19日の日本市場では円が上昇。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の格付けを引き下げたことを受けて米財政懸念が意識された上、今週に見込まれる日米財務相協議への警戒感もあり、一時1ドル=144円台後半まで買われた。債券と株式は下落した。
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ムーディーズは16日、米国の長期発行体格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたと発表した。フィッチ・レーティングスとS&Pグローバル・レーティングに続く格下げにより、米国はトリプルA格付けを失った。日本時間19日の取引で米30年国債利回りは心理的節目の5%に到達。米国株先物とドルは共に下落した。
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ベッセント米財務長官は格下げについて、「ムーディーズは遅行指標だ」として大した懸念ではないとの見方を示した。SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは19日付リポートで、米政権が財政の持続性に向けた明確なアクションを取らない場合、米国資産には「4月と同様のトリプル安が生じ得る」との見方を示した。
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日本市場の為替・債券・株式相場の動き-午後3時39分現在円は対ドルで前週末のニューヨーク終値比0.5%高の145円02銭一時0.6%高の144円81銭と、8日以来の高値ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時前週末比0.3%下落長期国債先物6月物の終値は前週末比28銭安の139円25銭新発10年債は3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.48%東証株価指数(TOPIX)の終値は前週末比0.1%安の2738.39日経平均株価は0.7%安の3万7498円63銭外国為替
東京外国為替市場の円相場は対ドルで144円台後半に上昇した。ムーディーズによる格下げを受けて米財政リスクを意識したドル売り・円買いが進行。今週行われる見込みの日米財務相協議に対する警戒感も円を支えた。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、米国資産がミニトリプル安的な動きとなる中、アジア株も全般的に軟調でリスク回避の円買いが意識されていると指摘。欧州も米国もまだ今回の米格下げを完全には消化し切れていないため、目先は「瞬間的にドル・円の144円割れがあってもおかしくない」と話した。
円はドル以外の主要通貨に対しても上昇。20日からカナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、加藤勝信財務相とベッセント米財務長官が為替について協議する可能性があり、市場では米国が円安是正を求めるとの観測がくすぶっている。SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、「もっと円高に行った方がいい、といったニュアンスのある言葉が出てくれば、ドル・円は下に行く」と予想する。
一方、外為どっとコム総研の神田氏は「格下げ騒動直後の会談で米国がドル安誘導的な要求をすることは普通の感覚ではあり得ない」とし、為替について踏み込んだ議論がなければ、格下げによるドル売りが収束した後に今度は円が売られるリスクがあることを意識すべきだと指摘した。
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債券
債券相場は下落。ムーディーズが米国の信用格付けを引き下げ、米長期金利が上昇したことを受けて売りが優勢だった。
T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは、「格下げは予想されていたとはいえ、タイミングが良くない」と話す。米国で物価上昇と景気悪化が同時進行するスタグフレーションへの懸念が強まっているだけに、米国資産への不安を高めるほか、国内でも財政拡張リスクから日米とも超長期金利は高止まりするとの見方を示した。
石破茂首相が国会答弁で日本の財政状況は「ギリシャよりもよろしくない状況だ」と述べたことが売り材料視されたとの指摘もあった。みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、日本のトップから自国の財政を懸念する発言が出れば、国内投資家はともかく、海外勢は買いを控える可能性が高いと言う。
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日銀は午前10時10分に定例の国債買い入れを通知。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超で、買い入れ額はいずれも据え置いた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、25年超対象のオペの入札価格がやや弱かったことで先物が下げ幅を広げたとみていた。
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新発国債利回り(午後3時時点)
2年債5年債10年債20年債30年債40年債 0.715%0.995%1.480%2.405%2.970%3.450%前週末比+1.0bp+1.5bp+3.0bp+3.0bp+1.5bp-0.5bp
株式
東京株式相場は下落。ムーディーズの米国格下げを受け、金融市場に与える影響を懸念した売りが優勢だった。
T&Dアセットの浪岡氏は、ムーディーズの格下げがきょうの株価を押し下げていると指摘。米国外への資金逃避が起きる可能性があるが、「日本と米国の市場は一蓮托生(いちれんたくしょう)として見られるため、日本株にとってネガティブ」との見方を示した。
一方、医薬品株などは買われて相場を下支えし、TOPIXは上昇する場面があった。第一三共はUBSが目標株価を引き上げ、7%超上昇した。台北でのアジア最大級のエレクトロニクス見本市「コンピュテックス2025」への期待感からテック株の一部や自動車株にも買いが入った。
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オルタス・アドバイザーズのアンドリュー・ジャクソン日本株戦略責任者は、自動車メーカーの株価は先週安かったため、コンピュテックスへの期待感から特に追い風を受けていると話した。見本市は昨年も株式相場の好材料になったと指摘した。
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