沖縄の食事プレミアム、ビジネス朝食+12.9%・リゾート+7.4% — 単価が高いほど薄い朝食の段差、2食付で+19.8%

沖縄県のホテルが2026年10月に販売している宿泊プランを、同一ホテル内で「素泊まり」と「朝食付」の両方を売っている施設だけに絞って比べると、朝食付の上乗せ幅(食事プレミアム)はビジネスホテルが+12.9%(ペア N=75施設)、シティホテルが+23.5%(N=8)であるのに対し、リゾートホテルは+7.4%(N=88)にとどまっていた。単価の高いリゾートほど朝食の段差が薄い一方で、同じリゾートでも2食付は朝食付に対して+19.8%(N=65)、素泊まりに対して+28.3%(N=65)と明確な段差を付けている。本稿では沖縄県のホテルを業態・市区町村・月次で分解し、北海道・京都・東京と並べたうえで、冬の閑散期を前にした食事プランの段差設計を運営者の目線で読み解く。

対象: 沖縄県のシティホテル・ビジネスホテル・リゾートホテル(旅館は除外)。食事プレミアムは同一ホテル内で両方の食事タイプを販売している施設のペア比較(朝食付 vs 素泊まり N=183施設・2026年10月宿泊分)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年10月9日。

Key Takeaways

— 朝食は単価の高い業態ほど薄い:2026年10月宿泊分の朝食付 vs 素泊まりは、シティホテル+23.5%(N=8)、ビジネスホテル+12.9%(N=75)、リゾートホテル+7.4%(N=88)。県全体は+8.7%(N=183)。
— 額で見ると順序が入れ替わる:リゾートの朝食の上乗せ額は1室+3,279円で、ビジネスホテルの+2,238円より大きい。率が薄いのは素泊まり単価(44,082円 vs 17,350円)が大きいため。
— リゾートの段差は夕食で立つ:2食付 vs 朝食付はリゾート+19.8%(N=65・1室+10,860円)、ビジネスホテル+24.4%(N=14)。
— 立地で朝食の位置づけが分かれる:那覇市は+17.4%(N=64)、恩納村のリゾートは−3.4%(N=14)。県平均だけでは自館の型を見誤る。
— 上乗せ額を据え置けば冬に率は厚くなる:10月の額のまま客室価格が11月の推定成約ADRの変化(リゾート−16.7%)だけ動くと、リゾートの朝食は+7.4%→+8.9%。

食事プレミアムの測り方 — 同一ホテル内のペア比較だけを使う

まず、本稿の「食事プレミアム」が何を測っているかを明確にしておきたい。県内の朝食付プランの平均と素泊まりプランの平均を単純に比べると、朝食付を主力にする高単価リゾートと素泊まり中心の低単価ホテルの価格差が混ざり、食事の価値ではなくホテルの顔ぶれの差を測ってしまう。そこで本稿は、同じ月に同一ホテルが素泊まりと朝食付の両方を販売しているケースだけを取り出し、その施設内での差額率を集計している。したがって「+12.9%」は、ある施設が朝食を付けたときに自館の素泊まりからどれだけ上乗せしているか、の業態平均に近い。

対象はシティホテル・ビジネスホテル・リゾートホテルの3業態で、旅館は2食付が標準商品であり素泊まりとの対が成立しにくいため除外している。2名1室の条件で、ペアが成立した施設数を N= として併記した。N が小さい区分(シティホテルの N=8 など)は水準の目安として読み、1ポイント刻みの差を論じないのが安全である。

業態別の朝食プレミアム — 単価が高いほど段差が薄い

2026年10月宿泊分の朝食付 vs 素泊まりを業態別に見ると、シティホテルが+23.5%(N=8)、ビジネスホテルが+12.9%(N=75)、リゾートホテルが+7.4%(N=88)と、客室単価の高い業態ほど朝食の段差が薄いという明確な順序になっていた。県全体では+8.7%(N=183)で、ペア数の多いリゾートが全体値を押し下げている形である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

