J1アビスパ福岡との天皇杯2回戦(6月11日・ベスト電器スタジアム)に挑む沖縄SV。JFLの舞台から見上げるような強豪との一戦は、まさにクラブの真価が問われる舞台となる。

 

・ 暑熱と短期日程を越えて

7日(土)のヴェルスパ大分戦を終え、中3日で迎える福岡戦。この過密日程に対して小野木玲監督は「これは歓迎すべきこと」ときっぱり語った。J1クラブが日常としてこなしているこのハードスケジュールを、自分たちも当然のように越えていく必要がある。これは単なるスケジュールではなく、上を目指す者に与えられた「登竜門」だ。

この短い準備期間で沖縄SVの選手たちは何を意識したのか。小野木監督は選手たちの表情を見た瞬間「ギラギラとした意欲」が宿っていたという。

 

・「勝ちたい」だけでは勝てない

福岡との一戦に向け、小野木監督は繰り返し口にする。「勝ちたいだけでは勝てない」。それはただ気持ちの強さだけではJ1クラブの完成度には太刀打ちできないという冷静な分析だ。福岡は切り替えの速さ、サイド攻撃、中央からの崩しと多彩なスタイルを持ち、どの選手が出ても質が落ちない成熟したチーム。対する沖縄SVは、自らの「らしさ」を持ち込み、そこにどこまで自信をもって立ち向かえるかが問われる。

「練習でできないことは試合ではできない」。ならばこそ、自分たちのスタイルであるパスワーク、走力、連動した守備と攻撃。それをいかに敵地で「恐れず表現するか」が鍵となる。

 

・ 格上という言葉を力に変える

「今、このステージに立てること自体がありがたい」。

指揮官のその言葉に真剣さと感謝がにじむ。福岡は格上だ。しかし、それを「畏れ(おそれ)」として捉えるのか、「挑戦」とみなすのかは大きな違いだ。沖縄SVの選手たちは後者を選んでいる。この試合は自分たちの現在地を確かめる試金石でもある。選手たちの目がギラギラと輝いているのは、その意味を理解しているからこそ。

天皇杯という全国規模の舞台で、沖縄SV「らしさ」を示すことは、JFLを超えた価値を持つ。勝敗以上に「どれだけ仕掛けられたか」、「どれだけ自分たちの色を出せたか」。それがこの試合の意味であり、次への足がかりとなる。そして、たとえ90分が過ぎようとも彼らの挑戦は終わらない。14日には大阪でのFCティアモ枚方戦(JFL・第12節)が控えているが、今はただ、目の前の福岡戦にすべてを懸ける。

 

取材・編集・写真:仲本兼進(RYUKYU SOCCER PRESS)