
2026年11月21日(土)から23日(月・勤労感謝の日)までの3連休は、京都・嵐山の紅葉見頃予想が11月24日頃(ウェザーニューズ第一回予想)と、今年は見頃がやや遅れる見立ての中で迎える秋最後の3連休になる。見頃のずれが旅館の予約をどう動かすかは、11月21日泊がLT45に達する前の9月25日断面で紅葉の見頃2026、長野は平年より9日遅れ予想が5府県の稼働率ベース(OTA掲載在庫・推定)で整理しており、本稿は残室率に指標を替えたその続報にあたる。メトロエンジンリサーチが10月9日時点で集計した主要予約サイトの残室データを見ると、京都府の旅館(OTAに総客室の3割以上を出している113施設)は3日間平均の残室率が中央値18.2%まで進んだ一方、長野県の旅館(306施設)は32.0%、栃木県(142施設)は28.0%と、宿泊日まで43日を残して商圏ごとの進み方に差が出ている。本稿では京都・長野・栃木に、比較として岐阜(高山)と神奈川(箱根)を加えた5県を、旅館・リゾート・シティ・ビジネスの業態別に分解し、10月の3連休(10/10〜12)と文化の日を含む10/31〜11/3の進捗と並べて、この連休が秋の連休のどの位置にあるかを読み解く。
Key Takeaways
— 京都の旅館は残室率18.2%(施設中央値・N=113、2026年10月9日時点)。神奈川20.8%、岐阜25.4%、栃木28.0%、長野32.0%の順に進む。
— 5県すべてが初日型。11/23(月・祝)泊の残室が最も厚く、京都の旅館で43.9%、長野で52.3%(施設平均)が残る。
— 京都の11月連休は文化の日より早い。宿泊日43日前で、22日前の文化の日(27.3%)より残室率が低い。
— 掲載価格は京都+52.6%・神奈川+42.7%(平常週末11/14泊比・全業態・45日前時点)。長野・岐阜・栃木は-1.4〜+7.8%で平常並み。
— 10月連休では残室0到達の20〜37%が直前1週間。残室率が4割を超える栃木のビジネスホテル(42.9%)などは取り込み余地が大きい。
本記事における指標の定義
残室率:各施設の総客室数に対する、主要予約サイト上で販売中の残室数の割合(室ベース)。本稿の中心指標は「OTAに総客室の30%以上を公開した実績のある施設」のみを母集団とし、施設ごとの残室率の中央値・平均で示す。プラン本数を分母にした比率は一切使わない。
LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。本稿の断面は2026年10月9日で、11月21日泊はLT43にあたる。
残室0の観測:当該宿泊日について、主要予約サイト上の残室が0室になった観測があること。宿泊日の45日以上前から残室0が続く施設は、OTAへの割当が小さい段階の観測を含むため、本稿では「完売」と断定せず「残室0を観測」と表記する。
掲載価格:2名1室利用時の1室あたり料金(税込)。ブッキングカーブ上の掲載価格は、その時点で販売中の残在庫の平均である。
ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値。
データ出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設を追跡し、うち主要予約サイト上で稼働が確認できる約27,000施設を分析対象とする)
母集団の切り方 — OTA公開枠30%以上の施設だけを数える
連休の予約進捗を残室で読むとき、最初に決めるべきは母集団である。主要予約サイトに総客室の1〜2割しか出していない施設は、その小さな枠が埋まった時点で残室0に見えるため、残室率を施設単位で平均すると実態より早く「埋まった」ように映る。本稿は、観測期間中に総客室の30%以上をOTAに公開した実績のある施設だけを分析対象とした。5県合計(民宿・貸別荘等の他業態を含む全業態)では、11/21〜23泊の残室観測がある施設が4,145件、そのうち公開枠30%以上の条件を満たした施設が2,730件・78,714室である。業態別の内訳は次の表のとおりで、京都府のリゾート(4施設)、岐阜県のシティホテル(1施設)のように母数が一桁の区分は、表には載せるが本文の比較からは外している。
