米経済の好調により、ディストレスト債への投資機会が少ない状態が続いてきたが、状況は変わりつつあるかもしれないと、ベテランの高利回り債アナリスト、マーティン・フリッドソン氏は考えている。

  米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の上級融資担当者調査によると、銀行は中規模以上の企業への融資基準を過去3年で最も大幅に引き締めた。これにより、高い資金調達コストや貿易戦争の激化による世界的な不安定で既に苦しんでいる借り手は、さらに追い込まれることになる。

  「限界付近では、信用基準の引き締めにより多くの企業がデフォルト(債務不履行)の深刻なリスクにさらされることになる」と、数十年にわたりウォール街で研究されてきた債務分析の専門家で元メリルリンチ戦略担当者のフリッドソン氏は述べた。

  リスクの高い借り手は、新型コロナウイルス禍の時期に低金利で借り入れた債務が満期を迎え始めており、より高い金利での借り換えを迫られている。昨年9月に連邦準備制度が利下げに踏み切ったにもかかわらず、10年物米国債利回りなど借り入れコストの基準となる金利はそれ以降上昇している。

  ジャンク格付けの企業の収益が圧迫され人員削減につながり、経済全体に悪影響が広がる可能性がある。

  1997年までさかのぼるフリッドソン氏のデータによると、融資基準と信用市場のディストレスの度合いには約0.7の相関関係がある。スプレッドが1000ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上のディストレスト債の比率は1月に3.7%まで低下し、過去の平均12.7%を大幅に下回っている。2023年3月に付けた直近ピーク10.4%からも低下している。

When Banks Get Tougher, Distress Usually Rises

Corporate bond spreads blow out after lenders pull back

Source: Federal Reserve, BAML, Bloomberg Intelligence

 

  「ディストレスト債比率が直ちに急上昇することはないだろうが、上昇はするだろう」と、フリッドソン氏は述べた。08年11月にディストレスト債比率が過去最高の82%に達した時、信用供与は過去最悪の状態にあったと、フリッドソン・ビジョン・ハイ・イールド・ストラテジー最高経営責任者(CEO)のフリッドソン氏は説明した。

  もちろん、FRBの最新調査結果は一時的なものに過ぎない可能性もある。融資基準は23年9月以降、緩和傾向にあり、銀行が貿易戦争による不安定を重大視せず米国が持続可能な長期成長路線にあると確信すれば、再び緩和される可能性がある。

  しかし、22年10-12月以来の大幅な貸し出し基準厳格化により、満期が近く、弱い企業には圧力がかかっている。一部の企業にとっては、借り換え後の金利負担が持続不可能なほど高くなっており、新たな貿易および移民政策が重しとなってと収益が圧迫される可能性がある。債券市場の今後は予測困難だ。

  「ディストレスト債比率が長期にわたって低い状態が続いていることは、『爆発寸前の火薬庫』のようなものだ」と、ブルームバーグ・インテリジェンスの上級クレジットアナリスト、フィル・ブレンデル氏は最近のポッドキャストで語った。

  「地政学的な状況は極めて不安定であり、いずれ、われわれの予想を上回る大混乱を引き起こす何らかの出来事が起こると思う」と話した。

原題:Junk Bond Guru Fridson Sees Rising Distress Ahead: Credit Weekly(抜粋)

 

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