米相互関税、バングラデシュとスリランカの衣料品製造業界に衝撃

トランプ米大統領が打ち出した相互関税は、バングラデシュとスリランカの衣料品製造業界に衝撃を与えている。写真は2020年5月、ダッカで撮影(2025年 ロイター/Mohammad Ponir Hossain)

[ダッカ/コロンボ/ムンバイ 3日 ロイター] – トランプ米大統領が打ち出した相互関税は、バングラデシュとスリランカの衣料品製造業界に衝撃を与えている。経済的に貧しい両国にとって衣料品製造は重要な産業だが、米国向け輸出に高額の関税が適用される事態になったからだ。

 バングラデシュの場合、輸出収入全体の8割強を占めるのが衣料品で、就業者数は400万人に上り、年間国内総生産(GDP)のほぼ10%を産出する。

 北米と欧州のアパレル小売り業者を顧客に抱えるバングラデシュのある衣料品メーカー経営者は「ある程度覚悟はしていた。しかしこれほど劇的(な税率)は全く想定していなかった。わが社の事業と数千人に上る従業員にとって恐怖でしかない」と語る。

 この経営者は、コスト増大によってバングラデシュの競争力が失われ、取引先からの発注を取り消されるのではないかと懸念している。

 バングラデシュに課される関税率は37%。国内2500カ所余りの工場を支援する業界団体はロイターに、業界が受ける打撃について3日に政府へ支援を要請し、政府側からは真剣に検討中だとの回答を得たと明かした。

 シャフィクル・アラム官房長官は、政府は米国と貿易問題で協議を続けており、関税に関しても解決につながると期待していると述べた。

 衣料品輸出のおよそ4割が米国向けのスリランカにも44%の関税率が適用される。衣料品製造は、就業者数は30万人で、品目別では輸出収入が2番目に大きい主要産業だ。

 スリランカ大統領府は、相互関税で生じる諸問題を調査するために政府と衣料品業界の代表で構成する委員会を立ち上げたと発表した。

 一方米国の有力アパレルブランドが昨年8月にバングラデシュで起きた政変を機に、同国からインドの業者へと取引を切り替える意向を示していることもあり、今後インドから米国への衣料品輸出が一段と拡大する可能性もある。

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