【10月8日 CNS】「第15次5か年計画(2026~2030年)」期間は、中国が新質生産力の発展を本格化させる重要な段階となる。現在、各地でイノベーションや新規プロジェクトへの投資が加速する一方、地域の実情を考慮せず、注目分野を追いかける動きもみられる。同じような産業への重複投資や過当競争を防ぎ、それぞれの地域に適した発展を進めることが課題となっている。

第一財経城市研究所が291都市の「第15次5か年計画」を調査したところ、257都市が低空経済、217都市が高度設備製造、201都市がバイオ医薬、147都市が水素エネルギーを計画に盛り込んでいた。新興産業や未来産業への関心が高まる一方、各地が選ぶ分野は似通っている。

新産業を追求すること自体は問題ではない。しかし、地方の中小都市では、経済や税収、雇用を従来型製造業や農産物加工、資源関連産業などが支えているところも多い。技術や専門人材、サプライチェーン、実証環境などが整っていないにもかかわらず、先端技術プロジェクトを立ち上げれば、産業団地や工場が使われないまま残ったり、補助金終了後に事業継続が難しくなったりする恐れがある。

こうした問題の背景には、新質生産力を新興産業や未来産業だけと捉え、既存産業の高度化を軽視する傾向がある。また、先端産業の技術的リスクや市場形成に必要な時間を過小評価し、行政の力で産業を育成できるとの期待が先行している面もある。

産業は、技術開発から実用化、関連産業の整備、規模拡大へと段階を踏んで成長する。先端産業を地域に定着させるには、技術、人材、サプライチェーン、実際の利用・実証環境などが欠かせない。特に未来産業の多くは技術方式や市場がまだ形成途上にあり、投資額もリスクも大きい。このため、まずイノベーション資源が集中する地域で発展させることが現実的だ。

新たな成長分野への参入では、「新しさを求める」ことが「新しいものだけを重視する」ことになってはならない。各地が同じ分野で人材や資金を奪い合えば、限られたイノベーション資源が分散し、どの地域も十分な競争力を持てなくなる可能性がある。

新質生産力の発展では、新産業の育成だけでなく、従来産業の転換も重要になる。習近平国家主席は、「新質生産力を発展させることは、伝統産業を軽視したり放棄したりすることではない。一斉に参入してバブル化することを防ぎ、画一的なモデルにしてはならない」と強調している。

中国の大規模な伝統産業は実体経済の基盤であり、デジタル化やスマート化、グリーン化、設備更新などを進めれば、新たな技術や製品を生み出すことができる。特にイノベーション資源が限られる都市では、既存産業を強化することが、新質生産力を育てる現実的な選択肢となる。

今後は、地域ごとの資源や産業基盤に応じた役割分担も重要になる。都市部では先進製造業や研究成果の事業化、農業地域では特色ある農産物を生かした産業チェーンの構築、生態保全地域では環境負荷の小さい産業の育成など、それぞれの強みを生かす必要がある。

低空経済や水素エネルギーなど注目分野についても、全国各地が同じ産業を一から育成するのではなく、都市圏などを単位として産業クラスターを形成し、周辺地域は比較優位を持つ1~2分野に集中することが求められる。

また、新興産業の生産能力や建設中のプロジェクト、市場需要を把握する監視・早期警戒制度を整え、無秩序な投資を抑える必要がある。利用されていない産業団地については地域の強みを持つ産業向けに転換し、補助金に長期間依存して自立できない事業は市場原理に基づいて整理することも必要となる。

新質生産力を育てるうえで重要なのは、各地が一斉に流行の産業を追うことではない。それぞれの産業基盤や人材、資源などを踏まえ、自らの強みを生かした成長の道を選ぶことが、持続的な発展につながる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News

 

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