集団接種会場で予防注射を行う獣医師(左)(4月、福岡県大野城市で)集団接種会場で予防注射を行う獣医師(左)(4月、福岡県大野城市で)
 人が発症すると、ほぼ100%死亡する狂犬病を巡り、犬の飼い主に年1回義務づけられている予防接種率が低迷している。2022年度は
蔓延(まんえん)
を招く「危険水域」に迫る約71%に落ち込み、中でも沖縄、福岡両県がワースト1、2位だ。国内では近年、感染例は確認されていないが、アジアでは今も年間3万人以上が死亡しており、接種率向上を目指す国は実態調査に乗り出す。(手嶋由梨)

年1回の義務 福岡県大野城市の集団接種会場に4月中旬、愛犬を連れた飼い主が次々に訪れた。獣医師がわずか数秒で手際よく打ち、チワワを抱えた近くの主婦(51)は「警戒心が強くて外へ出るのもおびえるけれど、義務なので必ず来ている」と話す。 国は予防注射の時期を4~6月と定め、市町村は公民館などで集団接種を行う。接種には3000円ほどが必要で、動物病院でも受けられる。同市を受け持つ筑紫臨床獣医師会の平野博義会長は「(集団接種では)以前は1日200頭に打っていたが、150頭ほどに減った」とし、「『病気じゃないし、毎年打たなくても』と思う人もいるかもしれない」と懸念する。 未接種には罰則もあり、飼い犬が起こす傷害事件を機に発覚する事例は多い。群馬県では2月、予防注射を受けていない四国犬が7人をかんで負傷させた。狂犬病の検査は陰性だったものの、飼い主だった男性が狂犬病予防法違反容疑などで書類送検された。 1 2

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