こんにちは、大人の旅とおでかけを楽しむotoです。今回は、10月1日より見学を再開した東京都指定有形文化財「百段階段」を訪れました。目黒駅より徒歩約5分の「雅叙園東京」にあります。一歩足を踏み入れると、あまりの豪華絢爛な世界に言葉を失ってしまうほど。非日常の時間をたっぷり味わえます。
東京都指定有形文化財「百段階段」とは
文化財「百段階段」は、1935年(昭和10年)に建てられた木造建築です。目黒雅叙園3号館として建築されたもので、99段続く長い階段廊下が豪華絢爛な7つの部屋をつないでいます。

そう、文化財「百段階段」というのは通称で、実際には99段。なぜ99段なのか、その理由には諸説あるようですが、その一つに、完璧な状態は長く続かないから、あえて100という完璧な数字(整った数字)から1を引き、これからも発展する余地を残したというものがあります。
未完成だからこそ、未来に可能性がある。そんな考え方に触れると、前向きな気持ちになりますね。
3月30日まで特別公開!豪華絢爛な7つの部屋を見学1. 十畝の間
それでは7つの部屋を下の階から順番にご紹介します。まず最初に出会うのは「十畝の間」です。天井には、日本画家・荒木十畝(あらきじっぽ)による四季折々の花鳥画が描かれ、長押など各所に、黒漆に貝殻を使って模様を描く「螺鈿(らでん)細工」が。黒漆と螺鈿の組み合わせが美しく、気品を添えています。
文化財「百段階段」で最も格式が高い部屋だけあって、重厚で落ち着いた雰囲気が漂います。

部屋の奥には「螺鈿の回転テーブル」が置かれています。ひとつの美術品のようで、じっくり見入ってしまう美しさ。戦前のものを修復した、現存する最古の回転テーブルと言われています。
2. 漁樵の間
続いて「漁樵の間」。文化財「百段階段」で最も豪華な部屋で、思わず「わぁ!」と声が出てしまうほど豪華絢爛な空間です。室内には純金箔や純金泥、純金砂子がふんだんに使われ、どこを見渡してもきらびやか!色鮮やかな彫刻や日本画に囲まれ、中国の「漁樵問答」の一場面を立体的な彫刻で表現した、大きな檜の床柱からも目が離せません。
3. 草丘の間
続いて「草丘の間」。こちらは、秋田杉を使った天井に花鳥風月、欄間には、四季草花絵や、瑞雲に煙る松原の風景が広がり、風景画を得意とした日本画家・礒部草丘(いそべそうきゅう)の世界を堪能できます。
他の部屋の格天井に比べてひとつの格が大きく取られ、装飾もシンプルな造りになっているのは、絵を生かすことを優先しているからだとされています。
「面腰組子(めんごしぐみこ)」と呼ばれる、繊細な木組みの障子建具も見どころで、きらびやかな「漁樵の間」から一転、穏やかで優美な雰囲気が漂います。
4. 静水の間
続いては「静水の間」へ。こちらはこぢんまりとした部屋ですが、天井や欄間には、大胆に広がる扇の中に、四季の草花が描かれ雅やかです。

奥の間では、扇の中に鳳凰舞鶴が描かれ、なんともおめでたく縁起のよい組み合わせ。欄間には、金箔を貼った下地に秋草が描かれています。
5. 星光の間
「星光の間」では、日本画家の板倉星光(いたくらせいこう)が描いた四季草花が見どころです。また、欄間にはカボチャや筍なども描かれており、季節の実りや旬の恵みも表現されています。さまざまな植物の絵をとおして、四季の移ろいを感じられる空間です。
6. 清方の間
こちらの部屋では、美人画で知られる日本画家・鏑木清方(かぶらききよかた)が描いた作品が楽しめます。
天井には扇の形をした杉板に四季草花が描かれ、欄間には四季風俗美人画。しっとり落ち着いた風情が感じられます。
7. 頂上の間
99段の階段を上りきった先にあるのが、最後の部屋「頂上の間」です。こちらの天井画は、もともと京都画壇を代表する日本画家・西村五雲(にしむらごうん)に依頼していましたが、制作前に亡くなってしまい、実現しなかったのだそう。その後、日本画家・川端龍子(かわばたりゅうし)門下の数名の画家たちによって天井画が描かれました。
また、この部屋では、文化財「百段階段」の日本画や建築装飾に散りばめられた、縁起のよいモチーフを紹介する展示もあります。
心ゆくまで文化財建築を堪能するひとときを
最後になりましたが、もう一つ大きな見どころがあります。それは、入口へ向かうエレベーター。47人が乗れる広さにも驚きますが、豪華な螺鈿細工が施され、その品格ある華やかな装飾に、思わずうっとり見入ってしまいます。
油圧式のエレベーターでゆっくりと上がっていくと、これからどんな華やかな世界が待っているんだろうとワクワク。文化財「百段階段」の非日常的な世界へと、気持ちを切り替えてくれるようです。

筆者はこれまでに何度か文化財「百段階段」を訪れたことがありますが、いずれも企画展が開催されているときでした。その際は、展示作品と歴史ある建築との共演を楽しめましたが、今回は建物そのものが主役です。天井や欄間、柱などの細かな装飾にも目を向けられ、建築美を隅々まで堪能しながら、空間そのものにたっぷりと浸ることができました。
東京都指定有形文化財「百段階段」文化財建築特別公開
住所:東京都目黒区下目黒1-8-1
開催期間:2026年10月1日(木)~2027年3月30日(火)
休館日:水曜日/2026年12月28日(月)~2027年1月1日(金)
一般入場時間:11:00~17:00(最終入館16:30)
夜間見学:日・月・火・木曜日 17:00~18:00(人数限定)
ガイドツアー付見学:金・土曜日 17:00~18:00(人数限定)
公式サイト(外部リンク)
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