表1 5県・業態別の分析対象施設数(11/21〜23泊・2026年10月9日時点)都道府県業態マスター登録施設観測データあり公開枠30%以上(分析対象)分析対象の客室数京都府旅館4731731131,714リゾート27114246シティ9356151,538ビジネス77129512011,372全業態—1,09963918,565長野県旅館1,3924283065,966リゾート325106542,446シティ39166569ビジネス561150847,407全業態—1,31089320,489栃木県旅館4581841424,189リゾート8039261,135シティ19145627ビジネス262120675,334全業態—56042710,517岐阜県旅館5412021452,604リゾート22137626シティ1411143ビジネス253107564,687全業態—4793318,783神奈川県旅館6112421693,313リゾート9948271,433シティ5639131,644ビジネス4221969912,225全業態—69744020,360
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月9日時点。神奈川県・岐阜県は県全体の集計で、箱根・高山以外の地域を含む。「マスター登録施設」は各県内の市区町村ごとに集計した登録施設数の合計、「観測データあり」は11/21〜23泊の残室観測がある施設、「公開枠30%以上」が本稿の分析対象。「全業態」は民宿・貸別荘・ペンション等の他業態を含み、全業態のマスター登録施設数は掲載を省略)
読み方の注意を3つ挙げておく。第一に、宿泊日まで43日あるこの段階では、OTAへの割当を意図的に絞っている施設が残室0に見える偽陽性が残る。30%条件で大半は除けるが、ゼロにはならない。第二に、残室の最終観測日は施設によって異なり、直近7日以内に観測できた施設は県別に73〜91%である。残る施設は9月以前の観測値を引きずっている可能性がある。第三に、10月の3連休は本稿の時点で宿泊日まで1〜3日しかなく、ほぼ最終形の数字である。11月連休のLT43断面と同じ土俵ではないので、同じLTでの比較は後段でブッキングカーブ側の指標を使って別に行う。
10月9日断面の進捗 — 京都の旅館は残室18%、栃木のビジネスは43%
まず業態別の全体像を見る。旅館の残室率(3日間平均・施設中央値)は京都府18.2%、神奈川県20.8%、岐阜県25.4%、栃木県28.0%、長野県32.0%の順に進んでいる。3日のうち1日以上で残室0を観測した施設の比率は京都の旅館で76%(86/113施設)、神奈川で70%に達する一方、長野は51%、栃木は52%にとどまる。京都と箱根の旅館は宿泊日の6週間前の時点で、すでに土曜の枠がかなり薄くなっていると読める。
一方で、ビジネスホテルは県ごとの性格がはっきり分かれる。京都府のビジネスホテル120施設は残室率の中央値が14.8%と旅館より進んでおり、紅葉期の京都では宿泊特化型も観光需要の受け皿になっていることがわかる。これに対して栃木県のビジネスホテル67施設は中央値42.9%で、残室0を観測した施設は25%にすぎない。日光・那須の旅館が先に埋まり、宇都宮周辺の宿泊特化型には連休直前まで取り込み余地が残る構図である。リゾートは長野54施設・栃木26施設・神奈川27施設が比較に足る母数で、中央値は34.3%・27.0%・25.7%だった。長野・神奈川では旅館(32.0%・20.8%)より残室率が高く、栃木は旅館(28.0%)とほぼ同水準である。長野・神奈川のリゾートは予約の立ち上がりが旅館より遅く、残り6週間で動く余地が大きい区分といえる。
表2 業態別の残室率と残室0の観測(11/21〜23泊の3日間平均・2026年10月9日時点)都道府県業態N残室率 中央値残室率 平均3日中1日以上で残室0を観測3日すべてで残室0京都府旅館11318.2%23.5%86施設(76%)29施設リゾート446.9%50.4%1施設(25%)1施設シティ1512.3%14.6%9施設(60%)2施設ビジネス12014.8%21.4%76施設(63%)14施設長野県旅館30632.0%35.1%155施設(51%)18施設リゾート5434.3%40.4%21施設(39%)3施設シティ620.1%19.5%5施設(83%)0施設ビジネス8430.0%32.9%30施設(36%)2施設栃木県旅館14228.0%32.7%74施設(52%)9施設リゾート2627.0%40.9%9施設(35%)1施設シティ522.6%33.2%2施設(40%)0施設ビジネス6742.9%50.3%17施設(25%)1施設岐阜県旅館14525.4%31.7%89施設(61%)22施設リゾート747.4%52.1%1施設(14%)1施設シティ110.9%10.9%1施設(100%)0施設ビジネス5629.8%36.1%36施設(64%)2施設神奈川県旅館16920.8%25.6%118施設(70%)26施設リゾート2725.7%30.4%13施設(48%)0施設シティ1317.5%18.6%10施設(77%)1施設ビジネス9920.8%27.0%79施設(80%)3施設
