エンドステートナビゲーション
浅野 潔 代表
【PROFILE】 エンドステートナビゲーション代表兼主任講師。元海上自衛隊作戦教官(1等海佐) 令和3年9月退官。防災士。「ミリタリー式組織マネジメント」を用いて、経営組織の「仕組み」創りに貢献する経営コンサルタント。
「自律型人材を育てたい」。経営や人事の現場で繰り返し語られるテーマです。しかし、管理職に「もっと任せよう」と促すだけでは、現場はなかなか変わりません。
「どこまで任せればよいのか分からない」「任せると丸投げになってしまう」「結局、自分で抱え込む」。私は企業研修でこうした悩みに接し、自律を個人の意欲や管理職の力量だけに求めること自体に限界があると考えるようになりました。必要なのは、人を変える前に、指示待ちを生まない「仕組み」をつくることです。
その着想の原点は、34年間の海上自衛隊勤務と米国海軍大学で学んだ現代の軍事組織マネジメントです。軍隊というと「命令・絶対服従」を想像されがちですが、複雑で変化の速い状況ほど、上位者が細部まで命じるのではなく、目的と目指す状態を共有し、裁量の範囲を明確にして現場に判断を委ねます。
そこで磨かれてきたのは、根性論や精神論ではなく、個人の経験やセンスだけに依存しない、再現性のある組織運用の「仕組み」でした。
本書では、この「ミッション・コマンド」の考え方を日本企業で実践できる形に翻訳しました。自律とは、自由に任せることでも放任することでもありません。目的、目指す状態、任せる範囲を共有して初めて、現場は自ら考え、判断し、行動できます。ここに自律の本質があります。
さらに重視したのは、リーダーの「任せ方」だけではありません。任される側にも、目的を理解し、自ら最適な行動を選ぶ意思決定力が必要です。そこで、目的と理想の状態の可視化、状況に応じた委任レベルの調整、フォロワーの意思決定力、自律型チームを育てるGUIDESモデルまで、双方の視点から実践の手順を示しました。
人事施策として考えるなら、管理職研修だけでは自律型組織はつくれません。任せる側と任される側に共通の価値観と判断軸を持たせ、日常業務の中で意思決定と振り返りを繰り返せる状態まで設計することが必要です。
本書が、人材育成を「個人を変える施策」から「組織が自ら動き続ける仕組みづくり」へと捉え直す一助となれば幸いです。

浅野潔 著
フォレスト出版
1,650円+税
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