この順序は直感と逆に見えるかもしれない。朝食の原価や提供コストは、ビュッフェの品数や会場の規模を考えればリゾートのほうが高いはずだからである。しかし差額率は「朝食の価値÷素泊まり単価」なので、分母の客室単価が大きいリゾートでは同じ金額の朝食を乗せても率が小さくなる。加えてリゾートでは朝食付が実質的な標準商品になっており、素泊まりは上位客室や直前枠の販売に使われることが多い。素泊まりのほうが高い客室で売られていれば、ペア比較の差額は圧縮されるか、場合によっては逆転する。後述する恩納村の例がまさにそれである。

逆にビジネスホテルでは、素泊まりが主力商品で朝食は「追加のオプション」として価格を立てやすく、分母も小さいため率が大きく出る。シティホテルの+23.5%は N=8 と小さいが、那覇の都市型ホテルがレストラン朝食を価格に明確に反映させている様子を映している。

沖縄県・業態別の食事プレミアム(2026年10月宿泊分・同一ホテル内ペア比較・2名1室)
業態朝食付 vs 素泊まり夕食付 vs 素泊まり2食付 vs 朝食付2食付 vs 素泊まり

シティホテル+23.5%(N=8)———
ビジネスホテル+12.9%(N=75)+19.1%(N=5)+24.4%(N=14)+40.3%(N=15)
リゾートホテル+7.4%(N=88)+8.6%(N=13)+19.8%(N=65)+28.3%(N=65)
全体+8.7%(N=183)+9.8%(N=19)+19.1%(N=87)+28.6%(N=88)

沖縄県・2026年10月宿泊分・2名1室・同一ホテル内ペア比較。N=ペア成立施設数。「—」はペア数が基準に満たない区分。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

夕食で取る段差 — リゾートは2食付で+19.8%、ビジネスは+24.4%

朝食で薄かったリゾートの段差は、夕食を付けた瞬間に立ち上がる。リゾートホテルの2食付は朝食付に対して+19.8%(N=65)、素泊まりに対しては+28.3%(N=65)であり、朝食の+7.4%とは段差の大きさが明らかに違う。ビジネスホテルでも2食付は朝食付比+24.4%(N=14)、素泊まり比+40.3%(N=15)と、朝食の段差(+12.9%)を大きく上回っていた。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

ここから読めるのは、沖縄のリゾートにおける「朝食は価格帯に織り込み済み、夕食が収益の段差」という構造である。リゾートで朝食付と2食付の両方を売る施設が65と多いこと自体、夕食を館内で取り込む設計が広く採られている証左といえる。朝食付と2食付の対が65施設あるのに対し、夕食のみ(夕食付 vs 素泊まり)の対は13施設と少なく、「夕食を付けるなら朝食とセットで」という商品構成が主流になっている。

一方ビジネスホテルの2食付は N=14〜15 と施設数が限られるが、段差率はリゾートより大きい。分母が小さいことに加え、ビジネスホテルの夕食は提携飲食店や館内の定食形式など原価構造が異なるため、率で見れば高く出やすい。那覇の出張需要が中心のビジネスホテルで2食付の比率を上げる設計は一般的ではないものの、離島や郊外で夕食の選択肢が限られる立地では、段差が受け入れられている様子がうかがえる。

市区町村別 — 那覇の+17.4%と恩納村の−3.4%が示す立地差

同じ朝食付 vs 素泊まりでも、市区町村で分けると段差の付け方はまったく違う。那覇市は全体で+17.4%(N=64)と県平均の2倍近い段差を付けており、業態別でもビジネスホテル+14.2%(N=51)、シティホテル+23.6%(N=8)、リゾートホテル+26.5%(N=5)と、すべての業態で朝食が価格に乗っている。対照的に恩納村のリゾートホテルは−3.4%(N=14)と、朝食付プランの平均が素泊まりの平均を下回っていた。

沖縄県・市区町村別の朝食プレミアム(朝食付 vs 素泊まり・2026年10月宿泊分)
市区町村全体ビジネスホテルリゾートホテルシティホテル

那覇市+17.4%(N=64)+14.2%(N=51)+26.5%(N=5)+23.6%(N=8)
石垣市+4.5%(N=24)+8.7%(N=10)+3.6%(N=14)—
宮古島市+14.2%(N=15)+14.9%(N=8)+14.0%(N=7)—
恩納村−3.4%(N=14)—−3.4%(N=14)—
名護市+11.7%(N=9)—+21.2%(N=6)—
本部町+3.3%(N=6)—+3.3%(N=6)—
竹富町+8.7%(N=6)—+8.7%(N=6)—

