フランス在住の俳人、小津
夜景(やけい)
さん(51)=写真=が、個性的な俳句や著作で注目を集めている。2017年に句集『フラワーズ・カンフー』で田中裕明賞を受賞後、昨年末には質感のある文章で本の記憶をたどった読書エッセー『ロゴスと巻貝』(アノニマ・スタジオ)を刊行した。

 「本にまつわる本といったテーマで、切り口は書きながら見つけました」 子どもの頃に触れた楽譜や歌詞カード。小学校のとき毒キノコを口にしたことや漫画家の白土三平について。27歳でフランスに渡った後、10年余り日本語の本を読まなかった日々――。 胸に引っかかる出来事と、その時々に読んだ書物の思い出を刻む。時折、挟まれる本の引用が目をひく。「一人よがりの引用は良くありませんが、この本は評論ではありません。引用することで、本の正面より横顔を伝えたい」と話す。 北海道出身。大学では哲学を学んだ。フランスで本から離れて暮らす中、俳人の高山れおなさんの作品に出会って俳句に関心を持ち、読書の習慣を取り戻した。エッセー集『いつかたこぶねになる日』(新潮文庫)では、様々な漢詩の現代語訳を手掛けている。 本は、人から薦められたものを読むのが好きだという。「自由に選べると、読みたくても読めなかったときのことを思い出して、心に波風がたってしまう」