カンヌ国際映画祭のクラシック部門で15日(現地時間)、黒沢明監督「七人の侍」の4K修復版が世界初上映されました。上映前にはコンペティション部門の審査員を務める是枝裕和監督も登壇。過去にあまり話してこなかったという、黒沢監督への熱い思いを明かしました。(文化部 松田拓也)
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◆「黒沢イヤー」の様相
約40年前、自身でパッケージを作ったという「七人の侍」のビデオテープを披露した是枝監督
「七人の侍」の日本公開(1954年)から今年、70周年を迎えたことを記念したお披露目です。製作・配給の東宝がグループ会社「TOHOアーカイブ」に35ミリフィルムを提供し、4K修復が行われました。今年のカンヌは公式ポスターに黒沢監督「八月の
狂詩曲(ラプソディー)
」の一場面が採用されていることも相まって、すっかり“黒沢明イヤー”の様相です。
「初めて監督の全作品を見たのは、黒沢明が最初です」。上映を前に、ティエリー・フレモー総代表の紹介を受けて登壇した是枝監督は、こう明かしました。10代終わり頃に初めて映画館で「七人の侍」を鑑賞。その後、テレビ放送の際にビデオテープに録画し、自らパッケージを作ったそうです。
ティエリー・フレモー総代表(右端)らと、上映前に登壇した是枝監督 是枝監督は、二度の頓挫を経た「七人の侍」の制作過程を紹介しました。「3時間半、無駄がなく、緊張感の続く素晴らしい作品。そんな作品が急に誕生するわけではないのだということは、監督の一人としてとても励まされる経験でした」と思い入れを語った時点で話し始めてから7分近くが経過。フレモー総代表にせかされるという一幕もありました。続けて「黒沢が初めてマルチカメラと望遠レンズを使い、その先の彼の作品のスタイルを決める、新しい試みも行っている作品。そのあたりも美しい画面で注目してほしい」と呼びかけていました。◆鮮やかな映像
「七人の侍」 その後、上映が行われました。作品の内容は記者が説明するまでもなく、登場人物の肌の質感がくっきりと分かるほど古さを感じさせない、鮮やかな映像に驚かされました。音響もデジタル化によってセリフがクリアに聞こえ、劇中音楽の迫力も増していました。3時間半に及ぶ上映中は所々で笑いも起きましたが、特筆すべきは終盤、豪雨の中で野武士との戦いが繰り広げられる一連のシーンでした。記者を含め、身を乗り出して鑑賞する人が見受けられるほどの見応えでした。
「七人の侍」から、豪雨の中での合戦シーン。4K修復版の迫力は、すさまじいものがありました カンヌのクラシック部門は、名作の復刻版や語り継いでいくべきドキュメンタリーなどを紹介する目的で始まり、今年で20年になります。時代と国境を越え、映画の素晴らしさを伝える映画祭の役割を実感しつつ、生まれ変わった「七人の侍」が日本でも上映機会が設けられることを願いました。
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