朝食付 vs 素泊まり・2026年10月宿泊分・2名1室・同一ホテル内ペア比較。ペア5施設以上の区分のみ掲載。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

恩納村のマイナスは「朝食が無料」という意味ではなく、素泊まりプランがより高い客室タイプや直前の販売枠で出ており、朝食付が標準的な客室の主力プランとして売られている、という商品構成の反映と読むのが自然である。石垣市(+3.6%・N=14)や本部町(+3.3%・N=6)のリゾートも段差は薄く、西海岸や離島の高単価リゾート帯では朝食込みが前提になっていることが共通している。一方で宮古島市のリゾート(+14.0%・N=7)や名護市のリゾート(+21.2%・N=6)は段差を明確に付けており、同じ「沖縄のリゾート」でも立地によって朝食の位置づけが分かれている。

那覇市のビジネスホテル+14.2%(N=51)は、県のビジネスホテル平均(+12.9%)をやや上回る。石垣市のビジネスホテル(+8.7%・N=10)との差からは、那覇の朝食が出張者向けのオプションとして定着し、価格に反映しやすいことが読み取れる。

5〜10月の推移と県間比較 — 沖縄の段差は月をまたいで安定

朝食プレミアムは季節で大きく動くわけではない。2026年5月から10月までの6か月を業態別に追うと、ビジネスホテルは+12.0%(5月・N=68)から+13.1%(9月・N=77)の間に収まり、リゾートホテルは+7.4%(10月・N=88)から+9.1%(9月・N=87)の範囲で推移していた。シティホテルは+22.6%(5月・8月)から+25.3%(9月)と幅はやや大きいが N=8 で一定の変動は避けられない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注目したいのは、夏のピークである7〜8月にリゾートの段差が広がらなかったことである。8月のリゾートは+8.4%(N=86)、7月は+8.1%(N=86)で、閑散に向かう10月の+7.4%と1ポイント程度しか違わない。客室単価が夏に大きく上がる沖縄のリゾートでは、朝食の金額をほぼ固定したまま客室を動かすため、率で見た段差はむしろ単価の高い夏に薄くなる構造といえる。この6か月のなかで9月が各業態とも最も段差が大きかったのは、単価が夏から落ちる局面で朝食の金額が据え置かれた結果と整理できる。

県間で並べると、沖縄の特徴がさらにはっきりする。ビジネスホテルの朝食付 vs 素泊まりは沖縄+12.9%(N=75)と京都+12.9%(N=70)が並び、北海道+10.6%(N=197)、東京+9.0%(N=354)がそれに続く。シティホテルは沖縄+23.5%(N=8)、北海道+20.5%(N=49)が高く、京都+13.6%(N=29)、東京+13.3%(N=64)は抑えめである。リゾートホテルで比較可能な北海道は+8.3%(N=48)で、沖縄の+7.4%(N=88)と同じく一桁台にとどまっていた。なお、北海道で夕食の段差が額ベースでほぼ一定である構造は北海道の食事プレミアム分析が、京都で秋の繁忙期に朝食の上乗せ率が縮む動きは京都の食事プレミアム分析がそれぞれ掘り下げている。

主要4道府県との比較(朝食付 vs 素泊まり・2026年10月宿泊分)
都道府県全体ビジネスホテルシティホテルリゾートホテル

沖縄県+8.7%(N=183)+12.9%(N=75)+23.5%(N=8)+7.4%(N=88)
北海道+11.5%(N=349)+10.6%(N=197)+20.5%(N=49)+8.3%(N=48)
京都府+11.7%(N=111)+12.9%(N=70)+13.6%(N=29)—
東京都+10.6%(N=462)+9.0%(N=354)+13.3%(N=64)—

朝食付 vs 素泊まり・2026年10月宿泊分・2名1室・同一ホテル内ペア比較。「—」はペア数が基準に満たない区分。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