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月9日時点、11/21〜23泊の3日間平均。OTA公開枠が総客室の30%以上の施設のみ集計。「残室0」は宿泊日の45日以上前からの観測を含む)
3日間のどの日から埋まるか — 全県で初日型、京都だけ土日の二段構え
3連休の予約は初日の土曜から埋まるのか、中日の日曜から埋まるのか。日別に残室率を分解すると、5県すべてで11月21日(土)が最も進み、23日(月・祝)が最も残っている「初日型」だった。連休最終日は翌24日(火)が平日のため、月曜泊は宿泊需要が平常の日曜泊に近い性格になる。京都府の旅館では土曜泊の残室率(施設平均)が23.0%、日曜泊が26.4%、月曜泊が43.9%で、土曜と日曜の差が小さく、月曜で一気に開く。10月9日の断面で残室が0室だった施設の比率も土曜24%・日曜34%・月曜6%と、京都は「土日の二段構え」で、連泊需要が土日2泊に集中していると読める。
神奈川県の旅館は土曜泊19.0%・日曜泊27.3%・月曜泊46.9%と、土曜に強く偏る。首都圏からの箱根は1泊圏であり、土曜1泊で帰る客層が先に動く。長野県の旅館は34.3%・41.3%・52.3%で、土曜・日曜泊は神奈川より14〜15pt高いが、月曜泊の差は5pt程度に縮まる。ビジネスホテルは全県で土曜泊が最も進み、京都を除く4県では日曜・月曜泊に3〜7割が残るため、日曜・月曜泊こそ平常週末との価格差を調整する余地がある。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館・施設平均の残室率、10月9日時点。N=土曜55・220・104・96・123/日曜70・246・108・109・120/月曜99・263・131・115・144施設の順に京都・長野・栃木・岐阜・神奈川)
表3 日別の残室率(11/21・22・23泊、施設平均・2026年10月9日時点)都道府県業態11/21(土)11/22(日)11/23(月・祝)断面時点で残室0の施設比率 土/日/月京都府旅館23.0%(N=55)26.4%(N=70)43.9%(N=99)24% / 34% / 6%リゾート42.6%(N=4)44.2%(N=4)64.5%(N=4)0% / 0% / 0%ビジネス17.1%(N=69)25.7%(N=90)37.1%(N=104)36% / 10% / 8%長野県旅館34.3%(N=220)41.3%(N=246)52.3%(N=263)18% / 10% / 6%リゾート37.1%(N=43)47.3%(N=40)57.6%(N=48)19% / 8% / 6%ビジネス28.3%(N=65)38.6%(N=69)51.1%(N=69)6% / 3% / 1%栃木県旅館26.9%(N=104)36.2%(N=108)51.4%(N=131)23% / 11% / 3%リゾート33.7%(N=19)45.2%(N=23)56.6%(N=24)11% / 9% / 4%ビジネス50.2%(N=58)58.6%(N=52)67.6%(N=58)2% / 6% / 0%岐阜県旅館29.6%(N=96)38.5%(N=109)53.8%(N=115)29% / 18% / 6%リゾート47.2%(N=6)46.2%(N=6)71.6%(N=7)0% / 0% / 0%ビジネス30.8%(N=28)48.7%(N=42)56.2%(N=54)32% / 2% / 0%神奈川県旅館19.0%(N=123)27.3%(N=120)46.9%(N=144)45% / 28% / 10%リゾート21.2%(N=20)30.8%(N=21)62.4%(N=20)25% / 10% / 0%ビジネス14.0%(N=47)33.8%(N=62)57.9%(N=86)36% / 6% / 1%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(日別の残室率は施設平均。日別集計は各日に公開枠30%条件を適用するため、Nは3日間平均の表と一致しない。「残室0の施設比率」は10月9日断面で残室が0室の施設の割合で、次節の「残室0を観測した施設比率」(観測期間中に一度でも残室0となった施設)とは定義が異なる)
