EUの大統領と委員長は6月17日に選挙結果についての会合を開くとしている。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領。Marc Piasecki/Getty Imagesフランスの解散総選挙
フランスの政治家で弁護士のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)率いる極右政党「国民連合」が、与党連合に圧勝したことを受け、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は6月9日、フランスの議会下院にあたる国民議会を解散すると発表した。今回の選挙では中道である与党連合の得票率は14.6%、極右政党「国民連合」の得票率は31.4%だった。
議会の解散を受けて6月30日から7月7日の間に総選挙が行われる。これはマクロン大統領にとって危険な賭けだ。彼が率いる「欧州刷新」党は、ライバルであり反移民を掲げる「国民連合」にさらに議席を奪われる可能性がある。
また、国内政策に対するマクロン大統領の影響力が大幅に低下する可能性もある。ベテランの政治アナリスト、アラン・デュアメル(Alain Duhamel)はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、今回の選挙は野党の首相との「共存」政権を生む可能性が高いと述べている。
マクロン大統領は「これは深刻で重い決断だが、何よりも信頼に基づく行動だ」と述べたとFTが伝えている。
「フランス国民が自身と将来の世代のために正しい選択をする能力を信頼している」
ドイツも先行き不透明
フランスと同様に、ドイツも連立与党である社会民主党、緑の党、自由民主党が敗北を喫し、先行きが不透明になっている。
緑の党の支持率はほぼ半減し、オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相率いる社会民主党は、過去1世紀以上にわたる主要選挙で最悪の結果になったとポリティコが報じている。
ドイツのオラフ・ショルツ首相。Janine Schmitz/Getty Images
ポリティコによると、中道右派のキリスト教民主同盟は、過半数となる30.2%の票を獲得した。
また、ドイツ当局に過激派と疑われている「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率も急上昇した。AfDの得票数は、2021年にショルツが首相に選出されて以来ドイツの第一党となっている社会民主党を上回った。ポリティコによると、AfDの得票率は16%で、2019年の約11%から上昇した。
一方、連立与党の得票率は、3党を合わせても30%だった。
ベルギーも右傾化
ベルギーでは、欧州議会選挙が国政と地方の選挙と同時に行われた。
ポリティコの別の報道によると、右派の新フラームス同盟(N-VA)とフランス語圏リベラル派の「改革運動(MR)」が、3つの選挙すべてで勝利した。
アレキサンダー・デ・クロー(Alexander De Croo)首相は、自身が率いる中道右派政党「フラームス自由民主」が全面的に敗北したことを受け、6月9日にこう述べた。
「我々にとって特に厳しい夜だった。我々は負けた。明日をもって首相を辞任する」
AP通信によると、2019年の欧州議会選挙以降、極右政治家はハンガリー、イタリア、スロバキアで政権を主導し、スウェーデン、フィンランド、オランダでは連立与党に加わっている。

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極右政党が支持を得たのは、主に反移民、反LGBTQ+感情と結びついたナショナリズムとアイデンティティが高まっているからだとNYTが報じている。
今回の選挙の結果、EU全体で右派の力が強まっており、これはヨーロッパの政治体制が非難されていることを示しているようだ。
極右政党が勢力を拡大すれば、EU全体の議会が法律を可決するのが難しくなり、ウクライナとロシアの交渉に影響を及ぼす可能性がある。EUの極右政党の多くは親ロシアの立場をとっており、ロシアの側に立った和平協定を推進していると、NYTが指摘している。
Business Insiderは欧州議会にコメントを求めたが、回答は得られていない。

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