県全体の段差が沖縄+8.7%と4県で最も薄いのは、リゾートホテルのペアが183のうち88と約半数を占める構成による。業態ごとに見れば沖縄のビジネス・シティは他県と同等か高い段差を付けており、「沖縄の朝食が安い」のではなく「沖縄はリゾート比率が高いので県全体の率が薄く見える」と読むのが正確である。

沖縄の推定成約ADR — 段差を乗せる土台の価格帯

食事プレミアムは率なので、実額に換算するには土台となる客室単価の文脈が要る。沖縄県の推定成約ADRを業態別に確定月の前年同月比で見ると、2026年9月はリゾートホテルが16,800円(N=282・前年同月15,700円・+7.3%)、ビジネスホテルが8,800円(N=197・前年8,100円・+9.4%)、シティホテルが18,100円(N=16・前年16,800円・+7.5%)と、3業態そろって前年を上回っていた。8月はリゾート22,300円(N=282・+3.1%)、ビジネス9,700円(N=196・+3.3%)、シティ20,700円(N=15・−0.2%)で、ピーク月の伸びは9月より穏やかである。3業態の季節形状の違いと10月連休のブッキングカーブについては、沖縄のリゾート・シティ・ビジネス3業態比較で詳しく分析している。

沖縄県・業態別の推定成約ADR(確定値と現時点推定値)
業態2025年9月(確定)2026年9月(確定)前年同月比2026年10月(現時点推定)2026年11月(現時点推定)

リゾートホテル15,652円(N=267)16,799円(N=282)+7.3%16,760円(N=280)13,964円(N=280)
ビジネスホテル8,079円(N=193)8,835円(N=197)+9.4%10,144円(N=194)9,776円(N=192)
シティホテル16,824円(N=11)18,089円(N=16)+7.5%19,888円(N=16)17,728円(N=16)

推定成約ADR(税抜相当)。2025年9月・2026年9月は確定値、2026年10月・11月は現時点の販売状況に基づく推定値で今後変動し得る。確定値との単純比較は月末の確定を待つ。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

10月・11月の推定は現時点の販売状況に基づくもので、前年確定値(2025年10月リゾート14,800円、11月13,700円)との単純比較は月末の確定を待つ必要がある。ただ、2025年の確定値の形だけを見ても、リゾートは8月の21,600円をピークに11月には13,700円まで下がる季節形状をもっており(同年1月も12,700円)、冬は客室単価の土台が夏の6割程度になる。率で見れば薄い朝食の段差も、実額では冬のほうが客室単価に対して相対的に重くなる点は、冬の商品設計で意識しておきたい。

朝食の上乗せを額で見る — 据え置いたときに率はどう動くか

率だけでは見えない構造を、上乗せの実額に直して確かめておく。2026年10月宿泊分の掲載価格ベースで、リゾートホテルの朝食付は素泊まりより1室あたり+3,279円(1人あたり約1,640円)高く、ビジネスホテルの+2,238円(同約1,119円)を上回る。額ではリゾートのほうが朝食に多く乗せているにもかかわらず率が+7.4%にとどまるのは、基準となる素泊まりの平均が44,082円とビジネスホテル(17,350円)の2.5倍あるためで、冒頭で述べた「分母が大きいほど率は小さく出る」構造がそのまま数字に表れている。リゾートの2食付は朝食付に対して1室+10,860円で、夕食1食分の段差は朝食の3倍強の額になる。

利用人数でも率は変わる。朝食は1人分ずつ料金が積まれるため、1名利用ではビジネスホテルの朝食付 vs 素泊まりが+7.7%(N=76)、リゾートが+6.2%(N=88)と、2名利用(+12.9%・+7.4%)より薄くなる。出張の単身利用が主力のビジネスホテルは、1名利用の率を物差しにするほうが実態に近い。

食事プレミアムの実額(2026年10月宿泊分・掲載価格ベース・同一ホテル内ペア比較)
業態比較基準プランの平均(2名1室)上乗せ額(1室)1人あたり上乗せ率(2名利用)上乗せ率(1名利用)

