製造業強化にまい進した中国はいまや世界最大のハイテク強国だ。米国は「追う立場」であることを自覚する必要がある。

独自進化の中国半導体産業

 半導体や人工知能(AI)などのハイテク分野における米中両国による覇権争いは、トランプ氏の大統領復帰により第2幕に突入した。トランプ政権は、半導体の国内製造支援を目的にバイデン前政権で2022年に成立したCHIPS・科学法(CHIPS法)を通じた補助金政策を否定し、トランプ流の「恫喝(どうかつ)」を通じて台湾や韓国、日本の協力を得ながら中国追撃を狙う。

 ただ、従来の政治常識では予測不可能な言動を繰り返すトランプ氏の「マッドマン(狂人)戦略」は、いつそのほころびを露呈してもおかしくない危うさが伴う。

米半導体大手の惨状

「CHIPS法はひどいものだ。廃止し、残った資金は債務削減に使うべきだ」──。トランプ氏は今年3月4日の施政方針演説で前政権時に成立した半導体強化政策を痛烈に批判した。米国の半導体産業は、技術者による創意工夫と、搭載製品が次々と投入される市場経済のダイナミズムを原動力に成長し発展してきた。ビジネスマン出身のトランプ氏の目には、誇り高かったこの業界が補助金という安易な資金調達手段を目の前にぶら下げられて、規律を失ったと映ったかもしれない。実際に、足元ではCHIPS法のほころびを示す事例も出ている。

 米半導体大手のウルフスピードは6月30日、連邦破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)を申請したと発表。電気自動車(EV)向け半導体を手掛ける同社は、CHIPS法に基づく補助金7億5000万ドル(約1100億円)を得ながらノースカロライナ州とニューヨーク州の工場を拡張する計画を進めていた(表1)。だが、EVの成長鈍化や金利上昇に伴い資金繰りに行き詰まった。

 インテルの経営も苦境にある。24年12月期の通期決算で純損益が約18…



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週刊エコノミスト

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