秋の連休のなかでの位置 — 10月連休は最終形、文化の日は中盤、11月連休は序盤
同じ手順を10月の3連休(10/10〜12)と、文化の日を含む10/31〜11/3に当てて走らせた。ただし3つの期間は宿泊日までの距離が違う。10月連休は本稿の時点で宿泊日まで1〜3日で、残室率はほぼ最終形。10/31〜11/3は22〜25日前の中盤、11月連休は43〜45日前の序盤である。この前提で旅館の残室率(中央値)を並べると、10月連休は京都11.5%・長野8.3%・岐阜4.5%まで消化が進み、文化の日は京都27.3%・長野22.5%、11月連休は京都18.2%・長野32.0%となる。京都の旅館に限れば、宿泊日まで43日ある11月連休の残室率が、22日前の文化の日(27.3%)を下回る水準まで進んでいる。紅葉のピークにかかる連休の予約が、文化の日より3週間早いペースで動いている計算になる。
表4 秋の3つの連休の旅館残室率(施設中央値・2026年10月9日時点)都道府県(旅館)10月連休 10/10〜12
宿泊1〜3日前・ほぼ最終形文化の日 10/31〜11/3
宿泊22〜25日前紅葉連休 11/21〜23
宿泊43〜45日前初日に残室0を観測した施設比率
10/10 / 10/31 / 11/21京都府11.5%(N=130)27.3%(N=137)18.2%(N=113)83% / 33% / 70%長野県8.3%(N=345)22.5%(N=360)32.0%(N=306)91% / 61% / 39%栃木県8.9%(N=153)23.9%(N=156)28.0%(N=142)87% / 44% / 48%岐阜県4.5%(N=139)15.0%(N=147)25.4%(N=145)94% / 71% / 54%神奈川県6.7%(N=175)20.8%(N=179)20.8%(N=169)91% / 55% / 65%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館・OTA公開枠30%以上の施設、残室率は期間平均の施設中央値、2026年10月9日時点)
初日に残室0を観測した施設の比率でも同じことがいえる。10月連休の初日10/10(土)は京都83%、長野91%、岐阜94%の旅館が残室0に達して最終形を迎えた。この10月連休の45日前からの逆算は、栃木の10月三連休(旅館N=149〜150施設・9月下旬観測の推定OCC)と長野の三連休(旅館N=280施設・9月20日観測)がそれぞれ業態別に扱っており、本稿の施設単位の残室率とは指標も母集団も異なる。文化の日の初日10/31(土)は京都33%・長野61%、11/21(土)は京都70%・長野39%である。京都では11月連休の初日が、22日前の文化の日の初日を上回っており、文化の日を含む4日間(11月3日が火曜の祝日で、間の2日(月)は平日)よりも、紅葉本番の3連休のほうが早く動く構図がはっきりしている。文化の日の4日間は京都の旅館で残室0の比率が33/39/31/32%と4日間ほぼ平らな「分散型」だったのに対し、11月連休は70/65/29%の「土日二段型」で、日別の形も異なる。
同じLTで比べるには、ブッキングカーブ側の指標を使う。主要予約サイトに掲載された在庫ベースの残室率を宿泊日45日前の断面で並べると、京都府の旅館(128施設・2,276室)は10/10泊が27.0%、10/31泊が31.5%、平常週末の11/14泊が16.7%だったのに対し、11/21泊は7.3%と、45日前時点では秋の連休のなかで最も進んでいた。神奈川県の旅館(163施設・3,998室)も10/10泊18.0%に対し11/21泊8.0%で同じ傾向である。長野県の旅館(274施設・6,382室)は10/10泊17.3%に対し11/21泊21.1%と、45日前の時点では10月連休のほうがわずかに進んでいた。この在庫ベースの残室率はOTAに出ている在庫で数えるため、公開枠30%条件を付けた施設単位の残室率より低く出る。水準ではなく、同じLTでの相対比較にだけ使っている。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館、主要予約サイト掲載在庫ベースの残室率、各宿泊日の45日前時点。対象施設数は京都128・長野274・栃木146・岐阜139・神奈川163)