シティホテル朝食付 vs 素泊まり25,119円+5,911円+2,956円+23.5%(N=8)+17.3%(N=8)
ビジネスホテル朝食付 vs 素泊まり17,350円+2,238円+1,119円+12.9%(N=75)+7.7%(N=76)
リゾートホテル朝食付 vs 素泊まり44,082円+3,279円+1,640円+7.4%(N=88)+6.2%(N=88)
ビジネスホテル2食付 vs 朝食付19,387円+4,725円+2,362円+24.4%(N=14)+16.5%(N=14)
リゾートホテル2食付 vs 朝食付54,743円+10,860円+5,430円+19.8%(N=65)+8.9%(N=64)

基準プラン=朝食付 vs 素泊まりは素泊まり、2食付 vs 朝食付は朝食付。1人あたり=1室の上乗せ額÷2。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

この上乗せ額を10月の水準で据え置いたまま客室価格だけが動くと、率は機械的に変わる。基準プランの価格が20%下がればリゾートの朝食は+9.3%、30%下がれば+10.6%になる。現時点の推定では、沖縄県のリゾートホテルの推定成約ADRは10月16,760円から11月13,964円へ-16.7%動く見込みで、これを当てるとリゾートの朝食は+7.4%から+8.9%、2食付 vs 朝食付は+19.8%から+23.8%に厚くなる。ビジネスホテルは10月→11月の変化が-3.6%と小さく、率もほぼ動かない(+13.4%)。冬に朝食込みプランが割高に映らないかは、額を固定したときのこの率の動きで点検できる。

上乗せ額を10月水準で据え置いた場合の上乗せ率(基準プラン価格の変化率別)
業態・比較+10%±0%-10%-20%-30%10月→11月の推定成約ADR変化を当てた場合

シティホテル・朝食付 vs 素泊まり+21.4%+23.5%+26.1%+29.4%+33.6%+26.4%(-10.9%)
ビジネスホテル・朝食付 vs 素泊まり+11.7%+12.9%+14.3%+16.1%+18.4%+13.4%(-3.6%)
リゾートホテル・朝食付 vs 素泊まり+6.8%+7.4%+8.3%+9.3%+10.6%+8.9%(-16.7%)
ビジネスホテル・2食付 vs 朝食付+22.2%+24.4%+27.1%+30.5%+34.8%+25.3%(-3.6%)
リゾートホテル・2食付 vs 朝食付+18.0%+19.8%+22.0%+24.8%+28.3%+23.8%(-16.7%)

2026年10月宿泊分の上乗せ額(1室・2名利用)を固定し、基準プランの価格だけが列見出しの率で変わると仮定した計算値(率=10月の率÷(1+変化率))。右端の括弧内は2026年10月→11月の推定成約ADRの変化率(いずれも現時点推定)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

沖縄のリゾート・ビジネス・シティホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

運営目線のインサイト

1. 自館の朝食段差を「業態×立地」の2軸で照合する。 県のリゾート平均+7.4%(N=88)だけを見て自館の段差を判断するのは粗い。恩納村のリゾートは−3.4%(N=14)、名護市は+21.2%(N=6)、宮古島市は+14.0%(N=7)と、同じリゾートでも立地で段差の位置づけが違う。自館が朝食込みを標準商品にしている(恩納村型)のか、朝食をオプションとして価格に立てている(名護・宮古型)のかをまず自覚し、その型の中で段差の妥当性を考えたい。

2. リゾートの収益段差は夕食にある。 朝食付 vs 素泊まりが+7.4%でも、2食付 vs 朝食付は+19.8%(N=65)、素泊まり比では+28.3%(N=65)と段差は夕食で立ち上がる。朝食の段差を無理に広げるより、夕食の内容・会場・時間帯で段階を作り、2食付の比率を季節で調整するほうが単価設計の自由度が大きい。

3. 率で見た段差は夏に薄く、閑散期に厚くなる。 5〜10月のリゾートの朝食段差は+7.4%〜+9.1%の範囲で動き、単価が落ちる9月に最も広がった。2025年確定値でリゾートの客室単価が8月21,600円から11月13,700円へ下がる季節形状を踏まえると、朝食の金額を固定したまま冬を迎えれば、率としての段差は自然に広がる。冬に朝食込みプランの割高感が出ないかを、率と実額の両方で点検しておきたい。

