
欧州連合(EU)と中国が、自動車貿易と輸出管理を巡る摩擦の緩和に向けて動き出しました。EUのマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)と中国の王文濤商務相は10月8、9両日、北京で閣僚級の貿易投資協議を開催。両者は、中国製ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の対EU輸出を抑える方向で共通認識に達しました。
シェフチョビッチ氏は協議後、今後4年間の中国製HVなどの対EU輸出について、従来の予測と比べて半分以下に抑えられる可能性があると表明しました。2026年に80万台に達すると見込まれていた中国製HVの輸入は、約半分に抑えられる見通しです。現在の輸出台数を直ちに半減させるのではなく、対策を講じなかった場合の予測と比べた数字です。
中国車の欧州向け輸出は近年急増し、双方の貿易摩擦を深める要因となっていました。協議を前にEUが輸入制限を検討していると伝わると、中国メーカーとの競争が和らぐとの期待から、仏ルノーなど欧州の自動車メーカーの株価が上昇しました。
ただし、協議直後に公表された共同声明は、EU側の説明ほど踏み込んだ内容ではありませんでした。声明はHV貿易を世界貿易機関(WTO)のルールに沿って扱うことを確認した一方、輸出抑制の規模や時期は示していません。中国側も、この段階では削減規模を明らかにしていませんでした。
欧州委員会は9日、HVとPHVを対象とするセーフガード(緊急輸入制限)を導入し、中国からの輸入枠を年35万台とすることで中国政府と合意しました。上限は毎年6%ずつ引き上げる計画。期間は4年間で、適用は12月初めからとなる見込みです。中国が自ら輸出を制限するのではなく、EUが輸入枠を設けて流入を抑える仕組みです。
中国商務省も12日に声明を出し、中国の枠は他国を下回らず、2025年の実績を上回る水準になると説明しました。
レアアースの許可手続きも改善へ 協議継続で合意の実行を確認
自動車以外では、中国がレアアース(希土類)や永久磁石のEU向け輸出許可を、迅速に審査する仕組みなどを通じて円滑化する方針を示しました。中国はEU産の自動車部品やオリーブオイル、靴などの関税引き下げにも応じています。ただし、許可の円滑化は輸出管理そのものの撤廃とは異なり、今後の運用が焦点となります。
王文濤氏は協議で、中国はEUの問題の原因ではなく、解決に向けたパートナーだと強調しました。なお、セーフガードは形式上、中国以外からの輸入も対象とします。中国メーカーがEU域内で生産する車は輸入に当たらないため、枠の対象外です。
EUは15日に始まる首脳会議で、最初の議題として中国問題を取り上げます。首脳らは合意内容を評価し、追加措置の要否を判断する見通し。双方は2027年1月に閣僚級のビデオ会議、3月に次回協議を開く予定です。合意事項の実行に向け、対話を継続します。
