政府は今夏にも、医療機関などの重要インフラ(社会基盤)事業者や大学・研究機関に対し、サイバーセキュリティーを強化するサービスの無償提供を始める。情報を抜き取るマルウェア(悪意のあるプログラム)などが仕込まれた悪性サイトへの接続を未然に防ぐ仕組みで、国民生活に直結するインフラを守る体制作りにつなげたい考えだ。 複数の政府関係者が明らかにした。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は今年度予算に政府機関などのサイバーセキュリティー強化関連として49・3億円を計上しており、その具体策の一つとして実施する方針だ。

 それぞれの機関はサイバー攻撃への防御策を講じているが、政府がより能力の高いサービスを提供し、
脆弱(ぜいじゃく)
性が指摘される国内のサイバーセキュリティーの底上げを図る。対策を通じ、先端技術の外部流出を防ぐ狙いもある。
 提供するサービスは、米国や英国などで導入が進む「プロテクティブDNS(ドメイン・ネーム・システム)」だ。メールなどに届いたURLを通じ個人情報を抜き取るフィッシングサイトに誤って接続しようとすると、ブロックされたり、警告が発出されたりする。マルウェアが仕込まれた不審なファイルをダウンロードしようとすると、警告が表示される。 サービスの提供先としては、機能不全になると国民生活への影響が甚大な医療や水道といったインフラ事業者や、先端技術研究を担う大学・研究機関、独立行政法人などを想定する。今後、内閣府や文部科学省などの関係府省庁を通じて利用を呼びかける。サービス利用に伴い得られた悪性サイトの情報はNISCで蓄積して分析し、さらなる能力の向上にも役立てる。 近年、医療機関や大学・研究機関へのサイバー攻撃は相次いでいる。3月には、鹿児島県の医療機関が攻撃を受け、診療の一部を制限する事態になった。政府は、先端技術に関する情報を盗むためのサイバー攻撃への警戒も強めており、新たな対策を講じる必要があると判断した。