公開中の「ボブ・マーリー:ONE LOVE」は“レゲエの神様”ボブ・マーリーの生涯を描いた音楽伝記映画だ。表題役は注目作の出演が続く英俳優キングズリー・ベンアディル。「そっくりに似せるというより、その魂を体現したかった」と言い、ボブの長男で製作のジギー・マーリーも「父を演じるには優れた表現者であることが必要だった」と語る。
ボブ・マーリー(キングズリー・ベンアディル、右)の夫や父としての側面も描かれる 米ハリウッドでボブが題材の劇映画が作られるのは初めてだ。「ドリームプラン」のレイナルド・マーカス・グリーンがメガホンをとり、妻リタ、息子ジギー、娘セデラら近親者が製作に入った。彼らの元には他にも多くの企画が持ち込まれていたが、ジギーは「他人が作った物語ではなく、家族自らが父親を伝えるチャンスが巡ってきた」と本作にゴーサインを出した。
36歳で病没するまでの生涯をたどり、白人の父親とジャマイカ人の母親の間に生まれた複雑な幼少期も描かれる。「人種の問題も絡み、ボブは自らの父親にないがしろにされた経験があった。父親像を求めて『ラスタファリ』に傾いていった」とジギーは言う。ラスタファリとは、その音楽性に影響を与えたアフリカ回帰運動のこと。時に気まぐれな夫であり、慈愛に満ちた父でもあったボブ。家族しか知り得ない多面的な人間像に迫っている。 ロンドン生まれのベンアディルは「共通点は白人の父がいることぐらい。自分のクセをただすのに苦労した」と振り返る。政治対立が続く母国の平和を目指し、首都キングストンで行った伝説のコンサートシーン。記録映像をもとに振付師や発音の専門家の指導を受け、時間をかけて進めた。
キングズリー・ベンアディル(左)と製作でボブ長男のジギー・マーリー=今利幸撮影 2人はジャマイカでの撮影を「素晴らしい経験だった」と口をそろえる。「10年後にはカリブ、特にジャマイカ文化をきちんと表現した初めてのハリウッド映画として評価されるだろう」とベンアディルは胸を張る。 世界で分断や紛争が続く今だからこそ、ボブの哲学が求められているとジギーは語る。「メディアで接する情報はネガティブなものばかりだが、映画がそれに対抗し、暗い時代に差し込む光になってくれれば」
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