軍事・地政学ナナメ読み

深川 孝行

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ジャーナリスト

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2026.10.10(土)

ブラジル大統領選で第1回投票の首位に立ったフラビオ・ボルソナロ氏(2026年10月4日、写真:ロイター=共同通信社)

 10月4日(現地時間)、ブラジルで次期大統領選挙(2027年1月5日就任)が実施され、左派・労働者党(PT)のルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ現大統領(80)と、右派・自由党(PL)のフラビオ・ボルソナロ上院議員(45)による、事実上の一騎打ちとなった。

 下馬評ではルラ氏が優勢で、有効投票数の過半数を早々に獲得し、そのまま政権続投を決めるのではないかとみられていた。だが、ふたを開けてみれば大方の予想に反し、ボルソナロ氏が得票率47.03%で首位に立った。ルラ氏は同45.16%で、まさかの2位に甘んじる結果となった。

 ブラジル憲法では、有効投票総数の過半数に達した候補者がいない場合、上位2候補による決選投票を行うことになっている。このため、現地時間10月25日の第2回投票で、次期大統領が選ばれる。

ルラを抑え首位、ボルソナロ長男が起こした番狂わせ

 予想外の結果に、選挙前には勝利への自信を見せていたルラ氏も驚きを隠せない。「第1回投票で勝つと確信していた。結果はいつでも予想外で、望んだものがすべて得られるわけではない」(英ロイター)と語った。

 一方、首位に立ったボルソナロ氏は、「ブラジルは変化を望んでいる。これが今回の選挙結果から読み取れることであり、労働者党の時代の終焉を意味する」(英ロイター)と、結果を冷静に受け止めた。

 ボルソナロ氏は、2019~2022年にブラジル大統領を務めたジャイル・ボルソナロ元大統領(71)の長男である。

 父ボルソナロ氏は元軍人で、親米の保守・右派を信条としてきた。米国のトランプ大統領とも親密な関係を築き、過激とも評される政治手法に共通点があることから、「ブラジルのトランプ」の異名を持つ。

 2022年の大統領選ではルラ氏に敗れたが、その結果を受け入れず、ルラ政権を激しく非難した。その後、2025年にはクーデター未遂容疑で起訴され、最高裁から長期の禁固刑を言い渡されて、現在は収監中だ。

 こうした経緯を考えれば、フラビオ氏の大統領選出馬には、ルラ氏に敗れた父ジャイル氏の政治的な“雪辱戦”という側面もある。

父のジャイル・ボルソナロ前大統領(右手前)の写真が掲げられる中、支持を訴えるフラビオ・ボルソナロ氏(写真:共同通信社)

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 今回の大統領選の番狂わせについて、世界の主要メディアも驚きをもって報じている。英ガーディアン紙は「衝撃的な第1回勝利」、米CNNは「第1回投票でボルソナロ氏が首位になるとは、誰一人予想していなかった」と伝えた。

 国土はもちろん、人口やGDP(国内総生産)、食料生産、軍事力など、さまざまな面で南米大陸の他国を圧倒する地域大国・ブラジル。今後、同国がどのような外交・安全保障戦略を取るかによっては、米中の対立構造にも大きな影響を及ぼしかねない。10月25日の決選投票の行方に、世界の注目が集まっている。

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