2026.10.21 16:00

文● 初野 正和 編集●ASCII STARTUP

提供: 岐阜県起業家精神育成プロジェクト事業/岐阜県

岐阜会場では33名の中高生が参加して会社づくりに取り組んだ

たった1日で顔つきが変わる! 試行錯誤とチームワークで駆け抜けた実践型起業体験プログラム

 地域産業の担い手の育成と経済をけん引する新しい産業やイノベーションを創出に向け、アントレプレナーシップ教育に力を入れている岐阜県。2026年9月12日にヤマカまなびパーク(岐阜県多治見市)、9月13日にハートフルスクエアーG(岐阜県岐阜市)にて、県内在住・在学の中学生・高校生を対象にしたイベント「岐阜アントレプレナーシッププログラム(Gifu EP)」が開催された。

 4年目を迎えた今回は、2日間で合計57名の中高生が参加した。昨年を上回るスピードで申し込みが集まり、岐阜県内にアントレプレナーシップに興味を持つ生徒や保護者が増えていることが感じられた。

 アントレプレナーシップ教育について、文部科学省のウェブサイトでは「アントレプレナーシップとは、様々な困難や変化に対し、与えられた環境のみならず自ら枠を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神」と定義されている。単に起業家を育成するためのビジネス教育ではなく、他者との協働を通じて解決策を探究する知識・能力・態度を身に付ける教育だ。(https://entrepreneurship-education.mext.go.jp/)

 本イベントでも、これまで同様に実践的なプログラムが用意された。5〜6名のグループに分かれて会社を立ち上げ、資金(疑似通貨)を調達。市場調査をもとにテーマに沿った商品を製造し、参加者や来場した保護者等に販売して収支計算まで行う。会社づくりのプロセスを通じてアントレプレナーシップを育む本プログラムは、今回も地域で活躍する起業家や新規事業担当者、金融機関等が協力し、各グループはメンターのサポートのもと、チーム一丸となって取り組んだ。

金融機関も協力した実践さながらのプログラムとなっている

疑似通貨を使用してビジネスの流れを1日で体験する

 参加した生徒たちが最も緊張した場面が「資金調達」だ。相手は実際の金融機関等に勤めるお金のプロであり、各グループは事業計画書を作成して融資の交渉に臨む。計画の修正を迫られる場合もあり、真剣に事業計画を練り直す姿が見られた。

 当初はみんな初対面同士ということもあり、午前中はやや遠慮がちな姿勢が見られた。しかし、プログラムが進行するにつれて徐々にコミュニケーションが活発化。市場調査や販売の場面では、物怖じすることなく大人やスタッフに話しかけており、わずか1日の中でも確かな成長と変化を感じ取ることができた。

事業計画を金融機関の担当者にアピールし、融資審査に臨む

さまざまな材料を疑似通貨で購入して商品を製造する

市場のニーズを調査するために保護者等に質問する生徒たち

みんなの前で自社の商品をPRする様子

販売では元気よく呼び込みし、実際の商売さながらの活気を見せた

「人生が180度変わった」——講師・運営陣が語る、地方から育むアントレプレナーシップの可能性

 イベント運営の一人である株式会社角川アスキー総合研究所のベルマーカス麻里さんは「この体験ができるのは貴重」と話す。

「テーマこそ違いますが、東京でも同プログラムのイベントを実施しています。開催日数や会場の規模に差はあるものの、東京での申し込み者数は数倍多く、倍率も非常に高い状況です。岐阜県でも抽選になったように、参加したくてもできないイベントになりつつあり、今回参加できた方々にとっては大変貴重な機会になったと思います。このイベントは種まきのような活動ですので、続けていくことが何より大切です。その点、岐阜県の自治体としての積極性と、保護者の皆様の関心の高さを強く実感しています」

 イベントの講師を務めた株式会社セルフウイングの認定講師、池澤絵理香さん(多治見会場担当)と白橋瑠梨さん(岐阜会場担当)も「非常によかった」と振り返る。

「印象的だったのは、くじけない姿勢を見せてくれたことです。融資が通った会社から順に材料を購入できるため、計画していた材料を購入できず、急な計画変更を迫られたグループが2つありました。それでも諦めることなく、今あるもので何ができるかを考えて取り組んでくれました。

 私自身、5年前に自分の中にあるアントレプレナーシップに気づき人生が180度変わりました。社会課題に対しても『自分にも何かできないか』と考えるようになり、人生がとても面白くなったのです。アントレプレナーシップは誰もがもともと持っているものです。このイベントをきっかけに、『自分にできることはないか』と自ら考え、行動していってもらいたいです。学校生活も人生ももっと面白くなると思います」(池澤絵理香さん)

 「起業に興味がなかったり、保護者に連れて来られたりした生徒もいるでしょう。最初は乗り気でなくても、プログラムには計算や製造などさまざまな分野があり、自分が得意な領域で力を発揮して楽しめるのがこのイベントの魅力です。日常生活にも通じる学びがたくさん詰まっています。

 アントレプレナーシップを養い、皆さんに今の生活をよりハッピーなものにしてほしいのが私の願い。私自身、会社員として働きながら講師を務めています。将来、自分次第でいろいろな選択肢や働き方ができることも知ってもらえたら嬉しいです」(白橋瑠梨さん)

 岐阜県では、これからもアントレプレナーシップ教育に力を入れていく。県内の高校生を対象とした「ぎふビジネスプランコンテスト」も応募受付中。締切は2026年11月6日17:00で、2027年1月23日にはファイナリストによる最終プレゼンテーションでグランプリを決定する。当日は現地での観覧も可能であるため、ぜひ高校生たちの挑戦を見届けてほしい。(https://ascii.jp/startup/gifu-entre-event/contest/)

セルフウイングの認定講師、池澤絵理香さん

セルフウイングの認定講師、白橋瑠梨さん

ポスター製作や商品製造などがあり、自分の得意なことを活かして作業を分担する

後半になるにつれてグループ内の会話が進み、たくさんの笑顔が見られた

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