第1次世界大戦(1914~18年)で日本の捕虜となったドイツ軍将校が、久留米や熊本の収容所で撮影した写真などをまとめた本が、福岡市の出版社「花書院」から刊行された。久留米大文学部の大庭卓也教授(52)と久留米市文化財保護課の小沢太郎主査(54)が編集し、ドイツ兵捕虜の収容所での暮らしぶりや、当時の日本人やまちの風景などを写した219点が収められている。(立山芽衣)
本を編集した大庭教授(左)と小沢さん 第1次大戦では、ドイツの中国での拠点だった青島を日本軍が攻略。数千人のドイツ兵捕虜が日本各地の収容所に送られた。熊本には1914~15年、久留米には14~20年に開設され、国分村(現・久留米市国分町)にあった久留米の収容所では、最大約1300人が集団生活を送ったという。
エドゥアルト・ヴィル(久留米大御井図書館所蔵) 写真を撮影したのは、ドイツ人のエドゥアルト・ヴィル(1883年~没年不詳)。青島で弁護士をしていたが、戦争が始まると予備役の陸軍少尉として従軍した。捕虜となって日本に送られ、熊本の収容所で約7か月、久留米で約4年半を過ごした。 久留米大は、ヴィルが残した写真帳など収容所関連の資料を古書店から購入。2022年に文学部の創立30周年を記念して、それらの写真を紹介する企画展が同大などで開かれたことを機に、準備にあたった大庭教授と小沢さんが書籍化の話を進めてきた。
カラー化した捕虜たちの写真(久留米大御井図書館所蔵)
本のタイトルは「熊本・久留米
俘虜(ふりょ)
収容所〔1914―1920〕の風景―あるドイツ将校の写真
帖(ちょう)
でたどる」(B5判、140ページ)。ヴィルが久留米と熊本で撮影した写真計475点のうち219点を収録している。人工知能(AI)技術を活用して17点をカラー化したほか、写真の一部を拡大して人物の表情や服装などを見やすくするなど工夫した。
洗濯場で水をくむ捕虜たち(久留米大御井図書館所蔵) 久留米の写真は、食事や洗濯、入浴などの日常生活に加え、所内で開かれたテニスやサッカーなどのスポーツ大会、オーケストラの練習風景などのカットもある。収容所で働く日本人の大工や左官などの写真も載せた。熊本の写真では、庭でお茶を楽しむ将校たちや、遠足で金峰山や水前寺公園を訪れた捕虜たちなどが収められている。 また、久留米の収容所で発行された音楽会や演劇会などのプログラムについても紹介。その数は約200点に上り、捕虜たちの娯楽として音楽活動が盛んに催されていたことを物語る。 大庭教授は「写真一枚一枚にエピソードがあり、捕虜が人道的に扱われていたことが分かる」と話し、小沢さんは「久留米の人々やまちの風景を捉えた写真もあり、当時の日本人の研究にも役立ててほしい」としている。 税込み2200円。問い合わせは同大(0942・43・4411)へ。
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