写真家・大村克巳さんが、自身の作品を通して、写真とアートの持つ力についてつづる連載「Sight Line」。今回のテーマは芸術家・横尾忠則さんから学んだことについて。AI技術と人、社会の関わり方が問われる今の時代こそ、改めて実感するのだといいます。
狙うは「目に見えるものが写らない」記憶の世界…改造カメラを手に訪れたパリで見つけた求めていた画
05 横尾忠則の魔法
Katusmi Ohmura
写真家の宿命として、「被写体」がなければ表現ができない、そのように考えていました。
ところがAI技術の進化とともに、何もないところから画像が作れてしまうようになりました。
フェイク画像との見分け方も、ますます困難になってくるでしょう。
結局のところ、作者が何を表現したいかがより重要な時代になり、それを自問自答しなければなりません。 そんなことを考えていると、ふと芸術家の横尾忠則さんとの出会いが思い出されます。
フリーランスになって7年目、1994年に縁あって横尾忠則さんの作品製作の現場を撮影することができました。
横尾さんによって無から生み出される世界は、僕にとって衝撃的でした。
奇想天外、摩訶不思議の色が筆先から流れ出るようです。自分の感じた世界がすさまじいエネルギーとともに形になっていく様は、魔法のように見えました。
Katsumi Ohmura
作品作りにおいては、撮る前にコンセプトができている場合もあれば、撮影しながら、あるいは撮影した後に作品の意味がつかめる場合もあります。
現実を目の前にして創作力がフリーズしてしまうこともあります。
心を自由にしておくことも容易ではありません。だからこそ、あらゆる事象と対峙して感じる事を意識しなければならない。横尾さんの姿はそれを教えてくれたと思うのです。 どんなタイミングだったか記憶が曖昧ですが、横尾さんと雑談をしている時にインドの話題になりました。まったく行く予定もなかったのですが、「インドには呼ばれる時がくるよ」と話しておられました。 撮影を終えて作品を提出し、日々の出来事に追われて数か月がたちました。
横尾さんの言葉を忘れかけていた頃、僕は本当にインドに行くことなりました。
予言に導かれるように。「横尾忠則の魔法」プロフィル大村克巳(Katsumi Ohmura)
1965年静岡県生まれ。大学在学中から活動を始め、1986年APA展入選。同年JPS展で金賞(グランプリ)受賞。99年ニューヨーク・ソーホーのギャラリーにデビュー。2002年日韓文化交流記念事業「済州島」作品展を韓国と日本で発表。報道番組「NEWS ZERO」に密着した「ZERO10年写真展」など写真展多数。現在はよみうりカルチャー荻窪にて「大村フォトアート」も開講中。講座「大村フォトアート」詳しくはこちら>>
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