10月連休の初日10/10(土)泊のブッキングカーブを45日前から2日前まで追うと、残室がどの段階で消化されるかの参考線が得られる。全業態(主要予約サイト掲載ベース、京都752施設・32,502室ほか)では、45日前の残室率が京都14.0%・長野20.4%・栃木25.9%で、30日前にはそれぞれ8.0%・13.2%・19.9%、2日前には1.2%・2.9%・2.8%まで下がった。45日前から30日前の2週間で残室の2〜4割(京都43%・長野35%・栃木23%)が消え、30日前時点の残りも14日前・7日前・2日前と段階的に消化された。11月連休でいえば、30日前にあたる10月22日までの2週間が最初の山場で、そこから11月上旬にかけても消化が続く。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(10/10(土)泊・全業態、主要予約サイト掲載在庫ベースの残室率、LT45〜LT2)
施設単位で見ても、10月連休で残室0に到達した旅館の「到達時期」は後ろに寄っている。45日以内に残室0へ到達した施設・日のうち、7日前から当日の間に到達した割合は京都37%、栃木33%、岐阜25%、神奈川23%、長野20%だった。連休の最終的な埋まり方は直前1週間でかなり決まる。11月連休のLT43断面で残室が残っている施設も、最後の1週間に取り込む余地が構造的に残っているということである。
表5 10月連休で残室0に到達した時期の分布(旅館・10/10〜12泊)都道府県(旅館・10月連休3日分)45日以内に残室0へ到達した施設・日31〜45日前15〜30日前8〜14日前7日前〜当日京都府12316%30%17%37%長野県34330%31%20%20%栃木県16520%26%21%33%岐阜県12130%31%14%25%神奈川県22324%35%18%23%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館・OTA公開枠30%以上の施設、10/10〜12泊の3日分を施設×宿泊日で集計。45日以上前から残室0の観測は含めない)
単価 — 京都・箱根は平常週末比+21〜53%、長野・岐阜・栃木はほぼ平常並み
単価は2つの断面で確認した。1つはブッキングカーブ上の掲載価格で、11/21(土)泊と平常週末の11/14(土)泊を、同じ45日前の時点で比べたものである。全業態では京都府が¥91,200と平常週末の¥59,800に対して+52.6%、神奈川県が¥62,500で+42.7%と、紅葉のピークにかかる2商圏で大きな差がついた。これに対して長野県は-1.4%、岐阜県は+1.2%、栃木県は+7.8%で、連休であることが掲載価格にほとんど織り込まれていない。旅館に限ると京都+34.6%、神奈川+20.5%に対し、岐阜は-10.3%と平常週末より低く、長野+3.5%・栃木+4.1%である。掲載価格は残在庫の平均であり、安いプランから売れると残る価格は上がるため、残室率の低い京都・箱根が高く出やすい点は差し引く必要がある。それでも岐阜の旅館で連休泊が平常週末を下回るのは、割引や早期プランが連休日程にもそのまま適用されている可能性を示しており、残り6週間で見直せる領域だろう。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(全業態、主要予約サイト掲載価格の残在庫平均、2名1室・税込、各宿泊日の45日前時点)
