
来春の選抜高校野球大会(センバツ)につながる九州地区大会への出場権をつかんだ大分と日本文理大付属。秋の県予選では、それぞれの持ち味を発揮し、激戦を勝ち抜いた。両校はいかにして九州への切符を手にしたのか。勝ち上がりを振り返りながら、打撃成績や投手力などのデータをもとに各校の強さと課題を読み解く。
【第159回九州地区高校野球大会県予選 大分の成績】
決勝 5―4日本文理大付属
準決勝 5―4別府翔青
準々決勝 1―0明豊
3回戦 3―0佐伯豊南
2回戦 1―0津久見
【県予選5試合の主要データ】
打率 0.201 長打率 0.241 防御率 0.58
総得点 15 総失点 8
犠飛打 4 盗塁 7 失策 6
派手さはない。それでも最後に勝つのは自分たちだった。第159回九州地区高校野球大会県予選で、大分が5季ぶり9回目の優勝を飾った。5試合で挙げた得点は15。チーム打率は2割1厘と決して高くない。それでも接戦をものにし、来春の選抜高校野球大会(センバツ)につながる九州地区大会への切符を手にした。数字が物語るのは、守りを土台に勝機を逃さない粘り強さだ。
勝ち上がりは、まさに薄氷を踏むような戦いだった。初戦の津久見戦は1―0、続く佐伯豊南戦は3―0。準々決勝では強豪・明豊を相手に、わずか1安打ながら7四球を選び、1―0で競り勝った。3試合連続の完封勝利。準決勝の別府翔青戦、決勝の日本文理大付属戦はいずれも5―4と最後まで気の抜けない接戦を制した。
特筆すべきは投手力だ。5試合を通じたチーム防御率は0.58。準々決勝までの3試合を無失点で切り抜けたことが勝ち上がりの原動力となった。浜砂圭輔(2年)、和田友希(同)を中心とした投手陣が試合をつくり、野手が少ない好機を得点につなげる。岩崎久則監督が掲げる「守ってから攻撃に移る野球」を体現してきた。
投手の軸となる和田
攻撃面ではチーム打率.201、長打率.241と数字が伸び悩んだ。5試合で盗塁7、犠打・犠飛は計4。大量得点で相手を圧倒するのではなく、走者を出して好機を広げ、少ない得点を守り抜くスタイルだ。岩崎監督は「安打数はそれほど多くなかったが、ボールをしっかり見極めて四球を選べている」と評価する。明豊戦で見せたように、打てない状況でも焦らず、相手投手の隙を探り続ける。そんな我慢強さが、このチームの持ち味である。
最大の課題は四球と守備のミスだ。決勝では序盤に5点を奪いながら、終盤に追い上げられた。岩崎監督は「私が一番嫌うのは四球。打たれるのは仕方ない。大切なのはストライクゾーンの中で勝負すること」と強調する。7回から登板した長身の和田には、角度のある投球を生かし、球速に頼らずコースを突く投球を求めている。5試合で6失策を記録した守備にも改善の余地がある。「練習ではできるプレーでも、プレッシャーのかかる場面になるとできなくなる」。技術だけでなく、勝負どころで平常心を保つ精神面の成長が必要だという。
県の第1代表と相手九州地区予選に臨む
明るい材料は選手層の厚さだ。岩崎監督は「何かあれば次の選手が控えている。私自身が慌てることなく戦えている」と昨年との違いを口にする。負傷離脱した投手の復帰が不透明な中でも4番手、5番手を含めた投手陣の底上げを図る。
「県の第1代表とは言っても、実力的には九州では一番下だと思っている」。岩崎監督の言葉は謙遜ではなく、選手たちへのメッセージだ。打てなくても勝つ。苦しくても踏ん張る。県予選で磨いた勝負強さを、九州の舞台でどこまで発揮できるか。センバツへの挑戦は、ここからが本番だ。 (柚野真也)