4. ビジネスホテルの朝食は「乗せる」商品である。 那覇市のビジネスホテルは+14.2%(N=51)と、京都(+12.9%・N=70)や東京(+9.0%・N=354)と比べても朝食に価格を乗せている。素泊まりを主力にしつつ朝食付で単価を上げる設計は市場で受け入れられており、客室単価が前年同月比+9.4%(2026年9月確定・N=197)で伸びる局面でも、朝食付の構成比を保つ余地がある。

運営者向けアクションプラン(時間軸別)
時間軸打ち手判断トリガー(記事中の数値)狙い

今日〜今週自館の朝食付と素泊まりの販売中プランを同一客室タイプで突き合わせ、差額率を算出するリゾートで+7.4%、ビジネスで+12.9%、シティで+23.5%の業態平均から大きく外れているか自館が「朝食込み標準型」か「朝食オプション型」かを特定する
今日〜今週市区町村の段差と照合し、立地の慣行とのズレを確認する那覇市+17.4%(N=64)、恩納村−3.4%(N=14)、石垣市+4.5%(N=24)の立地差近隣の商品構成に対し自館の朝食の見せ方が割高・割安に映らないかを点検する
2週間以内リゾートは2食付プランの段差設計を見直し、夕食の内容で2〜3段階を用意する2食付 vs 朝食付+19.8%(N=65)、2食付 vs 素泊まり+28.3%(N=65)に対し自館の2食付の段差が薄いままなら朝食で取れない段差を夕食で取り、館内消費を含めた単価を押し上げる
2週間以内ビジネスホテルは朝食付の構成比と価格段差を確認し、素泊まり主力の中で朝食を乗せる設計を保つ那覇市ビジネス+14.2%(N=51)を自館の段差が大きく下回っているなら客室単価が前年比+9.4%で伸びる局面で、朝食の単価寄与を取りこぼさない
来月に向けて冬の価格帯に合わせて朝食込みプランの実額感を点検し、必要なら朝食の見せ方(素泊まり+選べる朝食等)を切り替える2025年確定値でリゾートの客室単価が8月21,629円→11月13,721円と夏の6割程度に下がる季節形状閑散期に朝食込みの割高感で素泊まり志向の客を逃さない
来月に向けて11月以降の推定成約ADRの動きを月次で追い、段差率ではなく実額で食事プランの位置を再計算する2026年11月の現時点推定がリゾート13,964円・ビジネス9,776円(いずれも変動し得る)月末の確定を待って食事プランの価格を冬の土台に合わせる

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 食事プランの段差を読む3つの物差し

沖縄県の食事プレミアムを同一ホテル内のペア比較で見ると、朝食の段差はシティホテル+23.5%(N=8)、ビジネスホテル+12.9%(N=75)、リゾートホテル+7.4%(N=88)と、単価が高い業態ほど薄い。一方で2食付の段差はリゾートで朝食付比+19.8%(N=65)、ビジネスで+24.4%(N=14)と、夕食が収益の段差になっている。市区町村では那覇市+17.4%(N=64)と恩納村−3.4%(N=14)が対極にあり、立地によって朝食の位置づけが分かれていた。

運営者が自館の食事プランを点検する際の物差しとして、次の3点を提案したい。第一に、段差率は「業態×立地」の2軸で比べること。県平均の一つの数字では自館の型を見誤る。第二に、リゾートでは朝食ではなく夕食で段差を設計すること。朝食は価格帯に織り込まれており、2食付の段階設計のほうが単価の自由度が大きい。第三に、段差率は季節で動かなくても実額の重みは動くこと。客室単価が夏の6割程度に下がる冬に向けて、率ではなく実額で朝食込みの割高感を確認することが、閑散期の商品設計の出発点になる。

よくある質問

Q. 沖縄のホテルの朝食付プランは、素泊まりより何%高いか?

A. 2026年10月宿泊分を同一ホテル内で比べると、2名1室の朝食付の上乗せ率はシティホテル+23.5%(N=8)、ビジネスホテル+12.9%(N=75)、リゾートホテル+7.4%(N=88)、沖縄県全体で+8.7%(N=183)でした。旅館は集計に含めていません。

