
ことし7月、埼玉県春日部市で「NHKのど自慢」が開催されます。10年前にも春日部市で行われたのど自慢。当時の出場者たちを取材すると、舞台で披露した歌を今も大切にしている方々に出会いました。
※おはよう日本(関東甲信越) 5月29日放送
2015年 春日部市で「のど自慢」開催
2015年 埼玉県春日部市での「のど自慢」
2015年7月26日、春日部市で開催されたのど自慢。
埼玉県内から出場者を募り、書類選考と予選会を通過した20組が自慢の歌声を響かせました。
この日は、8組もの合格者が誕生。春日部伝統の大凧の衣装で歌う出場者も登場するなど盛り上がりました。
当時の出場者たちは今でも交流
2015年春日部市のど自慢 “同窓会”
あれから10年…。
取材に訪れたのは、春日部市にある寿司店。そこには、4人の出場者たちが集まっていました。
今も折に触れて集まり親睦を深めています。
春日部市伝統の大凧
大凧を揚げるのは100人以上 江戸川河川敷
当時トップバッターとして、春日部伝統の大凧をアピールした石原保さんは、現在も変わらず大凧の伝統を守り続けています。今年5月の大凧あげ祭りでは、春日部市制施行20周年を記念して「春日部」と「20周年」の文字が描かれた、たたみ100畳分の巨大な大凧が上がりました。
石原保さん
今年は、おかげさまで風がバッチグーで。184年の歴史をずっと守っていこうと思って、僕が頑張れるところまでは凧をやっていこうと思っています
当時大トリを務めた松橋美保さん ライブ活動
そして、当時大トリを務めたのは地元青森から出てきたばかりだった松橋美保さん。
現在は、のど自慢をきっかけにバンドに誘われ、ボーカルとして毎月ライブに出演しています。
松橋美保さん
出場後に歌のお誘いがものすごく舞い込んでくるようになりましたね。これからもずっと歌を歌っていきたいです。
歌に勇気をもらった
2015年のど自慢出場 塚本直之さん
出場者の一人、寿司職人の塚本直之さんは、歌に勇気をもらった一人です。のど自慢で歌った経験が自信につながり一念発起。のど自慢出場から2年で、念願だった自分の店を開きました。
塚本直之さん
勢い的にはやっぱりのど自慢に出たというのはかなり大きくて、何かできるんじゃないかみたいなのはありましたね。起爆剤じゃないけど。

しかし、まもなくコロナ禍で経営は悪化。
その後体調を崩し、8年続いた店も閉めざるを得なくなりました。
のど自慢出場記念のトロフィー
働けないことが一番辛かったという塚本さん。
もどかしさを抱えながらも、「この苦しみを乗り越える」と再起を誓うきっかけをくれたのは、のど自慢で歌った五木ひろしさんの「契り」でした。
塚本直之さん
入院した時も聞いていたし、見舞いに来る人たちとか大切にしなきゃいけないっていうのを契りでちょっと思い出して支えになったような。頑張ろうとか。ここでくじけちゃいけないなみたいな。
再び仕事を始めた塚本さん
心機一転。以前働いていた店で仕事を始めた塚本さん。
歌とお客さんに支えられながら、いつの日かもう一度店を開くことを夢見ています。
歌をきっかけに新たな活動をスタート
2015年のど自慢 丸茂とよ子さん
出場者の中には、歌で新たな活動を始めた人もいました。
丸茂とよ子さん76歳です。
介護施設で高齢者に歌を届ける丸茂さん
丸茂さんは現在、介護施設でデイサービスを利用する高齢者たちに歌を届けています。
毎月1回、1時間で10曲ほどを歌うステージを続けること8年。それまでは、人前で歌ったことすらありませんでした。
きっかけは、丸茂さんがのど自慢で歌う姿を見た介護施設の職員が、丸茂さんに声をかけたことでした。
介護施設職員 中島満恵さん
(のど自慢を見て)人生を感じさせる素敵な深い声で。前向きな人で積極的。そこら辺がぴったりだと思いました。

こうした活動の最中、丸茂さんにとって、つらい出来事もありました。3年前、最愛の夫・正富さんを不慮の事故で亡くしたのです。
丸茂とよ子さん
全く想像もしないことだったので、もう急にバタバタで、何かを考えるとか何もなかったですよね。

そんなとき、一番の支えとなったのは歌。そして歌を楽しみに待つ高齢者たちでした。元気を与えたいと始めた活動が、いつしか丸茂さんの支えとなっていました。
丸茂とよ子さん
私が楽しくなかったら相手も楽しくないって心しているんです。手を振って「またね」という感じで、期待されているのでやる気も起きますよね。
のど自慢の経験は今も支えに
2015年当時の出場者たち
“同窓会”のメンバー
出場者たちの胸に刻まれているあのときの歌と舞台。
10年経ったいまも、出場者たちを励まし続けていました。
取材を終えて
10年ぶりとなる春日部市ののど自慢は、7月20日に正和工業にじいろホール(春日部市民文化会館)で開催されます。
当時の出場者の中には、もう一度あのステージで歌いたいと思っている人も少なくありません。もしかしたら、再びのど自慢のステージで歌う姿が見られるかもしれません。
