
茨城県水戸市の布絵作家、皆川末子さん(79)の個展「布絵展~緋色の誘い~」(同県茨城町教育委員会主催)が、同町小堤の町文化交流会館「いばSUNホール」で開かれている。これまでに創作した約270点の中から、赤を基調とした15作品を展示。来場者らは、日本の伝統的な古布で描かれた世界を楽しんでいる。25日まで。
布絵は日本画の下絵を描き、顔料の代わりに着物や帯、手拭いなどの古布を縫い合わせて人物や情景を表現する皆川さん考案の手法。
見どころの一つは、世界平和への祈りを込めた「この願い天までとどけ」で、一枚の留め袖で3人の女性を表現した。高野山・金剛峯寺(和歌山県)の不動明王の使者をつかさどる童子3体をモチーフに、女性たちを描いた。
また、険しい表情の女性が晴れやかな着物をまとった「息が止まる位の緊張」は、コロナ禍のさなかに創作した作品。大きな展示会の開催の延期などに揺れ動く心情を表した。
現在では、入手困難となった古布「紅絹(もみ)」の胴裏を使った「小物歳時記シリーズ」も展示。1月は羽子板、2月は節分、3月はひな祭りと、季節の歳時を表現した美しい作品が並んでいる。
皆川さんは「茨城町では初めての開催。多くの人に布絵の世界を知って、感じてほしい」と来場を呼びかけている。会場では、40年以上にわたる活動の記録をまとめた作品集「皆川末子 布絵の世界」も閲覧できる。県立図書館と国会図書館に蔵書されている。個展は午前9時~午後5時。月曜休館。