小泉純一郎首相(当時)が2004年5月に2度目の北朝鮮訪問を行い、最後の日朝首脳会談が開かれてから22日で20年となった。岸田首相は拉致問題の解決に向け、首脳間の直接対話を呼びかけているものの、北朝鮮側に応じる様子はなく、手詰まり感が強まっている。 「04年以降、一人の拉致被害者の帰国も実現していないことは痛恨の極みだ」 林官房長官は22日の記者会見でこう述べ、問題解決に引き続き全力を挙げる考えを強調した。日朝首脳会談を終え、北朝鮮の金正日総書記(右)と握手をする小泉純一郎首相(2002年9月17日、平壌市で)日朝首脳会談を終え、北朝鮮の金正日総書記(右)と握手をする小泉純一郎首相(2002年9月17日、平壌市で)
 小泉首相は02年と04年に北朝鮮の
金正日(キムジョンイル)
総書記と相次いで会談し、拉致被害者とその家族の帰国を実現したが、拉致問題はその後、大きな進展がない。

 岸田首相は昨年5月、事態打開のため、
金正恩(キムジョンウン)
朝鮮労働党総書記との直接会談に向け、「直轄のハイレベル協議」の実施を打ち出した。
 日本政府関係者によると、日本側は複数のルートを活用し、北朝鮮側と水面下での接触を重ねているものの、日朝首脳会談につながるような「ハイレベル協議」には至っていない。
 今年に入ってからは、正恩氏の妹である
金与正(キムヨジョン)
朝鮮労働党副部長が相次いで談話を発表し、日朝首脳会談の実施に前向きな姿勢も一時見せた。
 だが、拉致問題は「解決済み」との主張は崩しておらず、日本側が受け入れられないとの立場を表明すると、態度を硬化させた。 首相は今月11日には、拉致被害者の救出を求める国民大集会で「トップ同士が腹を割って率直に話し合える関係をまず構築していくことが、極めて重要だ」と訴えた。正恩氏に改めて対話を呼びかけたものだが、表立った反応はない。 北朝鮮側が米国や日本の政治状況を注視し、積極的な動きを控えているとの見方も出ている。11月の米大統領選では、正恩氏と米朝首脳会談を行ったトランプ前大統領が返り咲く可能性がある一方、岸田内閣の支持率は低迷している。日本政府高官は「北朝鮮側にとって今、拉致問題で動くメリットはなく、協議を進展させるのは極めて難しい」と指摘した。