評・鵜飼哲夫(読売新聞編集委員)
「IDÉE Furniture Collection2020‐2021」(インテリアブランドIDÉEの総合家具カタログ)2020年 良品計画(本書より) 美の仕事師には、年を重ねていよいよ自由になる人が目立つ。葛飾北斎の「富嶽三十六景」制作は70代、マティスが切り絵に取り組み始めたのも70代だった。
『柳宗悦の視線革命 もう一つの日本近代美術史と民芸の創造』西岡文彦著
「いつからはじめたっていいんだよ。僕だって物心ついたのは80歳になってからなんだから」――。この言葉を残し、この1月に101歳で死去した柚木沙弥郎さんもその一人だ。 芹沢銈介に師事、柳宗悦ら民芸運動の推進者と若き日に交流した柚木の肩書は型染めの染色家だが、ワクワクする面白さを求めて版画、ガラス絵、人形制作など表現を広げ、絵本制作は70代に始めた。
本書は、その絵本の仕事や
装(そう)幀(てい)
、ポスターを中心に、型破りのように見えながら、大胆な色づかいと形で新たなハーモニーを奏でる作品を並べる。そのみずみずしさには心が弾む。(パイ インターナショナル、3080円)

読書委員プロフィル
鵜飼 哲夫(
うかい・てつお
)
1959年生まれ。83年に読売新聞に入社。文化部記者として文芸を主に担当。現在、編集委員。著書に『芥川賞の謎を解く』や『三つの空白 太宰治の誕生』がある。
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