【やさしく解説】米兵犯罪
沖縄県知事から抗議文を受け取った後、報道陣に向けて発言する在沖縄米軍・沖縄地域調整官のワトソン中将=5日午後、沖縄県庁(写真:共同通信社)
米軍絡みの凄惨な凶悪事件が、またもや沖縄で発生しました。那覇市内のホテルで女性(39)を殺害し、所持品を奪ったとして、米軍普天間基地所属の海兵隊上等兵(20)が強盗殺人容疑で沖縄県警に逮捕されたのです。警察の捜査によると、女性には首を絞められた後があり、リュックサックや財布などがなくなっていました。逮捕された米兵は容疑を否認していますが、当選したばかりの古謝玄太・沖縄県知事は米軍側に強く抗議し、県民からも「また米兵か」と憤る声が噴出しています。
1972年の本土復帰前も復帰後も、米軍基地の集中する沖縄では米兵による犯罪が絶えることなく続いています。とくに女性や幼い女児らを狙った性的犯罪が目立ち、命を奪われた方も少なくありません。そして実は、沖縄だけでなく、米軍基地の置かれた神奈川県や長崎県などでも米兵の犯罪は戦後、止むことなく起きているのです。
日本における米兵犯罪の実態はどうなっているのでしょうか。犯人は本当に正当な裁きを受けているのでしょうか。今回のやさしく解説は、日米不平等の源流とも言われる日米地位協定にも触れつつ、「米兵犯罪」を取り上げます。
(この記事は2026年10月7日午前9時現在の情報に基づいています)
ホテルに女性遺体、逮捕の米兵「知りません」
遺体が見つかったのは、2026年10月3日午前4時すぎ。那覇市若狭1丁目のホテルで女性の遺体が見つかりました。警察が防犯カメラ映像などを調べたところ、女性は男性とみられる同行者とホテルを訪れ、その後、男性は女性の所持品を持って1人でホテルを立ち去ったことが判明。沖縄県警の捜査員が4日、同県沖縄市の歓楽街でカメラに映っていた男性とよく似た米兵を発見し、緊急逮捕したのです。
この事件を受けて古謝知事は、在沖縄米軍トップのベンジャミン・ワトソン四軍調整官らに対し、「県民の尊い命が失われたことは大変遺憾で、激しい怒りを覚える。米軍の綱紀粛正、人権教育が全く機能していないと言わざるを得ない」とする抗議文を米側の面前で読み上げました。高市早苗首相もSNSのXで「極めて残忍で凶悪な」事件だと記して非難しています。ただし、現在のところ、米側からの謝罪はありません。
各メディアの報道によると、逮捕された海兵隊の上等兵は、警察の聴取に対し、「私は知りません」として容疑を否認しています。どんな犯罪であっても有罪判決の確定までは「推定無罪」の原則が働くため、今回の事件でも冷静な対応は欠かせませんが、米軍に対する強い反発は急速に拡大しています。なぜなら、今回の事件は決して例外的な孤立した出来事ではなく、沖縄における構造的な現実の氷山の一角にすぎないからです。
では、米兵による犯罪は、日常の中でどの規模で起きているのでしょうか。直近の統計を振り返ると、その深刻な実態が浮かび上がります。
沖縄県警の資料によると、2025年に同県内で検挙された米兵による刑法犯は81件、70人でした。内訳は、殺人などの凶悪犯6件、暴行・傷害などの粗暴犯17件、窃盗10件、風俗犯8件、その他38件など。この中には、基地内のトイレで海兵隊員が女性従業員に性的暴行を加え、助けに入った別の女性にもけがを負わせるという事件などが含まれています。地元メディアの報道によると、総件数は22年ぶりに年間100件を超えました。
