
ニュージーランド戦のあとの森保一監督と、日本代表サポーター【写真:Getty Images】
5日のキリンカップサッカー2026決勝で日本代表と対戦したニュージーランド代表DFベン・オールドは、6万人超が集まった国立競技場の雰囲気を「これまでで最高の雰囲気のひとつ」と称え、「一生忘れない」と語った。Jリーグ創設から30年余り。日本のスタジアムが育んできた“熱量”の価値を考える。
6万人超の国立、過去最多を更新したJ1リーグ
5日に国立競技場で行われたキリンカップサッカー2026決勝で、日本代表に1-2で敗れたニュージーランド代表。32分に一時同点とするゴールを決めたベン・オールドは試合後、独立系サッカーメディア『Friends of Football NZ』のインタビューで、チケット完売のスタジアムでプレーした感想を問われ、こう答えた。
「正直、これまでプレーしたなかで最高の雰囲気のひとつだった。日本に称賛を送りたい。素晴らしい経験だったし、日本との決勝を戦えたことは信じられない。一生忘れない思い出になる」
日本サッカー協会(JFA)の公式記録によると、この日の入場者数は6万1812人。4日前に日産スタジアムで行われたエクアドル戦は6万5012人で、2017年以降の国内Aマッチでは最多だった。
公式記録をもとに国内開催の代表戦の平均入場者数を算出すると、2023年は約3万6000人だったが、2024年以降は年平均4万6000〜5万2000人で推移している。年ごとの平均は開催会場の収容規模にも左右されるため、単純比較には注意が必要だが、選手が入れ替わっても大きなボリュームを維持できているのはコンテンツとしての強みと言える。
クラブレベルでも入場者数は高水準にある。Jリーグ公式データによると、2025年のJ1の平均入場者数は2万1246人。コロナ禍前の最高だった2019年の2万751人を上回り、過去最多を更新した。J1からJ3、カップ戦などを含むJリーグ公式戦の年間総入場者数も1350万3210人と、初めて1300万人を超えた。
現在行われている2026/27シーズンのJ1も、第8節終了時点の80試合で平均2万3241人と、2025年を上回る水準となっている。
元Jリーガーが語るスタンドの力
日本でプレーした外国籍選手も、この熱量を肌で感じてきた。
2018年から7シーズン、名古屋グランパスのゴールを守ったGKミッチェル・ランゲラックは、コロナ禍で入場制限が続いていた2020年11月、オーストラリアサッカー連盟の公式サイトで「ファンからのサポートは一流」と語っている。
声援が禁じられるなかでも太鼓などの鳴り物が素晴らしい雰囲気をつくり、4〜5万人規模のスタジアムが半分埋まるだけでも素晴らしいと感じるという。
当時柏レイソルに所属し、その後J1得点王とMVPに輝いてカタールへ渡るマイケル・オルンガは、2020年4月、FIFA公式サイトのインタビューで自身のチャントについて明かした。
母国ケニアのスワヒリ語の有名な曲を用いたもので、サポーターがおそらく検索して見つけたのだろうと振り返っている。オルンガは「スワヒリ語で歌われると、自分の文化を感じてチームにもっと尽くしたくなる」と話している。
ヴィッセル神戸で5年を過ごしたアンドレス・イニエスタは、退団直前の2023年6月、国立競技場で古巣バルセロナと対戦した。
AFP通信によると、試合後には「日本のファンに別れを告げ、彼らからもらったものを返すための試合だった」と語り、ファンから受けた敬意などに触れながら、「彼らは僕の人生の一部になった」と感謝した。
1993年のJリーグ開幕から30年余り。クラブやリーグの価値を形づくるのは、ピッチ上の競技力や報酬の大きさだけではない。スタンドが長い時間をかけて育ててきた“雰囲気”もまた、日本サッカーが対外的に誇れる財産ではないだろうか。
Kリーグ公式によれば、2025シーズンの韓国1部リーグの平均動員数は10,081人。AリーグMenの2024/25レギュラーシーズンで8,787人。近隣の主要リーグと比較しても、目下のJリーグは相対的に大きな熱量を確保できている。
中東クラブのような規格外のマネーゲームには現状歯が立たないが、動員規模が代表とリーグの両面で順調に推移していることは前向きに捉えていいだろう。オールドが「一生忘れない」と語った国立の夜も、そうしたサッカー文化の成熟を感じさせるものだった。
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