東京・伊豆諸島の三宅島で17日午前から山頂の火口直下を震源とする地震活動が活発になり、気象庁は昼過ぎに噴火警戒レベルを火口周辺規制を示す「2」に引き上げました。
山頂火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があるとして、噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、伊豆諸島の三宅島では17日午前10時ごろから、山頂火口の直下を震源とする微小な火山性地震が増え、ふだんは1日あたり数回程度なのに対して17日は午後3時までに59回に上っています。

また、山頂方向が上がるような地盤の変動も観測されました。

気象庁は、山頂火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があるとしてきょう午後0時50分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」を示す「1」から、「火口周辺規制」を示す「2」に引き上げました。

昼ごろをピークに地震の回数は減少し、地盤の変動も鈍くなっているということですが、気象庁は、雄山環状線の内側では噴火に伴う大きな噴石に警戒し、地元自治体などの指示に従って危険な地域には入らないよう呼びかけています。

また、風下側では噴火した際に火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るおそれがあり注意が必要です。

三宅島では、25年前の2000年に山頂火口で噴火活動が活発になり、島内で繰り返し火山灰が降ったほか、大量の火山ガスが放出し続けたことでおよそ4年半にわたって島民が島の外に避難しました。

噴火は2013年を最後に起きていませんが、最近では、山の深い場所の膨張を示す地盤の変動がみられ、マグマの蓄積が進んでいるとされていました。

【専門家“マグマが動いたものの浅いところまで上昇せずにどとまったか”】
三宅島の噴火警戒レベルが2に引き上げられたことについて、専門家は火山性地震の波形の特徴から地下のマグマが動いたものの浅いところまで上昇せずにどとまったとみられると指摘したうえで、今後の火山活動に注意するよう呼びかけています。

三宅島では、午前中から火口直下を震源とする火山性地震が増加するなどしたため、噴火警戒レベルが2に引き上げられました。

三宅島の火山活動に詳しい東京大学地震研究所の大湊隆雄教授によりますと、三宅島では、これまでもたびたび火山性地震が観測されていたものの、今回は地震の波形が異なるということです。

岩石が破壊されるときに見られる波形だったということで、大湊教授は地下のマグマが動いたためではないかと指摘しています。

一方、午後になって地震活動が収まっていることなどから、マグマは浅いところまで上昇せずにとどまっているとみられるとしています。

大湊教授は「三宅島では長期的にマグマの蓄積が進んでいる。いつ噴火が起こるか具体的な予測は難しいが、体に揺れを感じる地震が起きれば事態の進行は早まる。いざというときに慌てないよう改めて避難ルートの確認などを進めて欲しい」と話しています。

【最近の火山活動は】
三宅島での噴火自体は2013年に起きたごく小規模な噴火が最後ですが、その後、GPSによる観測では地下深くの膨張を示す地盤の変動が続き、マグマの蓄積が進んでいるとされていました。

また、2022年以降は火口の内部で地熱温度の上昇などがみられていました。

【2000年に噴火活動活発に全島避難も】
2000年には噴火活動が活発になり、島民の生活にも大きな影響を与えました。

この年の6月下旬、島内から島の西の沖合に広がる群発的な地震活動が起きたほか、山頂火口の雄山の直下を震源とする地震が増加し、山頂での小規模な噴火のあとには「カルデラ」と呼ばれる陥没した地形が形成されました。

その後も断続的な噴火によって島内の集落には何度も火山灰が降り、雨が降るたびに泥流も頻発しました。

8月には噴煙が上空1万4000メートルに及ぶ噴火で、山のふもとの集落にも火山れきが降ったほか、別の噴火では低温の火砕流が流れ下ったことで防災関係者を除くすべての住民3800人余りが島の外へ避難しました。

9月以降は有毒な火山ガスが1日数万トンと大量に放出される状況が続いたため、島外への避難が長期化し、避難指示が解除されたのはおよそ4年半後の2005年の2月でした。

【溶岩流で集落埋没や死者が出たケースも】
過去の噴火では溶岩が流出して大きな被害も出ています。

1983年の噴火では、山腹にできた割れ目から溶岩が噴き上がり、南西部の集落にあった家屋や学校などおよそ400棟を埋めました。

また、海岸付近では激しいマグマ水蒸気噴火が発生し、噴出した多量の岩の塊が島を一周する都道にまで飛びました。

1962年にも山腹から噴火が発生し溶岩が流れ出たほか、体に揺れを感じる地震が多発したことで数千人が島の外へ避難しました。

死者が出たケースもあり、1940年には海岸近くの居住地域の山腹で噴火が起き、噴石で11人が死亡しました。