
“Jの聖杯”をめざすバトルが再開する。アウェイの水戸に乗り込んだ2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ1stラウンド3回戦。ここまで公式戦11戦無敗、6試合連続無失点と結果を残している東京が、8連戦の3試合目となるゲームで水戸ホーリーホックとの一発勝負に臨んだ。
リーグ戦とカップ戦が入り混じりながらの8連戦。松橋力蔵監督はこの試合に向けて土曜日に行われた明治安田J1リーグ第9節の浦和レッズ戦からスタメン9人を変更。ゴールキーパーは田中颯選手。最終ラインは右から大森理生、アレクサンダー ショルツ、森重真人、鈴木楓の4選手が入った、ボランチは高宇洋選手と常盤亨太選手のコンビ、アタッカーは右に山田楓喜選手、左に佐藤恵允選手を配し、仲川輝人選手とダニ ゴメス選手が2トップを編成した。また、ベンチには“ゲームチェンジャー”となれる選手が多数控え、展開に応じて勝利をもぎとるためにピッチへ送り込む準備もできている。フレッシュなメンバーを起用しながらしっかりと結果を残し、着実に選手層を拡充することができているだけに、総力戦で4回戦進出の切符を手にして東京に帰らなければならない。
なお、1stステージはVARが導入されておらず、90分間で決着がつかなければ15分ハーフの延長戦からPK戦で雌雄を決することになる点も念頭に置いておきたいところだ。

1st―田中颯のビッグセーブに救われ、スコアレスで後半へ
試合開始から「カップを奪いとれ」というチャントがアウェイのスタジアムに響き渡るゲーム。立ち上がりの前半2分にミドルシュートを許したが、これはこぼれ球を含めて田中選手が鋭い反応でセーブ。東京も反撃を狙っていくものの、水戸の積極的な守備にビルドアップ、速攻の両方が封じられる時間が続く。前半6分にはゴール正面から決定的なシュートを打たれたが、ボールが枠を捉えずに救われるシーンもあった。

うまくリズムを作れないことを受け、東京は最終ラインから外回しでのビルドアップで相手の綻びを探っていく。
なかなか流れをつかめない東京。サイドを崩されて危ないシーンもあったが、相手の鋭いクロスボールを田中選手が弾いてセーブ。失点しないことで粘り強く戦ってチャンス、そしてゴールを生み出していきたいところだ。
田中選手のファインセーブが続く。前半20分には自陣右サイドを破られてクロスボールを許したが、中央でドンピシャのタイミングで合わせられたシュートを残り足の右足でギリギリのセーブ。まさに『守護神』と呼ぶべき奮闘で青赤のゴールを守り切る。

水戸のハイプレス、ローブロックというスタイルに手を焼き、攻撃の形を作れない東京。前半39分には左サイドから差し込まれたボールを仲川選手が巧みなターンから力強く前進。ここは相手選手に囲まれてロストしてしまったが、ここに佐藤選手が猛然とダッシュして再びルーズボールに。だが、中央で身体を入れて収めようとした仲川選手がファウルをとられてチャンスには至らない。

1分間の前半アディショナルタイムには大森選手の低いクロスボールからペナルティエリア内で細かくつないだがシュートは打ち切れず。前半は攻撃面で見どころを作ることができずにタイムアップ。田中選手のファインセーブで無失点に抑えたことをポジティブに捉えて、後半に”ゲームチェンジャー”を投入しながら勝負を仕掛けていきたいところだ。
2nd―水戸の堅い守備を崩せず、今シーズン初の無得点で敗戦
ハーフタイムに一枚替えを敢行してきた水戸に対して、東京は選手交代なし。なかなかチャンスを作り切れないシーンが目立ったが、左サイドバックの鈴木選手は誰よりも早くピッチに戻り、一礼してイン。全力ダッシュで自らのポジションに向かい、後半の巻き返しに意欲と覚悟を感じさせた。

アグレッシブなプレスを仕掛けていく東京。だが後半6分、2トップの果敢なプレスが剥がされたところからカウンターを仕掛けられ、右サイドをカットインで破られたところから中央で蹴り込まれて先制点を許してしまう。チームにとってはこれが9月2日の清水エスパルス戦以来、公式戦7試合ぶりの失点となった。
だが、「いつかは失点するもの」と話していた選手たちは、気落ちすることなく反撃を開始。前半16分には厚みのある攻撃から大森選手が鋭い右クロスを供給すると、中央で押し込んだ状況からルーズボールを拾った常盤選手がシュート。だが、これは相手にブロックされてしまい、ネットを揺らすことはできない。

