英国のスターマー首相は9日、英国における人工知能(AI)インフラ強化のため、「計算能力を20倍に拡大する」ことを目指し、10億ポンド(約2000億円)の追加資金拠出を発表した。ロンドン・テック・ウィークで、米AI半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)と対談し、明らかにした。

ロンドン・テック・ウィークに登壇したエヌビディアのジェンスン・ファンCEO

Source: London Tech Week)

  ファン氏は対談で、英国のAI人材について「世界が羨むほど」と述べ、同国の研究者や大学、スタートアップを高く評価した。同時に、こうした潜在力を解き放つために、英国にはより多くのインフラが必要だとも指摘した。

  ファン氏は「英国はAI企業が成長するための好条件が整った『ゴルディロックス(ちょうど良い)状態』にある。自前のインフラを持たない、世界最大のAIエコシステムだ」と語った。

  英政府は、AI分野の人材の育成と研究の拡充を目的に、エヌビディアとのパートナーシップも発表した。

Keir Starmer and Jensen Huang during London Tech Week on June 9

英国のスターマー首相(左)とエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(6月9日)

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」のような生成AIツールに使われているAIモデルは、構築や、全世界の数百万人の利用者からの問い合わせに対応するため、膨大な「コンピューティング能力」を必要とする。それを支えるデータセンターには、大量の電力、水などのインフラが不可欠となる。

  ファン氏は「英国にとって極めて特別かつ絶好の機会だ。AIは一つの技術であると同時に、あらゆる産業に同時多発的に影響を与えるという点でインフラでもある」と強調した。

  欧州は、革新的な生成AI企業の創出や、米国・中国と並ぶデータセンターの開発で苦戦してきた。ファン氏は欧州で「非常に多数のAI専用施設の計画が進んでいる」と話す。同氏は11日にパリで開催されるテック系イベント「ビバ・テック」に登壇するほか、ドイツ、フランス、ベルギーでも首脳らと面会する予定だ。

原題:Nvidia CEO Says UK AI Talent Is Envy of World and Needs Support(抜粋)