この節目の年にあたり、さまざまな出会いや対話を通じて、あらためて「伝えること」の意味を考えるようになりました。広島やバンクーバー、ウィニペグ、オタワなど様々な地域の方々と交流する機会が増えました。特に、広島原爆被爆者であり、ノーベル平和賞やカナダ勲章を受賞されたサーロー節子さんとお話する機会にも恵まれ、深い影響を受けています。

▲在カナダ日本国大使館・山野内勘二大使とサーロー節子さん

皆さんそれぞれが今年の80周年を特別な思いで受け止めており、私自身もその想いに触発され、職場(病院)において、私のオフィスがある同じフロアの同僚が使うオフィスのネームプレートに折り鶴を飾り、身近で小さな「伝える」活動を始めました。意外にも多くの同僚から、「80周年だから折り鶴なんだね」と声をかけてもらいました。職場には医師と学生が主ですが、その中にはカナダで生まれ育った人、海外から移住してきた人、また駐在や留学で来ている人など、さまざまな背景の人がおり、立場を超えて同じテーマで対話が生まれ、日本のことや他の国にとっての80周年についても話が広がっています。

25年以上トロントに暮らし、ここで家庭を築き、次第に当たり前になっていた日本人としてのアイデンティティーを改めて意識し直すきっかけとなりました。戦争を直接体験していない私が、遠く離れたトロントで、どんなささいな行動であっても、「伝える」ということを実践することに意味があるのかもしれないと感じています。

そうした想いから、地域のイベントにも関わるようになりました。私が代表を務めるトロント都道府県人会連合会は、広島県人会を中心に、7月5日にハミルトンで開催される終戦80周年イベントを共催いたします。

ぜひ、7月5日にハミルトンで行われるイベント「80年:広島長崎を通して戦争を考える」(https://najc.ca/nihongo/80-years-on)、そして連合会と広島県人会がコミュニティースポンサーとなる6月24日のJCCC映画祭TJFFで上映される終戦80周年特別映画『The Vow From Hiroshima』(https://jccc.on.ca/film/vow-hiroshima)に足をお運びください。

これらのイベントが、トロントに暮らす日系人や移住者、地元の皆さんにとって、戦争を次世代へ伝えることを考えるきっかけとなればと願っています。

原あんず原あんず

文章=原あんず