公開日時 2025年07月25日 05:00

沖縄戦継承 課題語る 歴史修正主義に危機感県地域史協
沖縄戦の継承に向けて各市町村の取り組みなどを共有する県地域史協議会のメンバー=23日、与那原町上の森かなちホール

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琉球新報朝刊

 県地域史協議会の研修会が23日、与那原町の上の森かなちホールであり、各市町村史編さん室の職員や博物館の学芸員ら約140人が参加した。戦後80年が経過し沖縄戦の風化が叫ばれる中、各市町村の継承の取り組みを共有し、地域史編さん事業のあり方などについて議論を深めた。
 研修会では沖縄戦体験者の聞き取りや地域史編さんに携わってきた職員が登壇。与那原町教育委員会の川島淳さんは、沖縄戦を美化する歴史修正主義の動きが強まっている現状に危機感をあらわにした。市町村などが実施する沖縄戦に関する企画展について「毎年同じような展示になってマンネリ化してしまうこともあるが、常に多様な視点で沖縄戦のありようを問い直すことが重要なことだ」と語った。
 恩納村史編さん係の瀬戸隆博さんは村内小中学校と連携した平和学習についての事例を紹介した。村史を活用した授業や児童生徒に家族の戦争体験を知ってもらう取り組みに加えて、地域の大人たちを巻き込んだ平和学習を行っているとして「いろんな人の手助けが必要であり、恩納村は教育委員会と一緒に汗を流して頑張ってくれる方がいることで、継承事業に取り組める」と語った。
 会場からは学校側との連携のあり方についても質問が出た。嘉手納町教育委員会の當山知恵さんは、歴史民俗資料室の「かでな未来館」でどのような平和学習ができるかなどが分かるパンフレットを作り、学校現場に配布していることを紹介。「われわれが持つメニューを提案することで、先生たちが授業などに取り入れることができる」と話した。
 協議会ではこのほか、韓国・済州大から戦時中の米軍空撮写真の複写を入手した琉球大の清水肇教授が写真群を紹介した。撮影された地域や撮影角度、精度において、これまで確認されていなかった写真がほとんどで、清水教授は「わたし一人では写真の解読は不可能だ。いろんな方に見てもらい情報を追加することで写真の資料的価値を高めることができる」と述べ、共同研究の協力を呼びかけた。(吉田健一)

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