自分宛ての手紙がつるされた店内で「1年後の私」に向けて筆を走らせる戸田さん(左)。さまざまな思いがあふれるこの場所で自分と向き合う真剣な時が流れる自分宛ての手紙がつるされた店内で「1年後の私」に向けて筆を走らせる戸田さん(左)。さまざまな思いがあふれるこの場所で自分と向き合う真剣な時が流れるしっかりと封がされ、近くの2号店「封灯」で保管される手紙の前でほほえむ、オーナーで詩人の小山さんしっかりと封がされ、近くの2号店「封灯」で保管される手紙の前でほほえむ、オーナーで詩人の小山さん戸田さんが未来の自分に書いたメッセージ戸田さんが未来の自分に書いたメッセージ喫茶店「封灯」で出される飲み物には、小山さんの詩が刻まれたプレートが添えられている喫茶店「封灯」で出される飲み物には、小山さんの詩が刻まれたプレートが添えられている

 拝啓、未来の自分よ。 「来年の私」は何を思い、どんなふうに生きているのだろうか――。 おしゃれな小店が立ち並ぶ台東区蔵前で、1年後の自分自身宛てに手紙を送ることができるというユニークな店を見つけた。
 店の名は「自由
丁(ちょう)
」。5月中旬に訪れると、真剣な表情で筆を走らせる大阪府の旅行会社経営・戸田愛さん(39)の姿があった。まもなく40歳の節目を迎える。「必死に駆け抜けてきたこれまでの人生を振り返りたかった。この手紙を読んだ自分が『40代も頑張ろう』と鼓舞されると思う」と、文字でびっしり埋まった便箋を見つめた。

 同店は、詩人の小山将平さん(32)が「自分の気持ちと素直に向き合える場所を作りたい」と2019年8月に始めた。大学卒業後に始めた事業がうまくいかずに悩んでいた時、過去に書いた自分の言葉に励まされた。その経験が開店のヒントになったという。昨年12月には近くに、喫茶がメインの2号店「
封灯(ふうとう)
」も開いた。
 書き上がった手紙はシーリングスタンプで封をして、「封灯」で保管し、1年後に指定された住所に送られる。約1万通を保管しており、近年は外国人観光客から預かった手紙も増えているという。 「今悩んでいることも未来の自分から見たら、ちっぽけに見えるかもしれない。そうやって、人々を少しでも明るくすることができたら」と小山さんはほほえんだ。(写真と文 須藤菜々子)

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