寒さが航続距離にどう影響してくるかを考える必要があります。

そういう問題は確かにあるものの、一方で走りは素晴らしい。騒音も振動もないし、内燃機関のようなエンジンがないから無駄な排熱もない。スペインの夏はひどく暑いので、オーバーヒートの心配がなくなって助かります。

ソフトウェアも非常に優秀。とりわけビルトインの車載ナビは秀逸で、ドライブルートの設定が実にスムーズ。充電ネットワークプロバイダーと連携し、充電スタンドの混雑状況や急速充電可能なスタンドの位置などの情報も即座に得られます。

ベラステギ氏はBYD車のソフトウェアや車載ナビを高く評価する。ベラステギ氏はBYD車のソフトウェアや車載ナビを高く評価する。Rafael Eduardo Wefers Verástegui

ドルフィン・サーフ搭載の各種運転支援機能には、若干ウザいと感じる方もいるかもしれません。かなり頻繁(ひんぱん)に前方注意や速度制限超過の警告音を発します。後で購入したハッチバックのドルフィンの方はいくらか控え目、マイルドな印象です。

ドルフィン・サーフが欧州市場に投入されて数カ月が経ち、バルセロナの街中で見かける機会も多くなりました。他の車種も含めて、人々はBYD製のEVに馴染んできている感じがします。

BYDをはじめとする中国の自動車メーカーが欧州市場の競争環境を刺激するのは素晴らしいことだと個人的には思います。業界に変化の波が押し寄せるのも良いことです。

欧州の大手メーカーは現時点では中国メーカーと同じ土俵で真っ向勝負できていないように思います。イノベーションが必要なことは間違いありません。外部から吹き寄せる新たな風も不可欠だと思います。

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