インターネットのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で交流し、時間をかけて相手を信頼させて金をだまし取るタイプの詐欺が、広島県内で急増している。株式や外国為替での利益の出し方を指南するなどとして偽の投資アプリを使わせる「投資詐欺」や、SNSで親しくなり恋愛感情を抱かせて金を詐取する「ロマンス詐欺」の手口が目立ち、県警が注意を呼びかけている。(中安瞳)ネットで誘い込む連絡会議でSNS型詐欺の被害状況を説明する太田・減らそう犯罪情報官(左奥、広島市で)連絡会議でSNS型詐欺の被害状況を説明する太田・減らそう犯罪情報官(左奥、広島市で) 東広島市の50歳代の女性は昨年8~9月、SNS型の投資詐欺で1922万円をだまし取られた。「優良株の勉強ができる」。6月、そんな内容の動画投稿サイト「ユーチューブ」の動画から無料通信アプリ「LINE(ライン)」に誘導され、そこで知り合った人物から「初心者交流グループ」に招待されるという流れだった。

 参加者同士が、利益が出ていることなどを報告し合う中、女性は「カスタマーサポート役」を名乗る人物に偽の投資アプリをダウンロードするよう勧められ、10回にわたり外国為替取引への投資名目で指定された口座に振り込みを行った。アプリ上では利益が出ているように表示されていたが、稼いだ金を引き出そうとするとさらに金を振り込むよう要求され、詐欺だと気づいたという。 SNS型のロマンス詐欺では、マッチングアプリなどから知り合った被害者に恋愛感情や親近感を抱かせ、その後、投資話を持ちかけて投資詐欺に転じる手口が多い。インスタ最多 県警によると、昨年1年間のSNS型の投資詐欺とロマンス詐欺の被害は128件で、被害額は計約9億3800万円だった。しかし今年は1~4月だけで122件、計約14億7800万円と急速に増加。被害者の年代は、50歳代が30%、60歳代が25%の順で多く、40~60歳代で4分の3を占める。被害者への接触方法は、SNSの「インスタグラム」が最も多いという。 被害額が平均約1200万円と高額なのも特徴で、県警は貯蓄や所得が高く、家族や自らの老後が心配になる世代が投資詐欺の被害に遭いやすいと分析している。1~3月には、広島市内の40歳代会社役員の男性がネットバンキング経由で、12回にわたり計約1億2000万円をだまし取られ、SNS型投資詐欺としては県内で過去最高の被害額となった。 だまされる期間も数か月から1年に及び、その間に被害額も大きくなる。芸能人や実業家になりすました投資詐欺も目立つ。手口を知って防ぐ 県警は5月10日、県警本部で金融機関や通信事業者、タクシー協会などの事業者・団体の約50人と連絡会議を開いた。主な手口を説明したうえで、被害状況の共有と防止策について話し合った。 広島銀行リスク統括部の松本淳子課長代理は「投資詐欺が増えていると感じている。窓口で高額な出金や不安そうな話し方をしている人には声かけをし、防止に努めている」と話した。 県警の太田貴之・減らそう犯罪情報官は「SNS上の投資名目の広告はすべて詐欺と言っても過言ではない。必ずもうかる投資はあり得ないため、まずは疑い、取引をしないでほしい」と呼びかけた。