友人同士でルームシェアをして、共同生活を送るマダム3人を描くseko kosekoさんの漫画『マダムたちのルームシェア』(KADOKAWA)が話題を呼んでいる。今年2月に最新巻を発売し、計3巻の累計部数は25万部(電子版含む)を超えた。互いへの思いやりと少しの気遣いを重ねる姿が共感を集めている。(高梨しのぶ)
「お金」をテーマにした漫画、少女漫画雑誌に連載されて注目……「現金VSキャッシュレス」の項目も
『マダムたちのルームシェア』seko koseko
「将来の自分へのエールとして描いている」。作者でイラストレーターのsekoさんは、東京都に住むことを除き、詳しいプロフィルを明かしていない。今回はメール取材で、文面に落ち着いた人柄がにじんでいた。「体力、思考、病気のことなど、人は必ず老いていきます。少しでもポジティブに向き合いたい」
好奇心旺盛でクールな沙苗、ダンスが好きな明るい
栞(しおり)
、柔和でおっとりした晴子。古くから仲の良い3人は、家族との別れなどを経て一つ屋根の下で暮らし始める。
一話完結を基本のスタイルとし、落ち着きのあるおしゃれな絵で彼女たちの日々を刻む。夏祭りであえて無駄遣いを楽しむ。雨の日は塗り絵やクロスワードに集中する。「大吉」のみのおみくじを作ってリビングに置き、元気のないときに引く。テンポの良い会話とともに彩られるのは人生経験が豊かで、日常を楽しむのが上手な3人の姿だ。
話のモチーフは、sekoさんの家族や友人から着想を得ているという。「家族も友人も、日常の小さなことに
眼(め)
を向けて楽しめる人たちばかりで、少しでも笑わせたり楽しませたりしようとしてくれます。そこに無理がないので、私も楽しむし、楽しませようとします」。自身も好循環の人間関係に身を置くことが、画面に表れているようだ。
「半世紀」を超すらしい3人の年齢は、明言されていない。沙苗は、「
年甲斐(としがい)
もなく」「年相応に」などの言葉の代わりに語る。
<生き終わるまでは花盛り> 「(読者の中には)『この年齢を過ぎたから、私は絶対こうなれない』と思ってしまう方がいるかもと、非公開にしています。マダムたちの年齢は何歳だっていいんです。読者の近い将来でも、『年下の女性がワイワイしてるわ』でも」「自分にエール」共感広がる
長い人生をともにしてきた指輪を磨く沙苗の一言に、感心する栞(中央)と晴子(左)(c)seko koseko/KADOKAWA sekoさん自身は、小学生の頃、漫画家になりたかったが「絶対になれない」と思っていたという。イラストレーターになった後、ある日、水着姿のマダム3人のイラストを描いた。その際、知人から「この女性たちが主役の漫画があったら面白そう」と言われ、2021年からSNSのX(旧ツイッター)などでマダム3人が主人公の漫画を投稿した。 「癒やされてほっこりします」「こういうマダムになりたい」。共感の感想が相次いだ。ルームシェア前の3人に関する描き下ろしエピソードも収録し、22年に単行本の刊行を始めた。 超高齢化や単身世帯の増加に伴い、一軒家やマンションの一室を借りて共同生活することにあこがれる中高年層は潜在的に多いだろう。だが、国土交通省の調査によると、現実には、住宅の大家などのうち約7割は高齢者に賃貸することに拒否感があるという。
コーヒーサイフォンのフィルター部分を変えたという話題が、いつの間にか身体に関する話題になる(c)seko koseko/KADOKAWA この作品では、マダムたちが互いの部屋に入るときはノックして、<失礼するわよ>と声を掛けるなど、共同生活にはある程度の距離感が大切なこともさりげなく織り込まれている。 「男性同士も女性同士も、お互いを尊重して、深入りしすぎないのが丁度良い。それでいてお礼や謝る言葉、ポジティブな言葉は、思った時に素直に伝えることが一番いいと思います」 この極意を共有できれば年を取ってのルームシェアもありではないだろうか。
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