勢いに乗じて一気呵成に同点としたい東京は、この直後に最初の選手交代。ゴメス選手、山田選手に代えて2トップの一角に長倉幹樹選手、左アタッカーに安斎颯馬選手を投入し、佐藤選手を右アタッカーに回して反撃を期すことになった。さらに後半25分には仲川選手、鈴木選手からマルセロ ヒアン選手、バングーナガンデ佳史扶選手にスイッチ。両選手ともそのままのポジションに入り、攻勢を強めていく構えを固めた。
すると、ヒアン選手がいきなり決定機を生み出す。常盤選手の浮き球パスからゴール前に鋭く抜け出してシュート。これは相手にブロックされてしまったが、可能性のあるアタックだった。
水戸が選手交代で5バックに変更して守備固めに入ると、東京は最後の交代カードを切る。後半35分、佐藤選手に代えて俵積田晃太選手を左アタッカーに送り込み、安斎選手を右アタッカーに移して1点を追い上げる態勢を整えた。

ボールをつなぎながら左右両サイドでチャンスを探っていく東京。水戸が自陣ペナルティーエリア付近に11人が閉じこもるような極端な布陣を敷いてきたが、それでも焦れずに攻め続けていく。後半40分には左クロスのこぼれ球を安斎選手が強烈なミドルシュート。同42分には中央をダイレクトで崩して長倉選手が浮き球のスルーパスを出すと、これにヒアン選手が抜け出して流し込みを狙ったが、ボールは惜しくもわずかにゴール左へ外れてしまう。

スクランブル態勢で同点を狙う東京は後半44分、コーナーキックのチャンスにゴールキーパーの田中選手も攻め上がっていく。
後半アディショナルタイムの4分間も懸命に攻め立てたが、最後までゴールが遠く、ネットを揺らせないままタイムアップ。今シーズン初の無得点で明治安田J1リーグ第1節 FC町田ゼルビア戦以来となる公式戦での敗戦を喫し、アウェイでルヴァンカップ制覇の道が途絶える結果となってしまった。

Q、試合の総括をお願いします。
A、本当に悔しい敗戦になりました。ルヴァンカップはこれで終わってしまったことは非常に残念です。ただ、この流れを引きずっていても仕方がないので、すぐに次の試合がきますから、しっかりと気持ちを切り替えて、次のゲームに挑んでいきたいなと思っています。
Q、今シーズンのリーグ開幕戦以来、かつ初の無得点での敗戦となりましたが、ここからどのように次へ切り替えていきますか。
A、今日の敗戦のすべてを無視するということではないですが、もしかすると無視しなければいけない部分もあるかもしれません。そこのさじ加減はしっかり選手と話をしながら次に進めていかなくてはいけません。もちろんきてはほしくないですけれど、遅かれ早かれ、こういう時はくると覚悟の上で当然1試合1試合戦っていますし、その時が今日だったということで、しっかりと次につなげる敗戦にしなくてはいけません。準備期間は非常に短いですが、しっかりと集中して、次の試合にこの敗戦の教訓をしっかり活かして、同じ轍を踏まないようにまた準備をするだけだと思っています。
Q、先制点を奪われたなかで試合を進めたことも今シーズン初だったと思います。
A、ゲーム自体はしっかりと良い流れを作り上げてくれていたと思いますが、本当に最後のアタッキングサードの部分と、そこからどうギアを変えていくかというところ、アイディアやそういうものをどう出していくかというところが非常に薄いゲームになってしまいました。後半に交代をすることによって、そういうところが少しずつ出始めたと思いますが、相手もしっかりと5バックにして守ってくるなかで、非常に難しい展開にはなってしまいましたけれど、そこをしっかりと崩せるように、また準備をしたいと思います。
Q、明治安田J1百年構想リーグの水戸ホーリーホックとの対戦時も同会場でなかなか良さを出せない部分がありましたが、今日も自分たちの良さが出せなかった要因はどこにあるとお考えですか。
A、この会場が要因なのかどうかはわかりませんけれど、風もそんなに吹いているわけではなかったですし、そんなにやりづらい環境ではないなと僕自身は思っています。難しい流れは、やはりホームの雰囲気だったりを水戸さんが作っているという部分で、そういう流れがあるのかもしれません。しかし、僕は決してここが苦手な場所だとか、苦手な相手だという意識はまったくありません。ただ、やはりゲームのなかで最後までやり切るという部分が非常に少なかった。シュートまで持っていけず、相手の脅威になるシーンも非常に少なかった。そういうところはまたあらためて、何が原因だったかというところを追求しなくてはいけないかなと思います。
アレクサンダー ショルツ選手