もう1つは月次の推定成約ADRである。2026年11月の推定成約ADRは調査時点の掲載水準に基づく推定で、京都府¥26,400(前年同月比+6.5%、N=588)、長野県¥13,700(+10.0%、N=765)、栃木県¥12,900(+4.2%、N=379)、岐阜県¥14,300(+14.5%、N=360)、神奈川県¥15,600(+0.0%、N=557)だった。京都は10月の¥21,400から11月に¥26,400へ跳ねる月次の季節性があり、11月が年間で最も高い月になる。岐阜と長野は前年同月比で+14.5%・+10.0%と伸びが大きく(2026年11月は調査時点の掲載水準に基づく推定、2025年11月は確定後の推定で、厳密な同条件比較ではない。参考までに掲載価格ベースでも両県は前年同月比+9%前後)、連休日程の掲載価格が平常並みにとどまっているのとは対照的である。月次ADRが伸びているのに連休の掲載価格が平常週末と変わらないなら、連休日程だけが相対的に割安に置かれている可能性がある。
表6 11/21泊と平常週末11/14泊の掲載価格差(45日前時点)と2026年11月の推定成約ADR都道府県11/21(土)泊 掲載価格
全業態・45日前時点11/14(土)泊 平常週末差分旅館 11/21 vs 11/1411月 推定成約ADR
前年同月比京都府¥91,250¥59,803+52.6%¥68,627 → ¥92,342(+34.6%)¥26,410(+6.5%、N=588)長野県¥34,412¥34,902-1.4%¥37,985 → ¥39,312(+3.5%)¥13,678(+10.0%、N=765)栃木県¥37,416¥34,719+7.8%¥46,805 → ¥48,737(+4.1%)¥12,884(+4.2%、N=379)岐阜県¥37,720¥37,255+1.2%¥44,112 → ¥39,570(-10.3%)¥14,335(+14.5%、N=360)神奈川県¥62,530¥43,815+42.7%¥55,266 → ¥66,616(+20.5%)¥15,577(+0.0%、N=557)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(掲載価格は45日前時点の残在庫平均・2名1室税込、推定成約ADRは2026年11月の調査時点の掲載水準に基づく推定で税抜相当)
事業者向けの示唆 — 残り43日、在庫進捗の段階別に動かせるレバー
連休の在庫を「残室率」で3段階に分けると、動かすべきレバーが整理できる。残室率が2割を切っている施設(京都・箱根の旅館の多く)、2〜4割の施設(長野・岐阜・栃木の旅館、各県のリゾート)、4割以上残る施設(栃木・岐阜・長野のビジネスホテル、月曜泊の全般)である。
表7 在庫の段階別に動かせるレバー(11月連休・残り43日)在庫の段階該当しやすい区分連泊条件・最低宿泊日数キャンセル在庫の戻し2食付・素泊まりの出し分け
残室率2割未満京都・箱根の旅館(土曜泊)、京都のシティ・ビジネス土曜泊に2連泊条件を残し、日曜・月曜泊を取り込む。1泊限定の受け入れは残室が1室単位になってから10月連休では残室0到達の2〜4割が直前1週間に起きた。キャンセル分を即日再掲し、戻し先は最も単価の高いプランから残る枠は2食付の上位プランに寄せ、素泊まりは閉じる。掲載価格が平常週末比+21〜53%の商圏では値引きプランを連休日程から外す
残室率2〜4割長野・岐阜・栃木の旅館、長野・栃木・神奈川のリゾート土曜泊の最低2泊条件は維持し、日曜イン・月曜アウトの1泊を別枠で開ける。月曜泊の残室率が5割前後ある県ではここが取り込み余地戻し在庫は土曜泊に優先配分。日曜・月曜泊はもともと残っているため、戻し分を混ぜると価格が崩れる2食付を主力にしつつ、紅葉の見頃が遅れる前提で「朝食付・夕食は外」の中間プランを日曜・月曜泊に限定して出す
残室率4割以上栃木・岐阜・長野のビジネスホテル、各県の月曜泊連泊条件は外し、1泊から受ける。観光客の日曜・月曜泊は旅館からあふれた需要が流れるため、旅館側の残室が薄くなる10月下旬以降が本番OTAへの公開枠そのものを広げる。公開枠が総客室の3割未満の施設は連休でも残室0に見えて機会を逃す素泊まりを主軸に、朝食付を上位に置く。掲載価格が平常週末と同水準の県では、土曜泊だけ段階的に上げる余地がある
出典:メトロエンジン株式会社、ホテルバンク編集部作成
この整理で強調したいのは、残室率が高い区分を「取り込み余地が大きい区分」として扱うことである。10月連休のブッキングカーブが示すように、45日前の残室の5〜7割は30日前以降に消化される。栃木のビジネスホテルのように残室率が4割を超える区分は、旅館が埋まった後に流れる需要を受け止める位置にあり、連泊条件や公開枠の設計次第で連休の取り込みを増やせる。逆に京都・箱根の旅館のように残室が薄い区分は、残る在庫を上位プランに寄せ、キャンセル戻しの再掲を速くすることが単価に直結する。
