手作りの漬物が並ぶ道の駅十文字(5月25日、横手市で)
秋田名産の「いぶりがっこ」など漬物の製造・販売が保健所の許可制となる改正食品衛生法の経過措置期間が5月末に終了した。高齢者を中心に引退する生産者が増えることが懸念されるとして、自治体が共同加工場の整備といった支援に乗り出している。(熱田裕雅)■県調査7割継続 横手市の「道の駅十文字」の売り場に並ぶ、いぶりがっこ、キュウリ、大根などの漬物。約30人の生産者の名前がパッケージに記されており、商品を手に取った女性(70)は「生産者によって味が違う。お気に入りを探すのが楽しい」と話した。 道の駅の運営会社によると、生産者の多くが60~70歳代と高齢化している。保健所の許可が必要となる6月からは販売をやめる人もいて、売り上げの減少が見込まれるという。樋渡直社長は「どれだけ減少するのか分からないが、今後も地元の生産者の個性ある味を守り、売り場の確保はしていきたい」と語った。 県が漬物生産者636人を対象に2021年に実施したアンケート調査によると、約7割が加工施設を改修し、許可取得の意向を示した。今年2月現在、そのうち約9割が加工施設の整備を終えたか整備中とした。 また、県生活衛生課によると、許可を取得した県内の個人・法人は3月末時点で計334施設に上り、横手保健所管内が最多の79施設だった。■自治体が支援 一方、地域の漬物文化を守ろうと、自治体が支援に乗り出している。 横手市は昨年3月、自前で加工施設を持つことが難しい人や、漬物作りを始める人を対象に、山内地区に共同の加工場を整備した。約60平方メートルの室内には、大根の洗い場やいぶして漬けた大根の保管スペース、手洗い室や更衣室などを設けたという。 また、同市は昨年度、県と共同で行った上限1000万円の設備改修費の補助事業を終了させたが、今年度は市単独で上限40万円を補助する事業を継続。市食農推進課は「生産者が多い横手市では製造・販売を悩んでいる人がいる。多くの人に生産を続けてほしい」としている。 国内外の食文化に詳しい長野県立大の中沢弥子教授(食文化研究)は「漬物は季節感や古里を感じられ、先人の知恵と工夫が詰まっている」とし、「漬物文化を守るためにも、漬物作りを引退した人が若い世代に技術を継承する場を設けることが重要」と指摘した。
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