睡眠中にたびたび呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は大人だけでなく子どももなる――。そのことを知った高校生4人が、医師らの助言を受けながら、病気予防に役立つ口の動きを楽しく学べるかるた形式のカード遊びを考案した。「心身の成長に影響を与える小児SASをなくしたい」と、商品化を目指している。(冬木晶)
考案したのは、いずれも17歳で奈良市の私立帝塚山高3年、山崎
叶愛(とあ)
さん、
保木(やすき)
真理さん、福田
明日那(あすな)
さん、山本芽依さん。
きっかけは、医療関係者らでつくる一般社団法人「inochi未来プロジェクト」(理事長=澤芳樹・大阪大特任教授)主催の教育プログラムに、医学部志望の山崎さんが昨年6月、3人を誘って参加したことだった。 プログラムには全国の中高生計170チームが参加。SASの課題解決策をその後半年かけて考えて12月の全国大会に提案し、コンテスト方式で審査を受けるという内容だ。◎ 4人は早速リサーチを開始。子どもの約3%がSASになるとされるが多くは見過ごされていることや、発育の遅れや日中の猛烈な眠気による学力の低下を招くことを知った。 「どうすれば予防できるのか」。物おじしない性格の保木さんを中心に、患者の親や専門医ら50人以上に連絡を取った。 その過程で鼻の通りが悪いと小児SASになりやすい傾向があることがわかり、その改善法として有名な「あいうべ体操」を編み出した福岡市の内科医・今井一彰さん(53)にオンライン会議で話を聞いた。 今井さんは約20年前、口や舌の筋肉を大きく使って、「あ」「い」「う」「べ」と発声する体操を発案。感染や歯周病の原因となる口呼吸を改善し、鼻呼吸がしやすくなるとして、全国の医療機関や学校などで推奨されている。 「これだ」と思った4人が幼い子どもを持つ親たちに体操についてアンケートを行ったが、「楽しくない」「めんどくさい」との理由で、子どもが続けるのは難しいとの結果だった。◎ 知恵を絞って行き着いたのが、カード遊びで取り組むという発想。絵が得意な福田さんと山本さんが、あいうべ体操で用いる四つの音の口の形をした動物の顔を絵札に描き、「あにまるべー」と命名した。 遊び方は、まず四つの音の口の形をしたライオン、カエル、サル、ペンギン、ブタの5種類の絵札計20枚を机に並べる。そして、大人が「ペンギンの『べ』」と読み上げると、参加者全員で「べー」と発声しながら、自分と同じ口の形をしたペンギンの絵札を取るのを競う。 3~5歳の幼児10人に試したところ、ほぼ全員が1週間継続して遊んでくれた。 迎えた全国大会当日。400人以上の観客と一緒に「あにまるべー」を実践してアピールすると、観客が最も支持する「オーディエンス賞」に輝いた。商品化に向け、まずは保育士向けのサイトで紹介してもらう計画を進めている。 今井さんは「行動力と発想力に驚いた。あいうべ体操の継続に効果がある」と太鼓判。リーダー役の山崎さんは「子どもと大人の間にいる高校生だからこそ、楽しく続けられる方法を考案できた。いずれ商品化したい」と意気込む。 鹿児島大病院の稲田絵美講師(小児歯科)の話「遊びを通じて、小児SASの存在を保護者が知るきっかけになる試みだ。免疫力が高まり風邪やアレルギー、虫歯への効果も期待でき、商品化されれば病院で使ってみたい」
◆睡眠時無呼吸症候群=
睡眠中に呼吸しない状態が繰り返される病気。ほとんどの場合、いびきを伴う。大人の患者の多くは肥満や加齢が原因とされ、減量のほか、マウスピースや鼻マスクを装着する治療法がある。小児を含め、肥大した扁桃(へんとう)の摘出手術で劇的に改善するケースがある。
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