Q、水戸ホーリーホック戦の悔しい結果の受け止めと、相手の守備の印象について教えてください。
A、自分たちができることはやったとは思いますが、水戸ホーリーホックの方がこの試合は非常に守備が良く、試合の準備というところも本当に素晴らしかったと思っています。我々は自分たちのことにフォーカスして取り組んでいかなければいけないと思っています。ボールを持って相手のブロックの周りを回すことはできましたが、最後のところで危険なシーンを作ることが全然できませんでした。普段のゲームであれば二つくらいはチャンスのシーンを作ることができたと思いますが、相手のラインをなかなか突破することができませんでした。0-0の時間が長ければ我々も少しチャンスを作ることもできたと思いますが、本当に彼らの守備が素晴らしかったと思います。
Q、終盤に右サイドバックの位置まで上がってプレーしたことはアドリブですか。
A、エネルギーが残っていたので、そういった右サイドバックのようなプレーをしていたところもありますが、実際この試合を通じて自分たちはあまりうまくいっていませんでした。本当にテンポが遅かったり相手が非常に近いところまで寄せてくるなかで、実質のところでうまくいかなかった部分もあります。相手の後ろ側にもいこうとプッシュしようとしましたが、自分のプレーのクオリティというところも今日はあまり良くなかったかなと振り返っています。
Q、無失点記録が止まりカップ戦敗退となりましたが、失点シーンの分析と次戦に向けた切り替えについて教えてください。
A、記録の面に関しては、本当に外からの意見なのかなと思っています。今日の失点を振り返って分析してみたところ、相手の大きなチャンスから失点したというよりは、本当に何もないところからディフレクションもあったり、そういった偶然の局面から失点してしまったと思っています。ただ、失点した後の我々のリアクションは本当に良くて、その後は相手にほとんどチャンスを与えずに試合を続けることができていました。この試合に負けてしまってルヴァンカップは敗退になってしまいましたが、自分たちの軸は変わらず、三日後の東京ヴェルディ戦に向けて、本当に明日にでもプレーしろと言われたらできるくらいの準備ができていると思っています。
Q、この悔しさを次戦にどうぶつけていくか、東京ヴェルディ戦に向けた意気込みを教えてください。
A、正直に言うと、今日勝っても負けても、自分は東京V戦に同じ想いを持って臨みます。この試合に悔しさはありますが、明日からは次の試合へ進む準備ができています。リーグ戦の試合はすべて重要で、我々は最初につまずいてポイントを落としてしまったところがある分、これからも追いかけていくメンタリティでポイントを重ねられるようにしていきたいと思っています。東京Vも苦しい時間を過ごしていますが、FC東京と戦う時には非常に良いサッカーをしてくるので、我々もそれに向かって良い準備をできればと思っています。
高宇洋選手

Q、この結果を受けて今どう感じていますか。
A、もう切り替えて次の東京ヴェルディとのリーグ戦にむけて、やるしかないです。
Q、東京らしさが発揮できない90分だったと思いますが、どのような部分に要因を感じていますか。
A、相手も引いてきたというところと、今日の試合で言うとボールの失い方が悪かったので、そこでどう進入していくかということは、ピッチ上でとてもムズムズした感じでやっていました。それで後半もう一回やろうという時に、前半もそうでしたが試合の入りのところでピンチが多く、後半はそこで1発やられてしまいました。そうなれば相手も最後6枚気味に守ってというところだったので、さらに試合を難しくしてしまいました。
Q、相手がハイプレスとローブロックのような陣形で、東京の良さを消してきた印象がありました。
A、いつもよりやりづらさはありましたが、そこはまたいろいろ修正しながら、ポジティブに次の試合に向けてやっていきます。出た課題に対して、しっかりと向き合っていくだけです。
Q、チームとして継続していた様々な記録が途絶えてしまった一方で、リスタートという位置づけもあると思います。
A、このような記録はいずれ止まってしまうものです。もちろん、伸びれば伸びるほど良いと思いますが、一番は途切れた後、その次が絶対に大事です。週末には東京Vとの試合が控えていますし、ファン・サポーターの今日の最後の応援もそうですが、そこは全選手・スタッフが責任を持ってこの試合に臨む必要があります。準備期間は短いですが、しっかりと次の試合に向けてやっていきたいです。