Q. リゾートホテルの朝食の上乗せ率が低いのはなぜか?

A. 上乗せの額が小さいからではありません。リゾートの朝食付は素泊まりより1室+3,279円高く、ビジネスホテルの+2,238円を上回ります。率が+7.4%にとどまるのは、基準の素泊まりの平均が44,082円と大きいためです。加えて、朝食付を標準商品にし、素泊まりを上位客室や直前枠で売る施設では差額が圧縮されます。

Q. 2食付プランは朝食付より何%高いか?

A. リゾートホテルは2食付が朝食付に対して+19.8%(N=65・1室+10,860円)、素泊まりに対して+28.3%(N=65)です。ビジネスホテルは朝食付比+24.4%(N=14)、素泊まり比+40.3%(N=15)でした。リゾートでは朝食より夕食で段差を付ける構成が主流です。

Q. 那覇市と恩納村で朝食の段差が逆になるのはなぜか?

A. 那覇市は全体で+17.4%(N=64)と、業態を問わず朝食を価格に乗せています。恩納村のリゾートは−3.4%(N=14)で、朝食付が標準的な客室の主力プランとして売られ、素泊まりがより高い客室タイプや直前の販売枠で出ている商品構成の反映と読めます。朝食が無料という意味ではありません。

Q. 冬に向けて朝食の上乗せ額はどう点検すればよいか?

A. 上乗せ額を据え置いたまま客室価格が下がると、率は自動的に大きくなります。10月の額のまま、リゾートの推定成約ADRが11月に-16.7%動くと仮定すると、朝食の率は+7.4%から+8.9%になります(現時点推定に基づく試算)。自館の素泊まり単価に対する朝食の額を月ごとに確かめ、割高に映る月は素泊まり+選べる朝食などの見せ方を検討する方法があります。

データについて

本記事のデータ定義

食事プレミアム同一ホテル内で2つの食事タイプ(素泊まり/朝食付/夕食付/2食付)を同じ月に販売している施設だけを対象に、施設内での差額率を業態・市区町村・都道府県ごとに集計したもの。2名1室条件。旅館は除外。N=はペアが成立した施設数で、本記事はN=5以上の区分のみ引用した。2026年10月宿泊分を基準とし、推移は2026年5月〜10月の各月宿泊分。県間比較は朝食付 vs 素泊まりのみ。
推定成約ADROTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。前年同月比は確定月同士のみで算出した。対象は沖縄県のリゾートホテル(2026年9月 N=282)、ビジネスホテル(N=197)、シティホテル(N=16)。
推定OCCOTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。本記事では稼働率の数値は扱っていない。
ブッキングカーブ宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。本記事では使用していない。
データ時点2026年10月9日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチの食事プレミアム集計(沖縄県・北海道・京都府・東京都の同一ホテル内ペア比較、2026年5〜10月宿泊分、1名・2名利用、旅館を除く)と、沖縄県の業態別推定成約ADR(2025年1月〜2026年9月の確定値と2026年10月〜2027年2月の現時点推定値)。

■ 試算前提

食事プレミアムは同一ホテル内で両方の食事タイプを販売する施設の平均販売価格(掲載価格・2名1室)の差を率で示した値で、N=ペア施設数。1人あたりの上乗せ額は1室の額を2で割った値。据え置き型の感度表は、2026年10月宿泊分の上乗せ額を固定し、基準プランの価格だけが変わると仮定して「10月の率÷(1+変化率)」で計算した。右端の列は2026年10月→11月の推定成約ADRの変化率(現時点推定)で客室価格の変化を代用した。

■ 限界・留意点

食事プレミアムは販売価格のペア比較で、実際に予約された食事タイプの構成や喫食率は反映していない。食事プレミアムの基準(掲載価格)と推定成約ADR(成約価格水準・税抜相当)は定義が異なるため、感度表の右端の列は目安である。2026年10月以降の推定成約ADRは現時点の販売状況に基づく推定値で今後変わり得る。推定成約ADRは販売データからの推定値で、公表運営実績との誤差中央値は6.6%。シティホテル(N=8)や市区町村別の小さい区分(N=5〜9)は振れやすい。

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