宿向け:このテーマに効くプラン名のヒント
京都府 × 旅館 × 紅葉で公開されているプラン名(N=295)に多い訴求要素 ——
会席コース 62%海鮮 34%和牛・ブランド牛 30%温泉露天 12%カニ 12%割引 9%
実際の名前の例(匿名化):
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※公開プラン名の集計にもとづく傾向で、命名が販売を生む因果を示すものではありません。市場×命名の深掘りは命名ベンチマーク/イベント記事をご参照ください。
まとめ
10月9日断面で見た11月21〜23日の3連休は、京都と箱根の旅館が宿泊日43日前にして残室率2割前後まで進み、文化の日連休の22日前時点を上回る進み方を見せている。長野・栃木・岐阜の旅館は3割前後を残し、ビジネスホテルは栃木で4割超が残る。日別では5県すべてが初日型で、京都だけが土日の二段構え、月曜泊は全県で最も余裕がある。単価は京都・箱根で平常週末比+21〜53%の差がついた一方、長野・岐阜・栃木は平常並みで、月次ADRの前年同月比の伸びと連休掲載価格の平常並みが同居している。10月連休の実績では残室0到達の2〜4割が直前1週間に起きており、残り6週間の取り込み余地は、残室率が高い区分ほど大きい。なお本稿の数値は進行中の断面であり、OTAへの割当を絞る施設が残室0に見える偽陽性と、観測が古い施設の残室が含まれる。宿泊日まで30日を切った時点で同じ手順を再度走らせ、断面の更新を行う予定である。
よくある質問
Q. 11月21〜23日の3連休で、京都の旅館はもう予約できないのか。
10月9日時点で、OTAに総客室の3割以上を出している京都府の旅館113施設の残室率は中央値18.2%で、土曜泊の残室0を観測した施設は70%です。ただし宿泊日の45日以上前から残室0の施設はOTAへの割当が小さい段階の観測を含むため、実際に受け入れを終えたとは限りません。10月連休の実績では残室0到達の2〜4割が直前1週間に起きており、キャンセル戻しも含めて直前まで動きます。
Q. 3連休のどの日が取りやすいのか。
5県すべてで11月23日(月・祝)泊の残室率が最も高く、京都府の旅館では施設平均43.9%、長野県では52.3%が残っています。翌24日が平日のため、月曜泊は平常の日曜泊に近い需要になります。
Q. 連休の宿泊料金は平常の週末とどれくらい違うのか。
宿泊日45日前時点の掲載価格(全業態・残在庫平均)で、11月21日泊は平常週末の11月14日泊に対して京都府+52.6%、神奈川県+42.7%でした。長野県-1.4%、岐阜県+1.2%、栃木県+7.8%は平常週末とほぼ同水準です。掲載価格は残在庫の平均で、安いプランから売れると残る価格は上がる点に注意が必要です。
⚠ 将来日程のデータに関する注意:本記事の残室率・掲載価格・2026年11月の推定成約ADRは2026年10月9日の調査時点で主要予約サイトに公開されている在庫と販売価格に基づく途中経過であり、チェックイン日に近づくにつれて在庫の追加公開、キャンセル、価格調整で変動します。宿泊日の45日以上前から残室0が続く施設は、OTAへの割当が小さい段階の観測を含むため、完売の確定ではありません。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが主要予約サイトで観測した施設×宿泊日の残室(室ベース)、宿泊日別のブッキングカーブ(掲載在庫ベースの残室率と掲載価格)、月次の推定成約ADR。断面はいずれも2026年10月9日時点。
■ 試算前提
残室率の母集団は観測期間中に総客室の30%以上をOTAに公開した実績のある施設に限り、施設ごとの残室率の中央値・平均で示す(5県・全業態で2,730施設・78,714室。業態別の比較は旅館・リゾート・シティ・ビジネスの4業態)。日別集計は各日に同条件を適用する。掲載価格は2名1室・税込の残在庫平均、推定成約ADRは税抜相当。
■ 限界・留意点
宿泊日まで43日ある途中経過で、OTAへの割当を絞る施設が残室0に見える偽陽性と、最終観測が古い施設(直近7日以内の観測は県別に73〜91%)を含む。10月連休はほぼ最終形のため、11月連休と同じLTでの比較は掲載在庫ベースの指標で行った。神奈川県・岐阜県は県全体の集計で、2026年11月の推定成約ADRは調査時点の掲載水準に基づく。
